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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第一章】救世主と罪の魔神と蛇の館
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メビウスクロス1:Messiah

もっと人が救える存在になりたい


登場人物

災厄のオーク:世を滅ぼすほどの力を持った魔物。絶対に勝てない。

村人達:危機にいち早く晒された人達。

 ✝お前のクロスで貫け✝


『Mobius Cross1:Messiah』



__その日その瞳に映ったのは 世を滅ぼす圧倒的な化け物と その化け物が瞬殺される姿だった__



 今より遙か昔。彗星の周期から暦を読み、予言者が示した日には何が起こるだろう。

 誰もが「何も起こるまい」と思いつつ、「何かが変わるかも知れない」と考えてしまう日。

その日彼らは知る。

 国の最果てにある村のさらに向こう、荒野の彼方からその『災厄』は現れた。





「オッ?! …オ、オ…、オ…ッ…オークだ!! オークが出たぞーー!!!」



 身の丈5m、信じられないほど発達した肩幅、品性や慈悲など持ち合わせてはいないであろう醜悪な顔立ち。

言い伝えにのみ聞く魔物の襲来に、小さな村は戦慄した。


 村人達が臨戦態勢に入る!

槍や弓を握り、その切っ先をオークに。まずは牽制として矢を放つ。動きはさほど速くない。数本命中


ガキンッ


よりによって弾くか?! まったく無防備なあの体勢で! 奴の体が鉄より硬いことをわからされてしまった。

こうなると槍が通じるとも思えない。脅威の次元が違う。逃げるんだ。村人全員の思考が逃走に切り替わっていった。


 最中、一人の少年が屋根の上から油壺をオークめがけて落とした。

ガシャンッと油がオークの巨体を塗らす。オークは鳥に糞でも落とされたかのように頭を触り、ぬうっと少年の方へ首を回す。

恐い! ので少年はすかさず松明を数本投げつける!

カランカランと音がなり、ほどなくしてオークの足下から火の手が上がり始める。

オークは次第に自分を這い上がってくる熱い物体を認識し、手で拭い取ろうとする。

しかし中々取れない。それどころか掌に油ごと火が付き、余計に事態が悪化した。



「ブオオオオオオオオオオオオッ!」

凄まじい雄叫びとともに、オークがキレた!


 少年の居る建物の壁を、まるで空箱の山に手を入れるかのごとく手応えなくぶち抜くと、腕を振り抜き建物を吹き飛ばしてしまった!

土埃がオークを包み、狙ったかはわからないが火を消した。

やがて土埃が薄れていき、巨漢が覗かれる。僅かに焼けた皮膚が、浮き出てきた血管によって裂け、血が滲んだ。

憤怒したオークはやや前のめりになり、わざとドシドシ地団駄を踏むように何かを探している。

足音が段々大袈裟になっていく。

恐らく、オークの中でもうキレて暴れる事は決まっていて、予定調和として探すふりをしている。

見つからないことで苛立ちを加速しているのだ。


 しかし、幸か不幸か探しものは見つかった。

横たわる少年。


コレだコレだ! コレを次に見た時キレようと思ってたんダ! 思いっきりぶっ叩いてやりたいと思ってたんダ! とばかりにオークはその巨大な拳を握り挙げ


少年の消え入りそうな

「…た…すけ…て」

の声も意に介さず

空気が潰れる轟音と共に振り下ろす!


と、


 吹き飛ばされ宙を舞ったのはオークの片腕だった!


「だ…れ…」


「ヘーラクレスさ」


 眼前には大盾を傘のように構えた長身の男が立っていた。

余裕の笑みを浮かべるその男はどういう理屈かわからないがあの巨大な一撃を盾でしのぎ相手の腕を吹き飛ばしたのだ。


 普通の生物対生物ならそれで勝負は決まっている。人間なら戦意を喪失し、生き延びるために逃亡するだろう、動物なら尚更だ。

しかし、怪物は違った。恐るべき事に一切の恐怖を感じておらず、ただ怒りのみを爆発させ、再びこちらに地鳴りとともに走り込んでくる。

そして残った腕を振りかぶる。今度は突進で全体重を乗せた拳を放つ気だ。

盾の男は構えてすらいない。余裕なのか?

しかし本当に大丈夫? 万一は無い? 後ろへの衝撃とか…


 少年にとっては死活問題なのでちょっと心配になっていると、背後からもう一人男が飛び出した。

丸腰のその男は盾の男の横も駆け抜けてオークの拳の真正面、自らも思いっきり振りかぶり拳を叩きつける


雷! 爆音! 爆風!


 一瞬の明滅の後、衝撃波に体を反らせて何とか耐える両腕の無いオーク!


すると、どこからか


「よくやった」


と声がし、オークの上空から人影が舞い降りる。

 一瞬で急降下したかと思うとその手に持つランスでオークの脳天を貫いた。


 火も矢も効かなかった圧倒的な化け物をさらに圧倒してしまったこの三人は一体。。



 巨大な十字架を二つに割ったような大盾を両腕に備えた、何処か軽薄な雰囲気の男。


 圧倒的筋肉を備えた無骨な大男。


 そして銀髪に黒い衣を纏い、神聖な雰囲気の十字鎗を持った青年。


 災厄の骸を踏みつけ、神話の1シーンのようにたたずむ三位一体の英雄は、少年にとって救世主以外の何物でも無かった。


to be continued


良い子のみんなはちょっとくらい勇気と知恵があるからってオークにケンカを売っちゃダメだゾ★


追伸

最近、「出版業界でのお約束」みたいなのをとある文豪に教えていただきまして、「」の中は句点で終わらない、とか、! 等の後にはスペース挿れるとかを知りました。

勿論私の問題はそこではないのですが、「マナーがなっとらん(怒)」と初見で去らせては悲しいので、1話だけ修正しました。2話から元に戻りますのでご了承下さい。まあそれも未熟者の思い出と言うことで悪しからず (*´ω`*)

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