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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第二章】救世主と紀元の吸血鬼
20/66

『Mobius Cross_メビウスクロス19:好き』

救世主ランスもまさか自分が救ったあの迷子が、帝都の夜を恐怖に染める吸血魔だとは思ってないでしょう…。はてさてその迷子はこれからどうするのか?

☆登場人物

·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない。

·マナ:車輪靴を履いて舞う様に闘う異国人。元気。

·マホ:双剣で舞う様に闘う異国人。ぽや〜ん。

·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる(洗礼)。

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。

·ルナベレッタ:通称ベル。囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す。

·ガリア:拳の救世主。巨漢でクールな力持ち。ちょいコワ男前。

·スクード:盾の救世主。長身軽口兄貴。女性に甘いハンサム。


·パーニャ:貧血と陽に当たれない病気の少女。夜な夜なヴァンと共におさんぽする。

·ヴァン:意思を持つ吸血の魔剣。夜な夜なパーニャと共に血を求め回遊する。


·ゴルゴーン:蛇術館の主で全身甲冑の謎の彫刻家。美しい女の裸像は命が凍りついたかの如き出来栄え…

·ヒュオラ:蛇術館の侍女長。メガツインテールの幼女。館の召使い達は誰も彼女に逆らえない。

『Mobius Cross_メビウスクロス19:好き』



 パーニャとヴァンは邸に戻ってきた。

パーニャにとって外出一晩と半日は革命的な永さだ。

血を貰ったとは言えお腹はペコペコ。

すぐにでも入りたいところだが、路地を抜けかけたところでヴァンが呼び止める。




{パーニャ、待つんだ。ちと話し合っておきたいことがある。}


「なーに?ヴァン。」


{門番達が険しい顔で何かを探している。対象は十中八九君だろう。}


「それは…お父様もお母様もすごく心配してると思うわ…。」


{そうだろうとも。

そして君の部屋を見てくれ。窓が閉じられているだろう。}


「うん。」



{…ここからは吾輩の予想だが、君は戻ったら今まで以上に監禁されるかもしれない。もう逃げないように。

そして彼らは吾輩とパーニャを引き離そうとするだろう…。}


「えっ?!…そんなのイヤ…!」



 {吾輩もだよ…。

…そこで君は一つ決断をしなくてはならない。

吾輩と来るか、両親といくか、だ。}


「!…どういうこと…?

ヴァンとお母様とお父様とは暮らせないの??」


{予想だ。そうなるとは限らないが、もし吾輩と居たいなら帰らない方がいい。

そしてもし君が両親と居ることを望むなら…

吾輩は身を引こう。君の幸せが一番だ…。

さあ、決断を。}




 パーニャは暫く考えてから、空を見上げて話しだした。

「…。

私ね、お気に入りの絵本があるの。

その絵本でもね、お姫様を好きになった山賊が、お姫様をお城に帰したあと自分はついていかなかったの…。


…私は…お姫様になりたかった…」



{…そうか…

その山賊も見どころのある奴だな…。}




 「…お姫様になってお城を飛び出して、その山賊について行きたいって!

ずっと思ってた!」


{…!では…!}

「ヴァンと一緒ならいい、私。」


{…ならば言わせて頂く…!

パーニャ…好きだ…吾輩と永遠に一緒にいよう。}


「ぁはぁ♪私も…好き!」


ググゥ〜…


ヴァンの告白に身悶えすると同時に腹の虫が鳴るパーニャ。


{吾輩の腹の虫かな?食料を探さねば…}


「任せて!

こーいう時は、市場に行くか、山に行って兎を獲るの!

