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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第一章】救世主と罪の魔神と蛇の館
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『Mobius Cross_メビウスクロス11:魔神と救世主と』

ルナベレッタとギルトの慎ましい生活。

☆登場人物

·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない。

·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる。

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。

·ガリア:拳の救世主。巨漢でクールな力持ち。ちょいコワ男前。

·スクード:盾の救世主。長身軽口兄貴。女性に甘いハンサム。

·ルナベレッタ:囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す。

『Mobius Cross_メビウスクロス11:魔神と救世主と』



「それにしても良かったですねルナさん!団服もよくお似合いです〜!」

新たな白い団服に身を包んだルナを眺めながら、シャハネさんが嬉しそうに言った。

「シンがそんなに遅れて発現するなんて、珍しいこともあるものですね。何か要因があるのでしょうか?」


  「そりゃ色々あるさ。男にはな。」

ランスが起きてきた。中々にゆったりの起床だ。


///…そんな本人の前で…と、ルナは気恥ずかしくなりうつむいてしまった。すると、


「休憩頂きま…あぁ、ランスさんおはようございます。」

ルナベレッタが懺悔室の執務を一段落させ戻ってきた。


彼女を見るとルナの心はスーッと軽くなる。

それは彼女の背と左手に宿る魔神ギルトが罪の意識を食べているからだ。

「「ンン〜♡羞恥に関わる罪は甘くてイイなァ。まるでアップルパイだ」」


「あ!ギルト様。お疲れはありませんか?」


「「むしろ元気だドンドン喰わせろ」」


ギルトは相変わらず禍々しい見た目だ。

シャハネさんはまだ慣れていないのか好奇の目を向け言う。

「ギルト様は今日も大っきいですねぇ。

お二人はこの方と争ったのでしょう?よくご無事で。。」


「捕まえたのはこの弟子の方だけどな。」

ルナの頭をポンポンと叩きながら説明するランス。


ルナは口元が弛み鼻と目を見開いて喜びを噛み締めた。

その、嬉しさを微塵も隠せていない子供のような表情が可愛くてシャハネさんは微笑んでしまった。

「ランス様ったら随分お贔屓になさってますね♪

最初はあんなに邪険にしてたのに。」


「まだまだ!全然小便臭いガキだよこんなの!

ただまぁシンと根性に見所があった。

な?ルナ。」


「はい」

「ッはい!ありがとうござっ…」

ルナベレッタとルナがほぼ同時に応えた。


ルナはイッケネ顔になった。

ジト目ランス。


「ほらぁっ!お二人が混乱してるじゃないですかぁ!素直にベルさんって呼びましょう!」


なおもうーぬと素直になれないランスにあきれるシャハネさん。


するとルナベレッタが口を開いた。

「…あの…出会った時、私からルナと呼んでくださいと言ったのに罪深いのですが…

ランスさんにもベルって呼んで欲しい…です。ルナベレッタ、でも大丈夫です。」


ランスはルナベレッタの瞳を見つめて即答した。

「考えておくよ。ベル。」

ちなみにルナベレッタ呼びはギルトの後追いに感じて嫌だった。


「ンン…ランス様ベルさんのお願いは素直に聞いてる…」

シャハネさんしょんぼり。


あの救世主が掌くるくるしている。

一緒に過ごしてみると本当に色々人間らしい一面が知れるものだ。


ルナはふと思い出した。あとの二人…

盾の救世主と拳の救世主はどんな人なのだろうか…。

またお会いしたい。話してみたい。

あの二人に自分は少しは近づけただろうか…。


そんなことを考えていると教会の扉がガチャッと開く音がした。


シャハネさんが慌てて

「あ、いけない!お客様だわ!」


とスタスタかけていき、聖堂へ繋がるドアに手をかけた時である。

ドアがグイッと外側に開いた!ノブを握っていたシャハネさんは引っ張られて倒れそうになる!


ポフッとシャハネさんを受け止めた男。

「おーっと、美人が飛び出すびっくり箱を開けちゃったかな?」


「あららっ!スクード様!?」


盾の救世主だ!!その後ろから


「今帰った。」


「ガリア様!!」


拳の救世主だ!!


