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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第二章】救世主と紀元の吸血鬼
18/66

『Mobius Cross_メビウスクロス17:乾杯』

ルナが助かってよかったなぁ…

        「風呂回警察だ!」>

(((´;ω;)○-○

☆登場人物

·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない。

·マナ:車輪靴を履いて舞う様に闘う異国人。元気。

·マホ:双剣で舞う様に闘う異国人。ぽや〜ん。

·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる(洗礼)。

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。

·ルナベレッタ:通称ベル。囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す。

·ガリア:拳の救世主。巨漢でクールな力持ち。ちょいコワ男前。

·スクード:盾の救世主。長身軽口兄貴。女性に甘いハンサム。


·パーニャ:貧血と陽に当たれない病気の少女。夜な夜なヴァンと共におさんぽする。

·ヴァン:意思を持つ吸血の魔剣。夜な夜なパーニャと共に血を求め回遊する。


·ゴルゴーン:蛇術館の主で全身甲冑の謎の彫刻家。美しい女の裸像は命が凍りついたかの如き出来栄え…

·ヒュオラ:蛇術館の侍女長。メガツインテールの幼女。館の召使い達は誰も彼女に逆らえない。

『Mobius Cross_メビウスクロス17:乾杯』



 マナとマホの助けで九死に一生を得たルナ。

一旦脅威は避ったが、油断せず3人で行動し、治療と休息のためにメシア教会に戻ることにした。


 教会に着いた時、空はうっすら白んでいた。


建物を見てマナが言う。

「教会じゃん!ルナ、教会の子なの?」


「今はここに置いてもらってる。ここならもーう安心だよ…。」

重々承知の安心感を噛み締めるようにルナはそう言った。




 「へーマジで!

ランスって人…知らない?」


「え!?

知ってるって言うか…ここの主導者だよ?」


「えっマジで?!やっった!ちょーー当りっ♪」


「相変わらず姉さんは強運でございますね〜…!」


何やらマナは喜び、マホは驚嘆している。



「妾たち!…っていうか妾っ、その人を訪ねてこの国に来たのよ!」


「!き、奇跡的じゃないか!またどうして…?」


「昔ぃ彼に助けられてね〜…その恩返し♪」


「ちなみに〜予は連れてこられただけでございます〜」


「いや、マホにも一回会わせたいの!ちょーカッコいいから!」

そう言ってマナは妹をつつきまわしていた。

まるで人気役者を見に遠征でもしてきたかのような、なんとも仲睦まじく可愛らしい姉妹だ。



「あー♪いよいよ会えるのね!」

ウキウキが止まらない様子のマナを見て、ルナは一応釘を刺しておいた。

「この時間は多分起きてないと思うけど…」


 中に入ると足元にポウっと明るいランプが置いてあった。

暗い夜帰ってきても躓かないように…。この優しい気遣いは…




「…ルナさん…?」

聖堂の奥から、ストールに身を包みランプを持ったシャハネさんが出てきた。

「ルナさん!ルナさんルナさん!

遅いから心配しまし…

きゃあ血だらけ!

もぉー何でいつもケガして帰ってくるんですか!?

その方達は?

とにかくおかえりなさい!」


…もはや懐かしさすら感じるこの安寧…。

この人にももう二度と会えなくなるところだったと思うと反省が胸を締め付けた。


鼻をズッと吸ってルナは応えた。

「…ただいま戻りました!

調査中の吸血魔と一戦交えてこのありさまです…。

この人達は命の恩人で、しかもランス様のお客さんなんです。」


マナが一歩前へ

「こんな夜更けにごめんなさい!

ルナを助けたのは偶然なんだけど、マホもケガしてて、少し休まして貰ってもいいですか?」


「まーま!貴女達もキズだらけじゃないですか!

こーなったら…」




「洗礼だな」



 奥からなんとランスが出てきた!いつも昼まで寝ているのに!!


「し、師匠!ただいま戻りました!

この時間に起きておられるとは…」


「んー?時々目ぇ覚めんだよ。またすぐ寝にいく。」




 その姿を見るや、マナはまっしぐらに抱きついていた!

「ランスー!!!」


「ぅおっ!なんだお前!可愛いな誰だ!」


「妾だよー!マナだよー!」


「…マナ…?

マナだと?!お前イウヌのマナか!

何でこんなとこにいる!?」


「えっとー。会いたかったのとー、

最近そっちの国、魔物とか出るらしいじゃん?助けになれないかなーって」


「そりゃありがてえ。なら、洗礼受けてけや。なあシャハネさん。」


また藪から棒にこの人は…




「洗礼って?」

マナの問いにシャハネさんが答える。

「信者となる為の儀式ですよ。」


「えっそれはムリ!妾たちが信仰してるの故郷の神様だもん。」




それはそうだ。

外国の子だぞ?

憧れの人に会いに遠路遥々来たからと言って、信仰まではそう易易と変えさせられるものではない。

新しく来た人誰も彼もそんなすぐに洗礼できる訳は無いのだ。


「違う違う。洗礼は力を覚醒めさせる儀式であって信仰云々は好きにしろ。

要は、

キレイになって

傷癒やして

パワーアップする( かもしれない )

…風呂と思ってくれたらいい。」


「え、そうなの?

