8話:創造の力
氷魔法。使用者の魔力を消費して氷を生成し、様々な形を作り出すことが出来る万能な魔法。
凡庸性が高いが故にその能力は使用者の技術力に影響し、氷で何を形成するかによって戦い方が大きく変わる。
クロアは自分を睨みつけて来るグローライノ達に対して鋏を鳴らす。すると吹雪が舞い、彼女の前に一つの大きな氷の塊が出来上がっていた。
その氷に向かってクロアは鋏を振るい、一瞬で氷の鳥達を形作る。
「飛翔、雪月鳥!!」
ジャキンと鋏を鳴らすとクロアの前に浮いていた氷の鳥達が動き出し、翼を羽ばたかせてあたかも本物の鳥のように飛び始める。
その鳥達はグローライノに直撃すると、魔物の身体を氷で覆い始めた。
「グルォ……ッ!!?」
「まだまだぁ!」
グローライノ達は怯んでその場から距離を取ろうとするが、脚が氷で拘束されている為、動けない。その隙にクロアは更に大きな氷を生成し、鋏を振るった。
「貫穿、砕氷槍!!」
鋭利な氷の槍が形成され、クロアは鋏を持っていない方の手でそれを握り締める。
そして槍を振り回し、地面に突き刺した。すると氷の衝撃波が勢いよく飛び出し、魔物達を襲う。
「はああぁぁ!!」
「ブモォォォオオオオ!?」
動けない魔物達はその氷の波を浴び、今度は身体の半分が氷漬けになってしまう。だが後ろに控えていた別の魔物達は無事だった為、氷漬けになっている魔物達を乗り越えてクロアを踏みつぶそうと唸り声を上げた。
「ォオォオオオオオオオ!!」
「おっと!」
突進をして来たグローライノの角を避け、交差する間際にクロアは氷の槍で魔物の硬い皮膚を突く。すると槍の先端が触れた部分から魔物の身体は氷に覆われていった。
「ほいっ、あんまり私に近づかない方が良いよ? 凍っちゃうから」
クルクルと槍を器用に回し、クロアは余裕の笑みを浮かべてそう言う。グローライノ達はその様子を見て彼女の実力にようやく気が付いたのか、不満そうに鼻を鳴らした。
クロアを囲んで追い詰めるように距離を縮めているが、誰もクロアに襲い掛かろうとはしない。本能的に悟ったのだ。自分達では敵わないと。故に距離を保つだけ、魔物達は攻撃を仕掛けようとはしない。
その様子をアシリギは白夢草の絵を描きながら横目でそっと伺っていた。
(ふーん、流石に一人で人間の大陸に来るだけあって、結構強いんだな)
アシリギは目を細め、クロアの戦いぶりを観察する。
魔法は十分使いこなしているし、武器の使い方もある程度心得ているらしい。王女とは言っても流石に自分の身を守れるくらいの訓練は受けているのだろう。複数の魔物達に対しても物怖じせず、戦うと決めたら冷静に立ち回る姿は確かに彼女の実力の高さを証明していた。
(氷属性の形成魔法か……鋏を媒介に作り出しているのか? 武器も作れるし、ある程度の意思を持った動物も作れるとか、器用だな)
アシリギは金の筆を用いて創造魔法を使用するように、クロアは鋏を使って氷魔法を使用するようだ。
一般的な魔術師は魔法を使用する際、杖を使って魔法を発動する。本来なら魔力を込めるだけで魔法は使用出来るのだが、その魔力を込める物があった方が魔法は発動し易いのだ。故に人々は何らかの物体を媒介として魔法を使用する。その物体は使用者と縁が強いほど効力を増す為、あの鋏もクロアにとって大切な物だったりするのだろう。
アシリギはそう考えを巡らせながら手に持っている鉛筆をクルリと回した。
(……結構綺麗じゃん)
クロアの氷魔法は強力だ。魔力の質が良いのだろう。だが何よりもアシリギが興味を持ったのは美しさだった。
辺り一面を銀色に染め、氷の鳥や槍を生み出す。その形状は戦いの為に研ぎ澄まされ、ガラス細工にも負けぬ精巧であった。そこにアシリギは芸術性を感じた。
(覚悟は本物、ってことか……)
最初は軽い気持ちで人族の大陸に侵入して来た我儘王女と思っていたが、案外クロアは自分と似ている部分があるのかも知れない。そうアシリギは何となく思い、小さく笑みを零すと絵の製作に意識を集中させた。
