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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第一章】救世主と罪の魔神と蛇の館
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『Mobius Cross_メビウスクロス10:見識』

お風呂回だヤッター!(∩´∀`)∩


☆登場人物

·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない。

·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる。

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。

·ルナベレッタ:囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す。

『Mobius Cross_メビウスクロス10:見識』



魔神を捕らえたルナとランス、魔神とともに捕らわれたルナベレッタはメシア教会に帰ってきた。

扉をガチャリと開く。


「ただいま戻りました!」

「お邪魔致しま〜す。。」

「…。」


定位置に居たシャハネさん、最初に血汚れのルナが入ってきたものだからえっ!?という驚き。

次に、灰色の巨大な肉塊とともに縛られた娘に困惑。。

でも最後に、無事に帰ってきたランスの姿を見てウルッと瞳を輝かせ、表情が変化していく。

「ランス様!ご無事でよかった…!

ルナさんはご無事じゃなさそう!

それに…その娘は?」

ちょっと混乱してるシャハネさん。


ランスが自慢げに答える。

「コイツがやっと口説き落とした例のシスターさ。」


「えっ…この娘が!?お、おめでとうございます!ついに…無事に救い出せたのですね。。」


「おうよ。でさっそくだがシャハネさん、このルナを洗礼してやってくれ。」


「ルナさんを…かしこまりました!ひどいケガですものね!」


恐らくルナとルナベレッタを勘違いしているが、ランスは説明を端折った。

「そ。シスターと二人まとめて頼む。

どうせまだ拘束を解くわけにはいかないしな。」


「行ってまいりま〜す!お二人ともこちらへ〜」


二人はしずしずとついていく。

洗礼場に着くとシャハネさんが例の説明を開始する。

「つきましたよ。ここでお召し物を脱いでくださいね。」


戸惑うルナベレッタ。


それはそうだ!洗礼初体験の人にはわかるまい!

うら若き乙女に突然服を脱げなどと!

すかさずルナがフォローに入る。

「驚くのも無理はありません。しかしこれは神聖な儀式なのです。

大丈夫!僕はここで背を向けて目を閉じて待ってますから。」


「で、でもルナ君…」


「大丈夫!」


「なに仰ってるんです?

シスターさんは鎖でぐるぐる巻きなんですからこのまま淹れるしかないでしょう!

脱ぐのは貴方です!」


「!?!」

ルナは湯気が噴き出したほど恥ずかしかった。

少し考えれば分かることじゃないかベルさんが物理的に脱げないことくらい!

ひょっとして無意識の願望出た?!少なくともそう思われた?!ムオォォ!!


「…?イタタ…ギルト様膨れないで下さい…」


ルナが湯気を吸ってもらい正気に戻っているうちに、シャハネさんは自身のローブの肩紐をするりとほどく。

そのローブは流れる水の様に、細い足首の周りに舞い落ちた。

一瞬ビビったルナだが、シャハネさんはあの一糸の湯浴み着を下に着ていたので助かった。


シャハネさんは構わず肝っ玉な説明をしだした。

「お任せください!キズを治す治油と洗礼の聖油、同時に使ってお二人いっぺんに済ませてしまいますからね!腕が鳴ります〜♪」


そんなこんなで、シャハネさんを中心にルナとルナベレッタは一緒に洗われている。

どうしても恥ずかしいというので、優しいシャハネさんはルナに自分の替えの湯浴み着を半強制的に着せてあげた。


「きゃー♪ルナさん可愛いです〜!ほんとに女の子みたいですよ!」


シャハネさんの声が浴場に反響する。

ルナはいっそ消えたかったが、もう諦めるよりほかなかったので、大人しく頭のキズに油を塗りこまれている。


ルナベレッタも頭が泡立ち始め、クシュクシュと撫でられるのを心地良く感じ始めた頃、祈祷文を詠み終えたシャハネさんが不意に話しかけた。

「…貴女はずっと囚われていたのでしょう?可哀想に…綺麗に洗ってあげますからね。」


ルナベレッタは一月ほど入浴は勿論沐浴もできない状態だった。

髪はベタつき、比喩ではなく獣のような臭いがする。

そんな彼女を、シャハネさんは丁寧に丁寧に洗った。

髪の泡を流したかと思うと、モップを絞るようにぎゅっぎゅと束ね水気を落とし、もう一度聖油を手櫛で念入りに髪へと塗り込み、布で巻いて一息つく。


「ふぅ。申し訳ありませんルナさん少しお時間がかかりそうです。」


「いえ。大丈夫ですよ。」

ルナは優しく応えた。


「次は躰ですね!」

シャハネさんは気合を入れて言った。


ルナベレッタのとうにビショビショになった修道服の上から聖油をかけ、すさまじい手際で擦り回していく。


「!ちょ、ちょっと!待っ…くふっ…キャハハ///」

普段落ち着いた印象のルナベレッタから高い声があがった。


くすぐったがりだったのか…とルナは見識を深めた。


みるみるモコモコになっていくルナベレッタ。

シャハネさんは畳み掛けるように言った。

「服、ボロボロですし破っちゃいますね!」


ビビッ、ビッ、ビーィッ


「えちょっ?!///」

「背中は無理か…脇いきます!」

「えっまっ!キャハハハ!///」


シャハネさん脱衣所に向かって声を出す

「ランス様いますよね〜!

