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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第三章】砂漠と骸と魂の都
29/66

『Mobius Cross_メビウスクロス27:死者の国』

新章!?


☆登場人物 (この回に出ないのもいます)

·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない…が。

·マナ:車輪靴を履いて舞う様に闘う異国人。元気。

·マホ:双剣で舞う様に闘う異国人。ぽや〜ん。

·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる(洗礼)。

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。

·ルナベレッタ:通称ベル。囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す。

『Mobius Cross_メビウスクロス27:死者の国』



 吸血魔事件は終演を見た。

しかし、解決に漕ぎ着けるまでには一般人含め多くの犠牲があったことを忘れてはならない。


 そして課題も見えた…。

力の差…と呼ぶには余りに隔たりがある戦力の次元違い。


 ルナは以前にも増して修練に励んだ。虐め抜いていると云ってもいい。ボロボロになった修練用の十字の丸太が、彼の修練、肉体、精神を顕しているかのようだった。

個人鍛錬は以前よりむしろ捗った。鍛錬に集中している間は、ある程度無心でいられるから…。

技や肉体的な強さは確実に成長している…

が、


ランスは譴責した。

「オラァッ!身が入ってねーぞ!!」


「す、すみません!!」

 ルナは相変わらずシゴキを受けていた。

強くなるため、救世主の力となるため、そして大切なものを守るために。しかし、実戦修練となると…


「やる気あんのか!?」


「ぐほッ…!すみません!!」


「気合を入れろ!」


「ぐえッ…!すみません!!!」


「あースッキリした。」

「え」



「お前なぁいっちょ前に悩んでんじゃねえよ。言え、怒るから。」


「…すみません。

僕が鍛える意味なんてあるのか…疑問に思ってしまって…。」



 幼き日に憧れた強き救世主達。

成長し、上京し、シンも得て、少しは近づけている筈だと思っていたが…



「ガリア達を言い訳に使うつもりか。」


「っもともとあなたがたに敵うなんて思っていません…

でも…僕なんかではいくら鍛えても…お力になれる日は来ないんじゃないかと…

そんな僕が、師匠の手を煩わせるなんて…」

迷えるルナを見て少し考えた後、ランスはこう言った。

「お前、頭ん中に“今助けたい人”が居ないと思考がそっち行くタイプか。」


「え…?」


「最初お前は救世主の助けになろうって目標があった。

そしてこの前は、パーニャを救おうって目標があった。

しかしパーニャを救うには力不足、当初の目標だった救世主は力の差があり過ぎてどうしていいかわからない。違うか?」


「…その通りです…。」


「なら次の目標を決めりゃいいだろーが。

お前が決めれないなら俺が決めてやろうか?」


「!…お願いしますッ!」


「よし、じゃあお前、俺らより強くなれ。」


「…は?」


「救世主を超えろ。はい決定。」


「ちょちょちょちょ!そんな夢物語みたいな!

一生かかっても無理ですって…」

またこの人はすぐ適当な事を言う。


「お前よ、最初の人間は誰か知ってるか?」


「え…? (何の話…)

アーダーム…ですよね。」


「じゃあ、最後の人間は誰だか知ってるか?」


「??…そんなのわかりません。」


「じゃあ、風はどうして吹くか知ってるか?」


「え…と…知りません。」


「俺とお前は触れ合っても混ざらないな。

だが水は混ぜると一つになる。

何故か知ってるか?」


「…知りません…」


「お前はまだまだ知らないことだらけ。

そうだな?」


「…ふにゅう…」


「なんで自分の限界だけ知った気でいんだよ。」


ルナはハッとした。


「お前の限界なんか誰も知らねえよ。」


「は…はい!」


「一生かかっても、なんて一生かけてから言え?」

「は、はい!」

「大抵の人間は都合よく諦める。お前はどうだ?」

「あ、諦めは悪いほうです!!」

「全力で超えに来いよ?

