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フリーズワープ!  作者: 絲璃 露悕
9/15

冒険9 勝負

「まぁーた一個も売れてないのかぁ?」

「ちょっと千鶴ちゃん。なにこの人?」


佳恩が小声で千鶴に聞く。


石無(せきな) (じん)。…さん。わたしの雇い主に雇われた方です」


千鶴が一度、『さん』をつけずに名前を言い、『さん』を付け足したが、気にしないでおこう。

佳恩は佳恩で素直に石無の感想を言う。


「立場一緒のくせにエラソー」

「しょうがないんです。そういう人間なので」

「千鶴ちゃんちょっと怖いよ…?」


佳恩が引きつった笑顔で言うと、千鶴はそんな佳恩を無視し、石無に反論する。


「いえ!今日はちゃんと売れてます!それに、布の数え方は『個』じゃないです!」

「ほぉーん??じゃあ何円売れたんだよ?」

「30万円です!」


千鶴がフフンと得意げに言う。


「なっ…!30万だと…!?俺の店でも最高10万しか売れてないっていうのにっ…!」

「勝ったぁぁ!」


よっしゃああぁあ!と千鶴はガッツポーズをする。


「千鶴ちゃん…あんな態度で大丈夫かな?多分20歳位年上だよね?」

「それ佳恩が言う?」

「誰だ!?その客はどこのどいつだよ!こんなボロっちい店で()()()布ごときに30万も払う奴いるわけねぇだろーが!」

「・・・()()()()()()()()()()ぃ?30万円分布買ったのは私達!30万円分の布を買った奴が今アンタの目の前にいますぅ!」

「地雷踏んだー……」


海がボソッと呟く。


「布を馬鹿にするな!」

「おいおい嬢ちゃん俺にそんな口聞いていいのかぁ?俺はここらじゃ一番強ぇぞ?それにスライムなんか連れて、どういうつもりだ?」

「だから何なの?強いからなんなの?スライム連れててなにが悪いの?それにこの子の名前はスーちゃんだし!」

(確かに、なんでスライム連れてるんだろう?)


千鶴も今やっと佳恩がスライムを連れている事に気づいた。

久しぶりのお客様に、久しぶりのお買い上げ。

色々と見る余裕がなかったのである。


「ちょっと佳恩ちゃん…その辺でやめといた方が…」

「布を馬鹿にされて、黙ってられないです!」


なぎさが止めようとするが、もう間に合わない。


「じゃあ勝負するか?」

「勝負って…どんな…?」


佳恩がニヤァと笑いながら聞き返す。


「ちょっと佳恩ちゃん!危ないよ!」


なぎさの心配をお構いなしに佳恩は続ける。


「勝負の内容によっては、あなた死ぬよ?」

「死ぬのは嬢ちゃんの方だ!」

「おー殺す気満々?」

「勝負内容は、今ギルドにある依頼の中で、一番難易度が高い依頼を1つずつ受けて、先に達成できた方が勝ちだ!勝った方の意見が正解って事だ!たかが布か凄い布か決めてやる!」

「いいね…その勝負乗った!なぎささん!今ある依頼全部見して!」

「じゃ、じゃあギルドに戻ろっか」


なぎさが、急に自分に話が振られ、ぱむっと手を合わせる。


「なんだよ、そっちの嬢ちゃんギルド嬢かよ?」

「ギルド嬢だからなんなの!?」


佳恩はまだ先程の言い合いが脳に残っているようだった。

ギャンっと石無を睨みながら反論する。


「ちょっ、佳恩ちゃん…!」

(((なんでこんなくだらない理由で命が賭けられるんろう…?)))


晶、海、スーちゃんの3人はそう思っていた。

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