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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第二章】救世主と紀元の吸血鬼
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Mobius Cross_メビウスクロス22:revolution eve_革命前夜

吸血魔を止める為、ルナ達は修練に励みます。

脱法風呂回


☆登場人物

·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない。

·マナ:車輪靴を履いて舞う様に闘う異国人。元気。

·マホ:双剣で舞う様に闘う異国人。ぽや〜ん。

·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる(洗礼)。

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。

·ルナベレッタ:通称ベル。囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す。

·ガリア:拳の救世主。巨漢でクールな力持ち。ちょいコワ男前。

·スクード:盾の救世主。長身軽口兄貴。女性に甘いハンサム。


·パーニャ:貧血と陽に当たれない病気の少女。夜な夜なヴァンと共におさんぽする。

·ヴァン:意思を持つ吸血の魔剣。夜な夜なパーニャと共に血を求め回遊する。


·ゴルゴーン:蛇術館の主で全身甲冑の謎の彫刻家。美しい女の裸像は命が凍りついたかの如き出来栄え…

·ヒュオラ:蛇術館の侍女長。メガツインテールの幼女。館の召使い達は誰も彼女に逆らえない。

『Mobius Cross_メビウスクロス22:revolution eve_革命前夜』



 はじめはヒドイものだった。


 当然だ。救世主に組み手で敵うはずもない。

しかし…聖鎗たるアディメンドクロスを使うと命に関わるから…と握る木槍にさえ全く歯が立たないとは…。

しかもこの木槍の先には布が巻かれ、赤い塗料が染み込ませてある。

ランス曰く、赤色が身体の正中線についたら1回絶命らしい。わかりやすい。


「計100回逝ったな、お前。」


 数刻に渡る修練が終わった時、大の字に倒れたルナには、身体を縦に割られたかのような赤い輪が描かれていた。


 ランスは講評を述べる。

「災厄と対するにはまだまだだが、身体能力と根性はまずまずだ。

むしろそれに頼ってるから、いざ力もスピードも上の相手となるとよえーんだ。

剣と鎖の効果をもっと活かせ。

相手の足を止めろ。

武器を持ってたら絡めとれ。

あといざって時以外でも本気出せるようになれ。

よし一旦解散。」



ルナは、ふーーとため息を付き、まだまだこんなことではパーニャを救うどころか倒すことすらできないな…とさらなる努力を誓った。



 汗をかいたのと、塗料がついたままでは恥ずかしいので風呂に入ることにしよう…。






流石のルナも、もーういい加減学修している!!

もーう絶対に風呂で女性と鉢合うわけにはいかない!

脱衣所に入る前に入口横の札を確認するルナ。札は「使用中」。


…OKもうわかった。

「洗礼中」でないということはシャハネさんではない。

「空き」であっても、

“ここのルールを知らないマナやマホが入っている(マホは男だから構わない)かもしれない”

そこまでも想定していたが、これなら問題は起こらない。

ルナが去ればいいのだ!

ルナは気をつけられる人間!偉かった!




「エキャーーーーーッ!!!!」




 突如中から絹をさくような悲鳴が聞こえ、ルナベレッタが飛び出してきた。


 いきなり過ぎて反射で目が見開かれる。と、彼女がその素肌を隠そうと抱える洗浄用の布はあまりに小さかった。

 完っ全に見えていた…。

ルナは眼球以外フリーズした。


「イキャーーーーーッ!!!!」

パチーン!




 …その日の夕食。

顔の縦に赤い線と頬に手形をつけたルナに、ランスが言った。

「…お前相変わらずすごいな。才能だ才能。俺にも分けてくれ。」


「…師匠に羨ましがられるなんて感無量ですよ…」

ランスのひやかしに自分への皮肉で返すルナ。


ルナベレッタはその向いの席で、マナとマホに挟まれながらしゅんとしていた。

「…本当にごめんなさいルナくん…。

私どうしてあんなこと…ルナくんに罪は無いのに…

あぁ…罪深い…」


「だ、大丈夫ですよベルさん!油断した僕が悪いんです。

…それに、なんだか嬉しいです…。」


ランスがピクリと反応する。

「…ついに弟子がオープン助平に…」


「…!?ち、違いますよ!あれです!