その間にもクロアは華麗にグローライノ達を無力化していく。突進して来た一体をふわりと交わし、氷の槍で突いて凍らせていく。その動作を一度も失敗することなく、無駄のない繊細な立ち回りで続けていった。
「ふぅ……これでだいたい無力化出来たかな?」
気付いた時にはクロアの周りには氷漬けにされたグローライノ達の像が出来上がっていた。その近くには氷の結晶が舞っており、花畑と相まって何とも幻想的な空間が広がっていた。
「アシリギ! 終わったの!? こっちは大変だったんだからね!」
「ほいほい、お疲れさん」
クロアは白夢草が咲いている花畑の方に移動し、見るからに不機嫌な様子でアシリギに近づいた。だがアシリギは別段気にした様子はなく、手を動かし続ける。
「やるじゃねぇか、姫さん。少しは見直したぜ」
「ホントはあまり戦いたくないの! 私は戦闘の為に魔法を鍛えてるんじゃないんだから!」
「そうか、奇遇だな。俺もだ」
素っ気ない態度だが、一応アシリギは今の戦いでクロアのことを認めていた。
最初は敵国に一人で入り込んで来る大馬鹿という印象だったが、あの戦いぶりを見れば彼女がどれだけ覚悟があり、それに必要な力を持っているか知ることが出来た。
「よし、良い感じに描けた。今月で一番いい出来だ」
やがてアシリギの方の仕事も終わり、パチンと指を鳴らすと羊皮紙を掲げる。そこには白夢草の花畑の絵が丁寧に描かれていた。その細かさはとても普段の変人ぶりからは考えられない程繊細であった。
「……意外と真面目な絵描くんだね。アシリギって」
「それは褒めてるのか? それとも遠回しにつまらないって言ってるのか?」
「……自分でも分かんない」
「そうか。じゃぁ分からないままにしておいてくれ」
アシリギの絵は実際とても上手で、クロアが魔物達と戦っている合間に描いたとは思えない程の完成度であった。だが逆にその完璧な絵がクロアには素直に受け止めることが出来ず、つい微妙な感想を言ってしまった。彼女は困ったようにもごもごと口を動かし、顔を赤くさせる。
「よし、それじゃさっさと戻るか。あの子もあそこで待ってるだろうし」
目的は達成した為、後は依頼主に絵を届けるだけ。アシリギは早く男の子に花畑の絵を渡そうと街に帰ろうとする。クロアも魔物が近くで徘徊している場所には居たくない為、それに賛成した。
そしてアシリギが羊皮紙を筒の中に居れ、鞄の中にしまって立ち上がった時、突如地鳴りが響いた。
「……ッ!」
クロアは一瞬体勢を崩し、転びそうになる。それをアシリギはすばやく彼女の手を取って支え、警戒するように辺りに視線をやった。
「えっ、なに……!?」
「おいおい、こいつは珍しいな」
再び地鳴りが微響き、クロアは怖がるようにアシリギの傍に近寄る。それとは対照的にアシリギは地鳴りの正体に気が付き、嬉しそうに頬を緩めた。同時に、二人の後ろの方から生き物の鼻息が聞こえて来る。
「ブモオオオォォォォ」
「グローライノのエルダー種……群れの長か」
そこには、先程のグローライノ達とは比べ物にならない程巨大で、視界を埋め尽くす程の怪物が居た。
見た目は先程のグローライノ達よりも筋肉質になっているが、硬い皮はダルンと垂れて年寄りのしわのようになっている。顔にも長い髭が生えており、背中部分には薄っすらと苔が生えていた。だが角は他の魔物達よりも長く鋭利なものとなっており、幾つもの傷がついている。それを見ただけでこの魔物がどれだけの猛者と戦って来たかを物語っていた。
「ブルルルル……ッ」
「……ひょっとして、怒ってる?」
「そりゃぁ、自分の子分がちんちくりんなお嬢ちゃんに氷漬けにされりゃ、長も怒るだろ」
エルダーは唸り声を上げ、前足を動かして威嚇のポーズを取る。その矛先はクロアへと向けられていた。どうやら通常種のグローライノ達が氷漬けにされた為、クロアを敵と認識しているようだ。
「ちょっ……まずいじゃん! 逃げよう!」
クロアはすぐに撤退を提案する。