俺達がいつまでも居る訳じゃねえんだ。」

「そ…そんなこと言わないでください…」

「あと俺は別に煩ってない。お前を苛めるのは楽しいからな。」

「え」


「じゃ俺は休む。」


んん?と首を傾げるルナを置いてランスは中に入った。




 そしてシャハネさんと茶をしばいていた。

「熱心にお悩み相談答えてましたね。」


「迷える子羊を見るとついつい適当に喋り過ぎちまうんだ。」


「…ランス様と一緒ですね。

今助けたい人が居ないと頑張れない、優しい人。」


「チ…聞かれてたか。」


「ルナさんは特に無茶する子ですけど、沢山教えを説いてもらって、幸福だと思います。」


「っは! (笑)

俺語り過ぎて駄目なんだよ。哲人だから。

あんなのな、

シャハネさんなら“頑張って下さい”で済むし、

マナなら“今のルナきらい!”で済むよ。

ベルに至っては多分“ごめんなさい”で済むな(笑)」


「んふっ…なんとなくわかります」



 二人で笑い合っていると、教会玄関から人の気配がした。


「あら?お客様かしら…」




「今のルナきらい!」

 マナは腹を立てて中庭から去ってしまった…。


落ち込むルナ。

「うう…立ち直ったつもりだったのに…

気を悪くさせちゃったな…」


慰めるマホ。

「まあまあ…誘ったのはこっちですから、ルナくんは悪くないですよ〜;」


 ルナがまた自身を悲観したことでも言ったのだろうか?

マナは悲観して動かない人が嫌いなのだ。

              胸が痛い。


ますますしょんぼりなルナはせせら笑うように言った。

「はは…。きらわれちゃったよ…。もともときらわれてたけどさ…。」



「…だいじょうぶ…

姉さんは、もう好きにならないって言った訳じゃないですから。

…予も何回嫌われたかわかりません。

こうして怒ってもね、すぐに忘れたみたいに明るく話しかけてくれるんです…」


「本当、優しいよね、マナ。救われてるよ。」


「えへへ〜♪自慢の姉さんです〜♡」


「…マホもありがとう。自慢の仲間だよ。」


ええ〜///と可愛く照れるマホにルナの方も気恥ずかしくなっていると…



 シャハネさんが訪ねて来た。

「マナさ〜ん、マホさ〜ん。お客様がお見えですよ〜!」


マホが客の正体を確かめようと体を傾けた時、今度は大きな声でマナが割り込み、戻ってきた!

「ほらベル!

ルナヘコんでるから元気付けてあげて?

こういう時はぜっったいベルの方が上手だから!」



 ルナベレッタは手を引かれつつも気持ちは急ぎ足で駆けつけた。

「ごめんなさい。

…ルナ君が落ち込んでるのなんとなくわかってたのに私…。」


すぐ割り込んだことに気づくマナ。

「あ…ごめんシャハネさん居たのね。どーしたの?」



するとシャハネさんの後ろにいた客人の男がマナを見て声をあげた。

「…マナシス様!!やっとみつけました…!」



 マナを知っている様子のこの男。

服飾にマナやマホと似たものを感じる。

同郷の人だろうか。


マナもこの男を知っているようだ。

「あ、シャレスじゃん。こんなとこで何してんのー?」


シャレスと呼ばれた男は大変焦った様子で返した。

「そ、それはこちらのセリフで御座いますっ!

今、我が国は大変なのですよ?!」


それを聞いてマホも話しに入る。

「え!イウヌに何かあったんですか?」


「王子もご無事で…!

マナシス様ぁ…

貴女が奔放になさるのは止めようも無いので諦めていますが、マホメット王子まで連れ回されては困ります;

…お二人とも直ちにお戻り下さい!

…このままでは…

我が国は“死者の国”になってしまいますぅ…!!」


to be continued

死者の国はあります!!(手の平ドリル)

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