立野くんのいる研究所でやっていること
化学蒸着 (CVD): 人工ダイヤモンドは、ラボの真空装置内で炭素が豊富に含まれた気体を利用して製造されます。 CVD法では、メタンガスの分子を炭素と水素の原子に分解し、ダイヤモンドの種結晶に付着させて、四角い平板状の人工ダイヤモンド結晶を生成します。
「ふむふむ、なるほど」
「何やっとるのかね立野くん?」
「Googleでお勉強です」
「ワシはTwitterで勉強しとる」
「Twitterで?」
「JAXAが無重力で真空の空間の中で不純物の混じらない物質の加熱実験を行なっとる」
「ほえー」
情報源はあちこちから。でも、実際にここの研究所でできることはほとんどない。これといった目玉がないのだ。
「博士、この前玩具会社に売り込んだアヒル型歩行目覚まし装置、どうなりました?」
「改良しろと言って来おった」
「どこを?」
「歩行しないようにと!」
「なんで?」
「夜に翌朝の起きる時刻をセットしたあと持ち主が眠りに入ると、どこそこへ勝手に歩いていって行方不明になるそうじゃ」
「それはそれは」
そもそも何故歩行する機能をつけたんだろう?と立野くんはぼんやり考えたが、わからなかった。
研究所にもプロトタイプが一台あるが、猫も見向きもしないし、自由にあちこちに出没している。たまに設計図なんかを咥えて走り回ったり、ほんとに何で歩行機能がついてるんだ!!!
「どうかしたかね?立野くん」
「はあはあはあ。いいえ、なんでもありません」
あんまり深く考えると発狂しそうだった。
「僕、ここの研究所でほんとにいいのかなぁ?」
立野くんはいつものように涙ぐんで考えました。
「博士!国立研究所から民間に委託したい研究課題があるそうですがー?」
吉報に立野くんと博士は俄然やる気を出したのでした。