こう…距離が近づいたというか!

新たな一面を見たというか…!」


「近づいた?見た?」


「ち、ちがっ…!

距離感は、殴られるくらいの…!

一面は、優しいだけじゃない、みたいな…!」


「つまりドMってことか。」

ランスの極S加減に唸り悶えるルナをよそにマナとマホが発言する。

「そう言えばさぁ、ベルなんで出てっちゃったの?

ねー。」


「はい〜。お風呂一緒に入るって言ったじゃないですか〜。」


ルナベレッタは一気に頬を赤らめる。

「んなんでって…!マホさんにその…

男の子だったから…。」


「ん〜。。予は男じゃない方がいいってことですか…?」


「あっ…今の言い方は良くないですよね…ごめんなさい…。

私が男性に免疫無いのが悪いんです。。」

ルナベレッタの態度にマナがつっかかる。

「別に悪くはないけどさ、せっかく一緒に特訓した仲じゃん!

一緒に汗流したかった!逃げるってひどくない?!」


ちなみに一人特訓に飽きて誘ったのもマナ、風呂に誘ったのもマナである。


「…ほんとにすみませんマナさん…。

明日ご一緒して頂いてもいいですか…?」


「もーそれっ!まずその喋り方やめよ?

もっと普通に喋ってよ!友達でしょ?!」


いつの間に…とツッコむのも罪深いと思いつつ、これが私の普通なんだけどな…と困るルナベレッタ。


マホが姉を援護。

「ベルさんお願いします〜。

姉さんとお友達になってあげてください〜。」


お願いされると弱いルナベレッタ。

「…わかりました。がんばります。」


「えへー♪じゃーあ、友達っぽくお風呂に誘ってみて?」

マナはワクワクしている。


 ルナベレッタは恥ずかしそうに言った。

「…えっと…明日は一緒に入ろうね、マナ…さん。」

「マナ“さん〜”?」

マナは上目遣いで顔を寄せてきた。

「マ、マナ…ちゃん?」


マナはむぎゅっとルナベレッタに抱きついた。

「もっちろ〜ん♪この後でもいいよ!

妾腹ごなしに訓練するから〜!」

マナの人懐こさに参りつつも、ルナベレッタはどこか嬉しそうだった。




 その日の夜更け、ルナは一人夜風にあたって考えていた。

パーニャはあの後どうなっただろうか…

願うならあのままヴァンと離れ離れになって、普通の生活に戻れていて欲しい。

このまま街から吸血魔が消え、事件は闇の中でも構わない。

あのいたいけな少女が無事なら…


 するとどうしても、こういう考えに至ってしまう。

“ヴァンより先にパーニャを見つけられれば事態が良くなるのでは…”

その為には一人でも多く捜索に出ていた方が良いのでは…

見つけるだけ…無事を確かめたいだけ…もう無理はしない…!

よし!


ルナは走り出した!

と、




 ズダン!と目の前にランスが降り立った!

「…よぉ弟子ぃ。奇遇だなこんな夜更けによぉ…」



「…っハハ…奇遇ですね…っ。

こんな時間まで起きておられるとは珍しい…

は、早くお休みになられたほうがいいですよ〜…。。」


「ちょっと作りたいものがあってな…?

昼間は出来の悪い弟子の稽古をつけなきゃなんねーから仕方なく起きてんだわ…」


「…そ、そぉなんですねっ…で、では、おやすみなさぁい…」


「おぉ…。おやすめ…」



 ルナはなんとか誤魔化して踵を返した。

が、そんなことで誤魔化されるほど救世主は甘い存在ではなかった。


「育ち盛りはちゃんと寝やがれてめぇ永眠さすぞ…!」

と締め落とされ、健やかに寝かしつけられるルナであった。


 これ以来、ルナは抜け出すことを諦め、真面目に修練に励んだんだそうな。


めでたしめでたしto be continued

サブタイ革命前夜だけにするつもりだったけど、前夜感あって作品の雰囲気とも合うeveって字書きたくて欲張りました。

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