ルナにとっては虫の知らせのようなタイミングで二人が帰ってきた。

二人は室内を見渡し、仲間が増えていることに気づいた。


「おっニューフェイスだ!お嬢さん、お名前と、好きな男性のタイプをお訊きしても?」

盾の救世主スクードがルナベレッタに訊ねた。


「はじめまして。ルナベレッタと申します。長いのでベルとお呼びください。

す、好きな…男性の…タイプ。。」


ルナやランスの視線が方位磁石のようにルナベレッタに引き寄せられる。


「…えっと……手の甲の…」

とルナベレッタが言うと、ルナとランスは自分の手をちらりと見る。


「すじが…こう…ぐきっと出てる人が…//」

後ろでルナとランスがコソりと確認してる。


スクードは綽々とルナベレッタの手を取ると

「ステキなご趣味だ♪ちなみに俺の趣味は、手が華奢でお尻が魅力的な女性さ♪」

そう言って、指長で、大きく、逞しい手で紳士的に覆った。


するとスクードの手の中で、ルナベレッタの手がムクムクと太りだし、ズンッとギルトのすじぐっきぐきな手になった!


「「ふしだらな手でルナベレッタに触るんじゃあねえ」」


「ヒェーたまげた。おっかないナイトの登場だ。こりゃ、安心だ。」


飄々としたスクードに対して、拳のガリアは質実に口を開いた。

「…少年は、何処かで会ったことがあるな?」


ルナは鳥肌が立った。

「ぁ…覚えていて…くださるとは…」


「今まで多くの人間を救ったが…勇気を瞳に宿した者は何となく覚えている。大きくなったな。」


〜嬉っしいッ!

あまり初見で認められることの無い自分が、焦がれに焦がれた筋骨隆々圧倒的力の象徴・拳の救世主に覚えてもらっているとは…!!

ルナは言葉が出なかった。


「まぁ頑張れ。ランスが認めた男なら信用できる。」



「よし。二人ともご苦労だった。報告を聴こう。」

ランスの言葉を受け、三人の救世主は奥の部屋へ消えていった。


ルナベレッタが感想を呟く。

「何と言うか、すごい貫禄ですね。」


それにシャハネさんが答えた。

「それはそうですよベルさん!

彼らこそ、我らが救世主ランス様が、忠臣と認める第二位・三位の救世主なのですから!」


「「いけ好かない奴等だ!罪の意識を微塵も感じ無い!

救世主ってのは皆ああなのか!」」


「何言ってんだ!世界を救う人達だぞ!そもそも罪を犯すはずがないだろう。」

何故かルナドヤ顔。


「「…。フン。めでたい奴め。見つけてやるぞ救世主の罪を喰らう方法を。」」


「ギルト様?またむきになられては。。」


「「おっとすまん心配させたな。もうあんなことはしないさ…。さ、肉でも食って仕事に戻るぞ。」」


「お野菜で我慢してください」


「「チッ」」


その後、ふかした芋とお茶で休憩をし、ルナベレッタはもうひとがんばり懺悔室の仕事をした。



事件は夕刻におきた…。


久しぶりの仕事。ただ座って、人の懺悔を聽き続けるというのは存外消耗するものだ。

ルナベレッタは疲れを癒やそうと洗礼場へ向かった。

浴室に入るとそこには、なんと、話し合いを終えて汗を流す三人の救世主がいた。


「キャーッ///」


三人は当然生まれたままの姿だ。それもまるでギリシア彫刻のような美しく逞しい肉体。

ルナベレッタは堪らず手で顔を覆った。

が、


ニョキニョキ


と背中のギルトが伸びてきて目をパチリと開いたのだ!


