冒険2 異世界転移と空の事情2
「か〜い〜!あっち行ってみよ〜よ〜、花畑の方〜!」
「だからー、そんな適当に決めちゃ駄目だって〜」
「これはただの勘じゃなくて私が長年つちかってきた野生の勘なの〜!」
「いや凄いね⁉︎」
揉めているのかいないのかわからない会話をしていると、
〔えっと、東雲 佳恩ちゃんと紅尾 海君だよね?〕
という男の子の様な女の子の様な声が聞こえた。
正確には、頭に響いた。
「「え⁉︎誰、なんで名前知って…?」」
〔僕は、神様で…〕
「「神様ーーー⁉︎⁉︎⁉︎」」
〔うん…。
それで、間違えて君達を異世界であるこの、えと、ヒレスリーフ王国に飛ばしてしまって……〕
「「異世界⁉︎」」
2人は、
「「めっちゃ楽しそうじゃん!」」
うっ、怒られる!とビクッとした神様の考えと真逆の事を言った。
しかも、目をキラキラとさせて。今は、神様に敬語を使わない事は置いておこう。
流石、気の合う親友だ。先程から、同じ事を同時に言っている。
「ここ、ヒレスリーフ王国っていうんだー」
〔え、怒らないの?〕
戸惑う神様。当然だ。
「え?そりゃあビックリはしたけどさ、怒る事じゃないよ。それに、神様を怒るっていうのもなんかねぇ……」
「俺のモットーは、何事もポジティブに考える、だからさ!」
「私も私も!」
海の言葉にかぶせ気味に手を挙げながら佳恩が言う。
〔じゃあ、この世界の説明をするね。
まず、この世界では、魔法が使えるんだ。〕
「「まほうー⁉︎」」
先程からいちいち感想を言っていて正直うるさいが、神様は気にせずに続ける。
〔うん。お金はハンターとかになれば貯まるよ。それで、君達2人には自分の得意魔法を決めてほしい。〕
「「得意魔法??」」
〔人には、それぞれ得手不得手があるだろう?それは、どの世界でも同じ事なんだ。この世界の人は自分の得意な魔法を持っているんだ。水魔法、火魔法、風魔法、岩魔法、雷魔法の5つが基本的な魔法。それらから派生した、闇魔法、霧魔法、音魔法。
などなど色々な魔法があるんだ。君達にも、得意魔法を身につけてほしい。
自分で魔法を作ってもいいから、決めてくれないかな?〕
「「自分で…?
神様今、自分で作っていいって言ったよね…?」」
不敵な笑みを浮かべながら神様に聞く。
〔へ?う、うん〕
神様の返事を聞き、考え始める。
「私、
飛行魔法がいい!!
俺、 」
決まるのが早すぎるのだ。決断力はあった方がいいのだが、ありすぎるのも良くない。
〔ひ、飛行魔法?飛ぶって事?〕
「そうだよ〜!でも海とかぶっちゃったから他の考えるよ〜」
〔あのさ、1番の得意魔法を決めてね?
使いたい魔法は後で聞くから。〕
「「あ」」
やはり分かっていなかったのだ。
また考え始める。
「あ、私さ、氷魔法がいい。」
〔「氷魔法??〕」
海と神様が同時に聞く。
「うん、氷魔法。氷ってさ、多分攻撃力強いじゃん?攻撃力強いなら硬いって事じゃん?でさ、その硬いのをバリアみたいにすれば防御力も強いって事じゃん!
だから、氷魔法作って!神様!」
「確かに…」
同意する海。
〔……〕
黙ったままの神様。
「神様!お願い!」
神様の見えない口が、ゆっくりと開き始めた気がした。