既に目標は達成しているのだ。わざわざエルダーと戦って危険な目に遭う理由などない。
だがクロアが走り出してもアシリギは呑気にエルダーのことを見上げており、ちっとも動こうとしていなかった。
「な、何してるの!? アシリギ!」
「いや、こいつ……」
クロアは立ち止まり、声を上げる。だがそれでもアシリギは逃げようとせず、今にも襲い掛かって来そうなエルダーを冷静に見つめていた。
「こいつ、確か描いたことなかった……うん、描いたことない。描こう」
何を思ったのか、アシリギは嬉しそうに笑みを浮かべながらそんなことを言い出した。その瞬間、クロアは素っ頓狂な声を上げる。
「はぁぁぁぁ? なに言ってるの!? この状況で描くとか無理でしょ! 完全に臨戦態勢に入ってるよ!? 角で貫かれちゃうよ!?」
「いや、描く。俺が描くって決めたんだから、描くんだ」
「子供か!!」
否、子供でもこんな危ないことはしない。アシリギの我儘は子供以上に質の悪いものであった。
クロアは止めようと制止の声を掛けるが、いつの間にかアシリギは羊皮紙と鉛筆を取り出し、エルダーの目の前でスケッチを始める。あまりにも無防備過ぎる光景であった。
「ォォオオオオオオオオオオオオオオ!!」
当然エルダーが大人しくしている訳もなく、威嚇しても逃げ出さないアシリギを見て完全に敵意があると判断し、咆哮を上げて走り出す。そしてその鋭利な長い角を振るった。だがアシリギは絵を描きながら器用に後ろに飛び、その攻撃を回避する。
「良いぞー。その調子でもっと動いてくれ。その方が絵になる」
暴れ回るエルダーにアシリギは臆さず、むしろそれを歓迎した。その間に羊皮紙には様々なポーズを取ったエルダーが描かれていく。
「グルォオオオオオオ!!」
だがエルダーもずっとそれを許しているはずもなく、攻撃を回避し続けているアシリギに対して怒りの声を上げ、一瞬だけ凄まじいスピードで突進した。
巨体からは想像出来ない程の速さで接近して来たエルダーにアシリギは反応が遅れ、ギリギリ身体は横に動かして回避したが、手に持っていた羊皮紙が角で貫かれ、破かれてしまった。
「ああぁ~……! もったいない」
「死ぬよ! 今の当たってたら死んでたよ! アシリギ!!」
何枚かは無事だったが、丁度描いていた紙が駄目になってしまった為、アシリギは名残惜しそうにそれを見つめる。その様子をクロアはハラハラとした様子で眺めていた。
「いや、これで良い……あの角かっこいいな。おい助手、あいつの動きを止めてくれ。角に触りたい」
「はぁぁぁ~~? 本当に頭おかしいんじゃないの!?」
「良いからやってくれ」
アシリギのはちゃめちゃすぎる指示にクロアは目を回す。だが彼の家に居候させてもらっている身である為、従わないわけにはいかず、悔しそうに唇を噛みしめて鋏を鳴らした。
「もぉぉ……凍てつく氷で美しく形作れ。飛翔、雪月鳥!!」
再び吹雪が巻き起こり、クロアは五羽の氷の鳥を形成する。そして鋏をエルダーの方へ突き付けるよ、鳥達は翼を動かしてエルダーの脚へと直撃した。何羽も同じ箇所にぶつかり、エルダーの脚が氷漬けにされていく。
「はい、やったよ! 多分数秒しかもたない!」
「よくやった。助手」
エルダーが動かなくなるのを見るとすかさずアシリギは走り出し、エルダーの背中に飛び乗ると手を伸ばして角を触り出した。
「おお~、スベスベしてる。すげー」
「…………」
長い年月によって研ぎ澄まされた為、エルダーの角は意外にも滑らかであった。その感触にアシリギは感動し、子供のように無邪気な笑みを浮かべる。それを見てクロアは少しだけ羨ましいと思ってしまった。
「ブモオオオオオオオオオオ!!」
「ああ、悪い悪い。お前もずっと寒いのは嫌だよな」
氷にヒビが入り、エルダーは咆哮を上げて拘束から抜け出そうとする。それを見てアシリギもそろそろ潮時だと判断し、懐から金の筆を取り出した。
「もう十分だ。眠って良いぜ」