じゃー入ろっかな!」


そんな訳も有った。




「マホも入ろ!長旅で汚れてんだ〜♪

こんなので抱きついちゃってごめんね?ランス」


「構わんよ。もっとキレイになってきな。

じゃー、シャハネさんあと頼んだ。」




 「かしこまりましたぁ♪

ではマナさん、マホさん…


ルナさん!洗礼場へ行きましょう!」



予感はしてた!

「だ、ダダダダダメですよ何言ってんですか!!

シャハネさん、このメンバーはダメですよっ!!」


「ルナさんこそ何言ってるんですか!貴方が一番重傷でしょう?」

「てかお前いつも死にかけてんな。」


「私に2度入れと仰るんですか?ふやけてしまうでしょっ」

「そーだぞ。」


「ち、ちがっ…治油貸してください!一人で入りますから!」


「っそんなっ…油さえあれば…私は要らないって…そう仰るんですか…っ?」

「ひでーぞ。」

後ろのランスの合いの手がマジで鬱陶しい。



ルナは何とかして逃れようとする。

「だ、第一、マナ達がイヤでしょそんなの!

ねえ!?」


「へ?妾別にいいよ?」


「予も楽しみでございます〜♪ルナくんとお風呂♪

それもこんな綺麗な女性に洗ってもらえるなんて最高じゃないですか〜♪」


「あらあらお上手ですねぇ♪

これは腕によりをかけて洗礼しなければ!」



脱出失敗。

ケガして帰るたびにこれでは、いつかシンが消えてなくなってしまう…かもしれない。

ルナは、これからは自重しようと魂に誓うのだった。



 そしてマナがヒドイのだ。その女らしい躰を一切かくそうとしない。

また、今まで見てきた女性陣とは全く違うタイプの美しさ。細く靭やかながら、腰のくびれやプンと上を向いた小尻など、ハリのある身体はまるで踊り子の精だ。


…しかし、それ以上にルナとシャハネさんを驚かせたのは、マホの肉体のある秘密だった。




「びっくりしました!

まさかマホさんが男の子だったなんて!」

シャハネさんがそう言うのも無理はなかった。


 洗礼場で見たマホは確かに男性だったが、湯上がりでゆったりした寝間着を着ているとどう見ても女の子なのである。


「あれ?ランスは?」

姉として見慣れているから気にならないのだろう。

マナはそんなことよりランス状態だった。


「また寝ちゃったんじゃないかと。

それより、あなた達も寝てないでしょう?

もうおやすみなさってください。」

と台所で何かを調合しながらシャハネさんは言った。


「んーそっかー…。じゃー寝よっか、マホ。」


 「はい!ではコレをどうぞ。」

シャハネさんは何やら飲み物を出してくれた。

ほんのり甘い香りがする…。

「栄養と消化に良い山羊のミルクに、

疲労回復効果のあるレモン果汁と蜂蜜水を混ぜて、

オリーブオイルを少し加えた特製すこやか水です。めしあがれ♪」



「わぁーおいしそ!マホ、かんぱいしよっ!」


「かんぱい〜♪」


「うっふっふ♪あなた達同士で乾杯してどうするんですか」

シャハネさんは愛で笑いながら言った。




 「乾杯というのは、互いの盃の中身を混ぜ合い、毒が入っていないことを確かめることに由来してるんですよ。」

シャハネさんは自らにも用意した銀のコップをマナとマホのコップにカチンと鳴らした。

「なのでこうして飲み物を振る舞った方からして、先に飲むのがマナーかなーって私は思ってます。」 

そう言ってクピクピっと飲み干して見せた。


「ほえ〜そーなんだ!妾盛り上げる為の挨拶と思ってた!」

「予は死者や神様に捧げる儀式の名残って習いました〜」

「えっそうだっけ…」


「そうなんですかぁ!

国によって意味は違うのに、やることは同じなんて面白いですね。

はい、ルナさんもどうぞ!」

洗礼の件ですっかり茹で上がっていたルナにもすこやか水を渡すシャハネさん。



「かんぱーい」

皆で一気に飲み干す。



「っあぁぁっ!!うまーっ!!」


闘いの疲れと湯上がりの火照りに冷たく染み渡っていく…!


「さー。飲んだら寝室へご案内しますよ。」




 「ごちそうさま!

妾ランスの部屋がいいな〜♪」


「コラコラっ

ここは男女ひとつ屋根の下の修道院なのですから、慎みを持ってくださいね!

めっ

しますよ?」


慎みの基準…


「ええ〜お願ぁい。」



「マナ。シャハネさんもあまり寝てないと思うから、もう休ませてあげて。」

ルナの気遣いに観念するマナ。

「…はーい。じゃあシャハネさん一緒に寝よー?」


観念してなかった。



「えー?まぁマナさんならいいですかね♪」


「予も予も〜!一人で寝るの苦手なんでございます〜…」


「えー?まぁマホさんならいい…のでしょうか?」


 女性陣?が出ていくと、ルナはふーーー…とため息をついた。


…僕は乾杯、飲み物を美味しくするまじないだと思ってたなぁ…

国によって…いや人によって違うのかもしれないな…

そんなことを想いながら、ルナは机に突っ伏して眠り込んでしまうのだった。


to be continued

乾杯とは(哲学)

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