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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第二章】救世主と紀元の吸血鬼
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『Mobius Cross_メビウスクロス26.0:極光』

パーニャ頑張れ

『Mobius Cross_メビウスクロス26.0:極光』



一吸入魂

 パーニャは血潮がかつて無いほど滾り、身体が何倍にも膨れ上がるような感じがした。


{over blood…!

パーニャ…イメージしろ…。今の君なら腕を生やす事など造作も無い…!}


パーニャはイメージする!手、生えろ!手、生えろ!


バサッ!!


 翼生えた。

醜くも靭やかな蝙蝠の翼…ヴァンとおそろい。


「…ステキ!さあ行こぅ!!」

{犬め…これで最後だ…!!}


 パーニャとヴァンは高速で飛び回り重い一撃を見舞っていく!

魔犬はさっきまでより明らかに速く強く放たれる攻撃によろけた!

その隙にパーニャが魔犬の懐に滑り込む!

下から胸を滅多打ち、最後に思いっきり蹴り上げた!なんと巨大な魔犬が宙に浮く!

そこへヴァンが刃を振り下ろし、魔犬は地面に叩きつけられた!

すかさず目を狙って拳を振り下ろすパーニャ!

 しかし魔犬は瞬時に首をひねり、パーニャの残った腕に噛み付いた!

さらにブルンブルと頭を振り乱し、引き千切ろうとする!


「うあぁ…!あっ…!」

痛みに仰け反るパーニャだが、すぐに歯を食いしばり、力を込める!

さっきは食いちぎられたが、今度はそうはいかない!


「ああああああッ!!」


 さっき食いちぎられた腕が再生する…!

そして魔犬の横っ面をやけくそに殴りつけながら、噛まれている方の腕で無理やり顎を開かせようとする!

牙が食い込み血が迸る!

すると少し開いた牙の隙間にヴァンもズギャッと入ってきた!

{…まったく…吾輩に歯を立てていいのは…パーニャだけだというのに…!}


ゴギギギギィッとテコの原理で口を開かせ、パーニャは腕を引き抜けた!


{…今だパーニャ…!!吾輩を振りぬけ!!コヤツの頭を飛ばすぞ!!}


 パーニャは、ヴァンの柄を握り、持てる力を振り絞る!

さらに膝を魔犬の顎に入れる…!

ドゴンッと1発!ドギャンと2発!

ドミシ…ッと3発!ドブシュと4発!

ドピキャと5発にドバキギと6発!!

ついに…!


ズパン


 魔犬の頭を切り飛ばした!!


「やった…!!パーニャ!!」

ルナがそう言うと同時に


バキャアン


 ヴァンの刀身は真っ二つに折れた。


「…っえっ…?」


剣先の方はボロボロで、地面に落ちた衝撃でさらに砕けた。

パーニャは残った柄部分を握りしめ呼び掛けた。

「…っヴァン!大丈夫?!ヴァンっ!」


揺すってもヴァンの返事はない。そして何より…石のように重たい。


「ヴァンっ…?ウソでしょ…返事してよ…?ねえっ…ヴァン…っ」


そんなまさか…いくらもとは憎き悪魔と言えども、これでは災厄を退けたとしても…。

ルナは、魔犬の骸…頭を失い立ち尽くすそれに視線を向けた…。



そして震撼した。


「…パーニャ!!危ないッッ!!」


 なんということか魔犬の両肩から新たな双頭が生えてきた…!

まるで魔獣ケルベロース…パーニャ達はその1頭を落としたに過ぎなかったのだ。

絶望するパーニャの頭めがけてバクンと口が閉じられる。

ルナの身体は燃え尽きた灰の様に全く言うことをきいてくれなかった…。

これから皆食われるのか…もう助かることはないのか…せめてマホだけでも逃がす方法は…。…考えても…逃げても無駄だということがわかってしまう…




「ヘイッ!がんばれルナっ!妾もがんばったから!」


 死んではいない…!

パーニャは間一髪の所で駆けつけたマナがかっさらっていた…!



 そしてルナの背後からザッ…ザッ…と力強い足音が近づいてくる。


「…よく頑張った。」


 呆然と立ち尽くすルナの肩に手を置き…

拳の救世主ガリアが到着した。

あとは任せろと背中で語り、災厄の魔犬に悠然と近づいていく。


「…た、助かった…。

僕達は…助かったんだ…!

よかった…!

よかったよぉ…!!」


 ガリアが拳を構える。

なんとも愚かな災厄の魔犬は臆することもなく拳の救世主と対峙するようだ。絶対に勝てないのに。逃げればいいのに。犬なら解からないだろうか?いや、逃げても無駄だということが解ってしまうのかな。


「もう大丈夫だ…!

拳の救世主は負けない…

絶対に…!

負けな…」



ボボッ!



 言い終わらず、魔犬の首は全て消し飛んでいた。


さらにダメ押しの力強い右ストレートで、魔犬は後ろ足と尻尾を残して雲散霧消と化した。


この流れで勝つから救世主なのである。


 ルナは一気に緊張の糸が切れ膝をついた。

マホもなんとか無事、

マナも無事、

自分も無事…


そしてパーニャも…おや?


「…あれ?パーニャ居ない…。」

 マナの言うとおりパーニャは忽然と姿を消していた。


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