Möbius Cross2:洗礼
三人の救世主に救われた少年ルナは修行を積み、身の回りに整理をつけて上京してきてしまいました。
登場人物
·ルナ:主人公の少年。かわいい。
·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる。
·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンでちょっとツン。
『Mobius Cross2:洗礼』
時が流れ成長した少年。名は、ルナ。
ルナは帝都に出て来ていた。
帝都と言えば神を信仰する真神教会と、そこから派生したいくつもの教会が人々の生活を支え賑わっている大都市だ。
宗教の派閥の中で比較的新しく、救世主を信仰するメシア教団が一部で話題を集めている。
そう!ルナはメシア教団に入団したくて上京してきたのだ!
なにせメシア教団の教祖は、かつて災厄のオークを倒し、自分と故郷の村を救ったあの救世主らしい!
あの村だけでは無く、魔物は多発的に世界を襲っており、その尽くを討伐してきたのがメシア教団なのだ!
そこに属せたなら…。あの日の彼らのように、人を救う存在になれたら…。
憧れを胸にメシア教団の門を叩く。
「あら可愛らしい♪礼拝ですか?」
一瞬むっとした。
ルナは確かに見た目優男だが、これでも魔物討伐に志願する勇猛さを持っているのだ。
でもまあこの受付?のお姉さん、見るからにおっとりとした美人で悪気は無い。きっとそういう人柄なのだろう。美人だし。
「いえ…入団希望です。」
ルナは毅然と答えた。
「あらまぁ!ごめんなさい私ったら。。入団希望の方は……」
「お目通りとか要らんぞ。」
聞き覚えのある男の声にハッとする。そして受付のお姉さんがその名を呼んだ。
「あぁ!ランス様!」
銀髪の救世主だ…!唐突な再会に、目を輝かせたまま言葉が出ない。
「乳臭えガキだな。まあ全てはシン次第。シャハネさん、洗礼頼む」
「あらかしこまりましたぁ!でもランス様?初対面でお乳臭いはないでしょう?めっ
しますよ!」
「悪い。それが聞きたくて言った。」
それだけ言うと、銀髪の救世主ランスは出かけていった。
「んもぅ。。ごめんなさいね。えっと…お名前…」
「ルナ…です…。」
「ルナ…綺麗なお名前ですね。」
優しい表情でこのシャハネという女性は言ってくれた。
それは良いとして…
僕は何かまずいことをしただろうか…
銀髪の救世主に良い印象は持たれなかったらしい。。
弱そうと思われたか?腕っぷしには少し自信あるんだけどな。そんなこと一目じゃわからないから仕方無いか?でもあんな…。つきましたよ、洗礼の準備を始めましょうね、ここでお召し物を脱いで下さいねというシャハネさんの案内に従いながらそんなことを悶々と考えていた。
カポン
ツゥ…
「冷たッ!」
一筋の油がルナの頭に垂らされている。
我に帰って辺りを見回すと、大理石が艶めく浴場、自身は裸で腰掛けている。
そして背後には、一糸だけ纏ったシャハネさんが居た。
「…あ!…な…!ちょっ…」
「私の聖油は髪やお肌に良いですから、このまま洗ってしまいますね。た、対面は恥ずかしいので、前…向いて頂いててもいいですか…?」
「あはい!すすみません!!」
動転してしまったが、これが洗礼なのか。
いやこれが洗礼なのだ。清く正しい心で享けなくては!せめて…平常心…。
むしろ下心を試しているのかもしれない。
だとしたらなんと過酷な試練。
さっき一瞬見てしまった、湯浴み着ながらなんとも艶めかしい姿が心を過る。
あの生地1枚が無くなったらどんなに美しい裸体なのだろうか…。
イヤ!だめだだめだ!邪な想いよ沸いてくるな!
鎖で縛りつけろ!神様天使様の事を考えていよう。。
幸いシャハネさんは祈祷文を詠んでいたのでこちらは心頭滅却に専念できた。
「はい!完了しましたよ!」
泡立つ油でもこもこになったルナにざばざばと湯をかけながらシャハネさんは言った。
「この後はゆっくり湯船に浸かって下さいね。出た所でお待ちしていますから。」
そう言ってピタピタと足音が遠ざかっていく。
「あ、ありがとうございました!」
気配が無くなるまでは動かずにいた。
とっぷりと湯船に浸からせてもらい色々と反省してから上がった。
着替えて脱衣所を出るとシャハネさんが待っていた。
「…それではこれから聖堂に行き、貴方のシンを確かめさせて頂きます…。」
…緊張感のある雰囲気でそう告げながら、[洗礼中]の札を裏返して[空き]にするシャハネさんであった。
to be continued
素敵な年上に躰を洗ってもらう儀式。夢がありますね。
シャハネさんは洗礼を生業とする熟練者ですが、少女の頃から洗礼係をしていました。しかしある時期から異性の入信者さんの自分を見る目が変わったことを感じ、ボディラインを隠すための湯浴み着を着用するようになりました。人の裸を見ることは慣れっこですが、自分が見られることは今では少し恥ずかしいみたいです。なにより、大切な入信者さんを欲情させて罪を犯させてはいけないとう配慮もあります。えらいですね。