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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第三章】砂漠と骸と魂の都
31/66

『Mobius Cross_メビウスクロス28.1:砂漠の大怪獣』

砂漠でやりたい事。

※もとは徒然用に考え始めた話を挿し込んだのでちょっと変です。ノリとか。


☆登場人物 (この回に出ないのもいます)

·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない!

·マナ:車輪靴を履いて舞う様に闘う異国人。元気。

·マホ:双剣で舞う様に闘う異国人。ぽや〜ん。

·ルナベレッタ:通称ベル。囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す鎖翼の異形。

·シャレス:マナとマホを迎えに来た異国人。世話係。


·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる(洗礼)。

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。

·ガリア:拳の救世主。巨漢でクールな力持ち。ちょいコワ男前。

·スクード:盾の救世主。長身軽口兄貴。女性に甘いハンサム。


·ゴルゴーン:蛇術館の主で全身甲冑の謎の彫刻家。美しい女の裸像は命が凍りついたかの如き出来栄え…

·ヒュオラ:蛇術館の侍女長。メガツインテールで毒を吐いて攻撃する妖女。

『Mobius Cross_メビウスクロス28.1:砂漠の大怪獣』



 砂漠の旅。

御迎えの使徒シャレス、実は王女のマナ、王子のマホ。彼らの故郷イウヌポリスを救う為、帝都を離れるルナとルナベレッタ。


 真上に太陽。


遮るものの無い澄み渡った青空。


黄色く輝く砂の大地。

視界がぼやけるほどの熱気。


「あー!オアシスだー!見て見てーマホ〜!♪」

 マナのハツラツとした声が、砂漠に湧く泉の発見を告げる。「わ〜い」と喜びラクダで駆けていくマナマホ姉弟。


「え…!本当かい…!;」

「ふぅ…た、助かりましたね…;」

砂漠にあまり慣れておらず、ひいひい言っていたルナとルナベレッタはその報告を受けて安堵している。

しかし案内人のシャレスは、そんな二人に“甘い甘い”とでも言うように、指でチチチとマイムした。

「ルナ殿、ベル(ルナベレッタの通称)殿?ふふん焦ってはいけません。あれは、砂漠特有の現象…蜃気楼で御座います!本当はもっと遠くにある物があたかも近くにあるかのように見えるという―…」


パチャパシャッ☆

「わーいマホ〜!そぉーれー!♪」

「キャ〜♪それそれ姉さん〜♪」

キャッキャ☆



「…?あれ??

おかしい…私の砂漠地図によれば、あんな所にオアシスは無かった筈…??方角を違えた…?いやいや…」

 一人考え込むシャレスをよそに、水をかけ合って燥ぐマナとマホに合流し、命の水の恩恵を享受するルナとルナベレッタ。

マナとマホは日除けマントだけ脱ぎ捨てて、服を着たまま水浴びをしていた。時折立ち上がり、水を滴らせるマナの、もともと面積少なめな服が濡れて、肌とともに輝く。眩しい。相変わらず恥じらいは無いが、これでもマシになったのだ。旅を始めた頃は、オアシスを見つけるなりマナもマホも真裸になって浴び始めるものだから、ルナもルナベレッタも赤面爆発していた。成長したなぁ (?)


「マナシス…マナ様ー!マホ様ー!お気をつけ下さいませー!そのオアシス、地図に御座いませーん!“オアシスを叩いて浴びろ”で御座いますー!」

 心配性なシャレスの呼びかけに対して、マナは能天気に返す。

「えー?だいじょぶだってー!妾、地図読めないけど平衡感覚には自信あるんだからー♪」

「姉さん、平衡感覚関係無いです方向感覚です〜;」

「へ?そうなの??