「ン"ン"ーッ!!///ギルト様ダメですー!見てはいけませーん!」

と顔を押さえ所々壁にぶつかりながら出ていく。

「ハァ、ハァ…もうっ!何するんですかギルト様!男性の肌をあんなにまじまじ観るなんて罪深い///」


「「オレダッテ、オマエガサワグカラ、ナニゴトカトオモッテ…」」


「あ…そ、そうですよね。よく確認せずにお風呂場に入ったのは私なのに…すみません。」


もちろんわざとである。

こうしてこの日から、ルナベレッタは度々男風呂を覗かされることになる。

ギルトにとっては、ルナベレッタが放つ羞恥の罪がなんとも甘く切ない味で、仕事(主食)の後のデザートに最適だった。


ルナベレッタにとっては、眉目秀麗な逞しい男達の素肌にほんの少し目の保養を感じつつ、そんなことは神に使える身として罪深いと自分に喝を入れねばならなかった。


余談だが、盾の救世主スクードは均整の取れた躰で筋肉質、広い胸幅から腰回りは男らしく窄まり非常にセクシィ。手の甲のすじも良い感じに浮き出ている。

拳の救世主ガリアは腕が大きく張りがあり、骨太の関節がせり出していて雄々しい。手の甲も骨とすじと血管のバランスが良い。

ランスは二人に比べると細く見えるが、かなり筋肉はついており、良い感じにすじすじした手足。控えめな胸筋とうっすら浮き出た肋骨、長い銀髪に見え隠れする背筋やスマートに痩けた臀部からは知性が見て取れる。細く長く綺麗な手ながら、時折力を込めると一気にすじが主張して最高らしい。

あと余談の余談だが、まれにルナの裸を見てしまうこともある。ソレに対してはまるで実家のような安心感を覚えてしまうルナベレッタであった。



話を戻そう。

ルナベレッタが初めて三救主の裸を見た夜。



「起きてるか。」

ランスはルナベレッタの寝室を訪ねた。訊きながらもう既に入っている。

ルナベレッタは背中を向けてすぅすぅと小さく寝息を立てていた。

その傍らに座るランス。再び囁く。

「おい。起きてんだろ。」


「「…俺に言ってんのか!!!」」


いきなりランスの眼前に翼が出現しギルトが巨大な目玉を擦り付ける勢いで睨みつけてきた。


「そうだよ。」


ギルトは脅かすつもりだったが、ランスは瞬きもせずそう答えた。

ルナベレッタを起こさない為かギルトも小声で喋る。

「「ハァ…つまらん。どうしてお前はそんなに感情が無いんだ。」」


「わるかったな。」


「「悪びれてから言え!」」


「嘘じゃねえ。お前を餓死させようとしたことに対しても、な。」


「「…。ハッ!結果大失敗だったわけだ。俺は飢餓によって暴走し、ルナとかいう小僧を殺しかけた。」」


「俺にとっての失敗は…ベルが死ぬことだけだがな。弟子も死ななかったのはアイツの運がよかった。

だが一番幸運だったのはお前だぜ。もし弟子が訪れるというイレギュラーが無ければお前はあのまま無事餓死してた。

もし弟子があの場で死んでたら、お前は捕らえられることもなく俺に殺されていた。」


「「…バカにシヤガッテ…。」」


「違う。

お前が生き延びるという奇跡には何か意味があるはずだ。

お前はここで、その意味を果たせ。俺も助力してやる。」


「「…!フン!また暴走しチマウカモヨ!オマエのセイデな!」」


「そうなったら今度こそお前を滅す。」

「「…チッ…少しは責任感じろ。

俺が最初に暴走したのも原因はオマエだったろう。

あれだけの罪…どこに隠した?」」


ランスは人差し指を立てた

「秘密。」


「「…いつか必ずオマエの罪を喰らってやる…。」」


「お前の最後の晩餐にでもくれてやるよ。」



「…ン…ムニャムニャ…ランスさん…?」

!!

起こしたか、と思ったがルナベレッタは目を閉じたまま。どうやら寝言らしい。

ふっと気が抜けるギルトとランス。


「…アッ…ランしゅはんイケマヘン…ひゅみふかぃ…」

口角に涎をきらめかせながら何やら如何わしい夢を見ているようだ。


「「オマエらがヘンナモノ見せるからだぞ」」


「お前が見させたんだぞ」


「「…」」

「…」


「可愛いな」

「「ん…」」

少しだけわかりあえた魔神と救世主であった。


to be continued

好みのタイプ訊かれて躰のパーツで答える人好き

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