私達にはお金が無いから山ね!」


 二人は黒い衣を日避けに被ったまま、影場を渡って飛んで行った。


{…少し会わない内にたくましくなったね。何かあったのかい?}


「ふふ♪内緒♪」


{そういえばその日避け布はどこから持ってきたんだい?}


「なーいしょっ♪」






ググゥ〜…

「あー腹減った。」

 教会に帰宅したランスの腹の虫が鳴る。


シャハネさんのお出迎えは無し。

昨晩ルナを気にしてちゃんと寝ていないからだ。

シャハネさんは普段早寝早起きだが一度リズムを崩すと長い。


…たまにゃ自分で作るか…

とランスは食堂に行き、卵を火にかけ、干し肉にオリーブオイルを塗って軽く炙った。

チーズも一切れ囓り、それらをパンの上に乗せクシャッと挟み潰してがぶつきながら食卓に向かう。


と、ちょうどルナベレッタも食卓にやってきた。

「あぁ、ランスさん、お帰りなさい。

今昼食ですか?お疲れ様です。」


「おーそうなんだよ。こいつがシャハネさん寝かせないせーで、俺は寂しく一人飯だぜ。」

机で寝ているルナを顎で指してランスはそう言った。


「でしょうと思いまして、サラダは作っておきました。」

コトっと机にサラダを置くルナベレッタ。


「豆が入ってなきゃ満点なんだがな…。」


「お野菜もちゃんとお取りにならないと…。

ランスさんの好きなガーリックビネガー味ですので。」


「まープラマイ満点だな。」

ランスは残りのパンにサラダをひょいひょいと挟むと一気に平らげた。




 そうこうしていると、マホとマナが起きてきた。

「おはようございます〜」

「おっはよー、ラーンスー♪」


起きて来るなりランスに抱きつこうとするマナ。


しかしランスはクイと避ける。

「おぉすまねーなマナ。ベルの前でいちゃつきに来るのはやめてくれ。

こいつ遠慮しちゃうタイプだから。」


「えー!?いーじゃん別にっ!

ランスこの娘の方が好きってこと??」



「はっきり言おう。

俺はこいつみたいな薄幸な女が好みなんだ。

お前は明らかに星に愛され過ぎてる。」


「ん"ー!!

はっきり言うじゃん…!良かったね!ベル!」



マナはさっぱり観念した。

ルナベレッタはしどろもどろと顔を赤らめていた。

マナは続けた。

「…じゃあベルの居ないところだったらいーい?」

観念してなかった。



「…そういうのは本人の居ないとこで訊け…。」




 そこへガチャッとドアが開き、ガリア、スクードも帰還してきた。

「…今戻った。」

「ただいまー…んー??

まーた俺の知らない美人が二人もいるぜぇ?

ランスの旦那も隅に置けねえなぁ〜」



「妾はマナ。こっちはマホ。きょーだいだよ。

いかしたお兄ーさん、お名前は?」


「俺はスクード。ナイスガイさ。

こっちのデカイのはガリア。タフガイさ。

マナちゃんにマホちゃん!美貌に負けず可愛らしくて良い名前だぁ。

よければ、好きな男性のタイプを訊いてもいいかい?」


「好きなタイプ?妾、ランス。

スクードみたいなタイプも好きよ?

ガリアもねー…多分普通に好きっ!

マホは?」


「えー♪予はね〜…うんと年上がいいでございます〜♪」


「っほっ♪二人とも趣味がい〜ぜぇ!」



そこへランスが悪戯で質問を投げかける。

「じゃあよ、そこで寝てるルナはどうだ?」


呼ばれた気がしてルナは静かに目を覚ました。


するとマナは…

「うーんルナみたいなのは好きじゃ無いかなー。

理想高くて頑張るけど向こう見ずで力が伴って無いタイプでしょ?」


いつの間にかめっちゃフラレてた…。

ランスご満悦。



マホはフォローを入れる。

「えぇ〜予は好きですよ?優しいし勇気あるし。」


男に好かれてた…。


「うん。

まあ理想低くて頑張らなくて臆病で力が無いのよりは遥かに好きだけどね。」

            …胸が苦しい…



 「…おそようございますーっ;

すっかり寝過ごしてしまって申し訳ありませんっ!

あら?皆様お揃いでどうなさいました?

ルナさんどうして涙目なんです?」

シャハネさんも起きてきて全員集合だ。


 ランスが席を立ち、口を開く。

「待ってたぜ。

さーて…皆揃ったところで…

現状の戦力確認といくか…。」


to be continued

あなたの好きはどんな好き?


ちなみにヴァンがパーニャに訊いた二択。話考えてる当初は一択でした。戻れば邸の人間全て殺してパーニャと一緒に居る。パーニャが一緒に来てくれるなら邸の人間は無事だ。ってな具合に。でもヴァンが勝手に言ったんです。君の幸せが一番だ、って。見所のある奴です。

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