まーまー、神様からのオボシメシとかだって♪素直に有りありがたがろーよ?♪

ほら見てよー!風も妾達を歓迎してるじゃーん?♪」


 揺れるオアシスの周りの木々…


「なーにを仰っているのですかー!風など吹いていないでしょうー!」

とシャレス。



 パシャッ…と顔を洗っていたルナ、ラクダ達の頭が上がる…

「…揺れてる…?」



 ルナベレッタと、彼女に宿る魔神ギルトも何かを感じ取る。

「「ルナベレッタ…」」

「…音…?遠く…いえ……」



 マナとマホも異変に気づく。

「あれ?なんか水冷たくなった?」

「水位が下がってるような…?」



 ゴゴゴゴゴ…

鈍い地鳴りが何処かで響く…


ザワザワザワ…!

木々がざわつく…!



………………!

音も無く…


砂漠が波打つ…



…砂漠が波打つ…?!?



 オアシスを囲む、彼方の砂丘達が動いてる…!!そして動いた少し後に遠く響いてくるのだ、ゴォォォォォと音が…。


ルナは念の為訊いた!

「っあれも蜃気楼ですかーー!?」


シャレスは一応答えた!

「っ蜃気楼は音しませんよーー!!」


「…じゃあ蜃気音かな!?」

ルナは願混じりにそう叫び、

…錯覚の類であれ!

…間違いであれ!

…止まって…

と地平線を凝視するが、それはさらに信じ難い動きを見せる。


地平線がせり上がっていく…

ルナは目を見開いた。

丘のようになり…山のようになり…育っていく…

壁…?…波…!…大津波…!!

ルナは青ざめた。

砂漠って海原みたいだなとは思っていたが、こんな海も真っ青な自然現象が在るなんて…!

しかし、その後の砂漠の振る舞いでとうとうルナの想像力は置いてけぼりにされた。

持ち上がった地平線の波が、その輪郭…波頭だけを残してちぎれ落ちてしまったのだ。取り残された地平線は紐のように、青空を縫うようにくねった後、音も無くポテ…と落ちた…

…あの“紐”…縮尺がおかしいな…

…空に丸ごと輪をかけれそうなくらいに見えるけど…?

…音はしないのに砂埃が大噴火してるように見えるけど…?



コゴゴゴーーーッッ…!


…今、音届いたけど…?


…なんかまだうねってるけど…?

…あれなんかまた縮尺が狂ってきたのかな…??紐が“縄”に…?


ゴゴゴゴゴーーッ!


…音が大っきく…?

あ…縄がまた頭を擡げた…

縮尺がさらに狂う…大木くらいある…?

ゴゴゴゴーーーッ!音が届くの早くなってる…

持ち上げた頭の先がトゲトゲと枝分かれしている…丁度、倒れた大樹の根っこみたいな感じか…

根っこの中心に穴開いてる…

あれ…


 口?!



 「サハリアンリヴワームだ…!!!」

シャレスが叫んだ。

その、大樹のような直径を有しながら尚“細長い”と形容できる地平にまたがる大怪獣。蚯蚓のように体を伸縮させ、時折くねって頭を持ち上げると、真っ黒な虹のように空に掛かり、また砂漠に着水、轟音と砂しぶきを上げて迫ってきている!それと呼応するようにズポズポッと、こちらのオアシス周辺の“木々だと思っていたモノ”が数本地面の中に沈んでいった。…擬態した尻尾?!地下で繋がってる?!あんな向こうと?!


「キャメェェエェェ!」

 木に繋がれていたロープが切れ、ラクダ達がビックリして逃げる!マナの武器と荷を載せて…。

「あー!妾の車輪靴ー!!;」


「え〜!姉さんラクダさんに載せっぱなしなんですか!?」

「そりゃそーでしょっ!え?マホのは?」

「予はちゃ〜んと木に括り付けてます〜!」

「木、何本か沈んでっちゃったけど…?

(´・ω・)」「ぇ…(・ω・`)?」


っあ〜〜〜〜〜〜!!!