私の替えのローブを脱衣所に持ってきといて下さいますか、なるべく大きいの〜!」


すると当たり前のように脱衣所にいたランスが応える

     「あぁん?場所わからん!」


ダメな亭主みたいなこと言ってる。


「えぇ〜!んもぉ〜…」

と言いながら、ピタッタッタとシャハネさんが出ていった。

とたんに静かになる浴場。


ルナベレッタ

「…ルナ君…見ないでください…」

としくしく鼻を鳴らす。


「だ、大丈夫です。目を閉じてますっ。」

きがきではないが。


程なくしてシャハネさんが帰ってきた。

   「…覗いてばかりいてはめっ

しますよ!」


   「…ごめん。床拭いとくよ。」


救世主にも人並の一面があるんだなぁと、ルナはもりもり見識が広がっていた。


「お待たせしましたぁ!さ、ラストスパートですよ!」


その後もルナベレッタはしこたま洗われ、最後お湯で泡を流される時にはぐったりしていた。

途中、洗浄が脚の間に差し掛かった時はルナも流石にまずいと思い、持っているクロスの柄を耳の穴に詰め込んで声を聴かない努力をした。(最後終わって耳から抜こうとするがすぐ抜けなくて一瞬焦った。)



修道院の応接間。

ルナベレッタは3人に静かに取り囲まれている。

シャハネさんのおかげでルナベレッタはすっかりキレイ。

腰まである髪は白金の生地のようで、ルナは見とれていた。

背中のギルトは健在、シャハネさんが貸した司祭のローブから翼の頭だけ見えているものの、中でいまだ鎖に巻かれている。

シャハネさんが顔だけランスに、視線はルナベレッタに向けて口を開く。

「…洗礼を経て彼女は解放されるのでしょうか?」


「そのはずだ。俺の読みではな。そうだろ?魔神。」


ギルトが間をとってからぽつりと応える

「「…解放は無い。一心同体だからな。」」


「ならちょん切るしかねーか?

弟子、鎖弛めろ。」


「え…しかし…」

ルナは躊躇した。


鎗を構えギルトを見据えるランス。

「覚悟はいいか?」


「「フン。テメエニ切られル筋合いはネエガナ。」」

場が緊張する。



「…よく…ありません…ごめんなさい…っ。わがままを言っても、いいですか…。」

震える声でルナベレッタが言った。


「私…思い出したんです…。

ギルト様は、私が身を捧げることで、今まで多くの人を救ってきました。

私もまたそのことで救われてきました…」


ランスは冷酷に返す。

「同じように多くの人を傷つけた。お前は罪を吸われそのことだけを忘れている。」


「はい。それが私達の赦されざる罪。

その罰としてギルト様が召されると言うなら…

私はお供したいと思うのです。」


ルナとシャハネは目をむく。ランスの表情は変わらない。



ルナベレッタは続けた。

「でも自分に置き換えてみて思うのです。


死ぬことは償いになるのか


と…。」



「「ルナベレッタ。」」

ギルトが呼び止める。


「「モウイイ。もう…。」」

言うと、ルナベレッタの目から涙が溢れ出てきた。

全てが伝わってくる。

ギルトの諦め。

覚悟。

哀しみ。


「言いたいことはそれだけか。

ルナ。鎖を弛めろ。」

ランスの態度は変わらない。


ルナも承知し、鎖を弛めた。

ギルトの翼がめりめりと開く。

ランスが鎗を振り上げながら近づく。


「「…おいガキ。

…すまなかったな。

ルナベレッタをよろしく頼む。

…ルナベレッタ。今まで…ありがとうよ。

最後の方で迷惑かけちまってすまなかった…幸せに生きろ。」」


ランスが鎗を振り下ろす!


ザクッ



鎗は床に刺さっている!


「ハッハー!!騙されたな馬鹿め!

お前が正気なことくらい分かってんだよ!生き恥晒して懺悔しな。」


ルナベレッタは感謝で声は出ず、ただただ涙を流している。

シャハネさんはうんうんと笑顔で頷き、ルナは小さくガッツポーズをしていた。

ギルトだけは本気で驚いていたのでちょっと恥ずかしかった。


「っしゃ!執行猶予!弟子、鎖を外しな!」


「はい!師匠!」

ルナは鎖をシュッとはずした。


「「クックック!バーカめッ!!騙されたな!!暴れてやるぞ!」」

バサッと威嚇するギルト!


「弟子!執行!」

「はい!」

チャキ


「「わー!!ジョーク!ジョーク!!すまん!改心してる!」」

と言ってギルトはルナベレッタの中に消えていった。



「てめぇ魔神のくせにしょーもねーんだよ!


…フン!腹減った。シャハネさんルナ。飯にしよう。」



「はい」

「はい!」

ルナとルナベレッタが同時に返事した。


「お前は弟子だろうが」

とランス。


シャハネさんが訊ねる。

「えーと今更なんですが、シスターさんはルナ…ベレッタさん?ルナさんは?」


「こいつは被ってるから弟子に改名させた」


「僕はベルさんと呼んでます」

ボソッとルナ。


「んもう!また無茶言って!めっ

しますよ!」


バツが悪そうにするランス。

「飯…」


「んまったく。何が良いですか?」


「「ステーキ」」

姿は見えないがギルトが答えた。


「てめっ囚神は黙って豆でも食ってろ!」


「あ…私手伝います。お豆さん好きです。お肉はダメだけど…」


こうしてメシア教団に仲間が加わったのだった。


to be continued

次回は救世主集結とルナベレッタの日常を少し。

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