っというマホの叫びと共にフォーカスしていく、ワームの大樹のような頭の先の大木のような胴体の先の縄のような胴体の先の紐のような胴体の先の糸のような尾の先の崎…糸くずのほつれみたいに見える 地平の彼方(あのへん)に、たぶん劔はぶら下がっている。。


 しかしながら直近の問題はそこではない。


「とにかく逃げろーーッ!!!」

ルナ達は二手に分かれて逃げた!


「マホちゃん乗って!」

 ルナベレッタは幸いにもラクダを近くに連れていた為即座に乗る事ができた。マホを拾い二人でワームの進行方向から遠ざかるように逃げる。


 片や、砂漠でラクダを失う事の危険性を知るシャレスは、逃げてしまったラクダを追いつつワームから距離を取るが、ラクダの足同士、中々距離が縮まらない。ラクダなのに鼬ごっこだ。


「まてー!!妾の靴ーう!!」

そのシャレスのラクダの横をマナが素足で抜いていった…!

その出鱈目な速力に、かなり足の速い方なルナも流石にビビっていた。


しかし…


「✝メビウス∞クロス✝!」

 ルナの鎖短剣が空を駆け、逃げたラクダに巻き付いた!…今こそ!修練の成果を見せる時!

(ちぢ)め!メビウスの鎖!」


弛まぬ修練により編み出した、メビウスの鎖の高速収縮!そしてルナは、一直線に張った鎖に身を引かせ、ラクダの速度に自身の脚力を上乗せして駆ける!

トーン!


トーーン!!



トーーーン!!!


幅跳びは加速し、青空をバックに真水平に靡くルナの金髪!アッと言う間にラクダに追いついてしまった!

マナは内心、ぅゎッすごッ速ッくやしぃッてなった。


するとポーン…と宙を舞う靴が一対、マナの目に映る。


「マナー!受け取れー!」

ルナが投げた車輪靴だ。 (※良い子は刃のついた靴など投げてはいけません)ルナは靴に気づかせる為に高く放ったのであるが…

 

「おしきたーッ!」

マナは何かを勘違いしている!?爆走している状態からさらに加速し、車輪靴の落下地点に追いつくと、宙返りするように伸身ジャンプッ!さらに捻りを加えながら、空中で靴に両足をインッ!

「廻れ!ローラーブレイド!」

そのまま砂漠にランディングッ!…運動神経どうなってるの (´;ω;`?)


 それはさておき、与恵のシンで力を与えられた車輪は、柔らかい砂の上でもその推進力を発揮できるようだ!砂の海原を滑るように疾走し、ルナに追いついて共にラクダを宥める。

シャレスも追いついてきて、ラクダを任せる事ができた。

あとはマホとルナベレッタに合流して…


「ねえルナ!競争しよ!よーい…」


「…え?!なんて!?」蜃気音かな?


「あそっか。ゴールはね〜、あのワームの尻尾の先のマホの劔!OK?よーい…」


ルナもシャレスも耳を疑った。

「ななな何を仰っているので御座いますかー!マナシス様!今は逃げる時で御座いますー!;」


「えーおねがぁい!一回だけでいいからぁポソッ(妾が勝ったら」

「負けたらもう一回?!」

「うん。手抜いてももっかい。よーい…」


「ふぅ…;言い出したら聴かないか…。いいよ。付き合うよ。」


「えへ♪よーい…♪」


「シャレスさん、護衛も兼ねて行ってきますので、ラクダ達をお願いします。」


「ル、ルナ殿!;」


「マナお待たせ。2回やりたくはないから手加減しないよ…!」


「へへ〜ん妾も足加減しないからね…?

 よいどんッ!!!」

ドヒュンとマナは飛び出した!


「えっっずっるっ…!;

趨れ!クロス!」

ルナもメビウスクロスを飛ばし、鎖に引かれて飛び出していった…。



 ラクダと共にポツンと残されたシャレス。

「…はあ…;マナシス様に付き合える者がついに現れてしまった…;喜ぶべきか按ずるべきか…;ルナ殿…頼みましたよ…」


to be continued



砂漠歩いてりゃこれくらいの事はあるらしい

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