金の筆が宙に光の線を描く、その間にもエルダーは暴れ、今にも氷の拘束から脱出しそうになっていた。だがアシリギはそんな不安定な背中の上でも慌てず、丁寧に線を描いていく。そして空中に美しい翼を持つ鳥の絵が形成された。
「〈創造魔法〉。形成――――〈雪月鳥〉・複製」
眩い光を放ち、空中に先程クロアが魔法で形成した氷の鳥が出現する。それもクロアが作り出した時の比ではなく、何十羽もの氷の鳥が形成されていた。
「わ、私の魔法……!?」
流石にクロアも自分の魔法すら想像されるとは思っていなかった為、あまりの驚きにあんぐりと口を開けてしまう。
エルダーも先程の攻撃を受けて氷の鳥がどのような性質を持っているか身を以て知っている為、動揺するように声を上げる。そんなエルダーに対して、アシリギは無慈悲に金の筆を振るい、氷の鳥達を放つ。
「ゴァァアアアアアアアアアアアアア!!?」
氷の拘束を抜け出し、エルダーは逃げ出す。その揺れで背中に乗っていたアシリギも地面に着地するが、放たれた氷の鳥はあっという間にエルダーの背中に直撃し、その身体を氷で覆っていった。
一瞬で身体を氷漬けにされ、エルダーの氷の像が出来上がる。それは周辺にあるグローライノ達の氷の像とは比べ物にならない程大きく、迫力のある像だった。
「ふ~……いやぁ、良いもん見れた。眼福眼福」
羊皮紙をしまい、アシリギはニコニコと笑顔でそう言う。その近くでは不機嫌な表情を浮かべているクロアがアシリギのことを睨みつけていた。
「……私の魔法が使えるなら私に指示しなくても良かったじゃん。ていうか魔法まで創造出来るなんてズルすぎ!」
「あれはお前の魔法が形成系だったから出来たんだよ。状態異常とか呪い系のものは創造出来ない。あと結構魔力喰うんだぜ? あれ」
アシリギはクルクルと金の筆を回しながらそう言う。
創造魔法はあくまでも創り出す魔法。形あるものならば創造出来ないものはない。故にクロアの氷魔法はそもそも氷で形を形成して戦うタイプの為、創造魔法とは相性が良かった。もっとも、何でも自由に創り出せるわけではなく、ある程度の制限やデメリットは存在するのだが。
「それに、結局は模倣だからな……お前みたいに綺麗な氷魔法は作り出せない」
「はぇ? き、綺麗って……」
アシリギがクロアの氷魔法を見て素直に思ったことを言うと、彼女は不意に褒められた為か、頬を赤くして戸惑ったように目を泳がせた。そしてフードの端で口元を隠すと、ジトリとアシリギの方に視線を向ける。
「べ、別に、魔法を複製出来るアシリギに言われても、嬉しくないっ……」
褒められたことは素直に嬉しいが、それを言ったのがアシリギである為、クロアは素直に喜ぶことが出来なかった。
「いや本当に綺麗だったって。俺はああいう氷の芸術品とか作れないからさ、憧れるよ」
「ッ……うぅ。そんな褒めるな」
自分勝手だったアシリギが急に褒める為、その感覚に慣れているクロアは頬を真っ赤にし、顔を背けてアシリギの肩を軽く叩く。
アシリギは褒めているのに何故そんな態度を取られるのか分からず、首を傾げた。そして鉛筆を持っている自分の手を見下ろし、目を細める。
「俺のはただ書き写してるだけだからな。まだまだ荒い部分がある……もっと鍛錬しねぇと」
創造魔法は完璧ではない。アシリギも幼少期の師匠と出会い、金色の筆を授かれたから使えるようになったに過ぎない。今ですらクロアのように自由に形を作り出すことすら出来ない程だ。その点で言えば応用性などは氷魔法の方が優れていると言えるだろう。
故にアシリギは更なる上達を目指す。いつか師匠に会えた時、最高の作品集を完成させ、成長した自分を認めてもらえるように。
アシリギは強く鉛筆を握り締め、改めてそう決意を固めると帰り支度を始めた。
「それじゃ、氷が溶ける前にさっさと帰るか」
「……う~、分かった」
アシリギがそう言うとまだモジモジと動いていたクロアは振り返る。まだ恥ずかしがっているのか、クロアは数歩離れてアシリギの後を追った。
帰りも崖の所で螺旋階段を創造し、二人はそれを下る。
「ねぇ、アシリギってさぁ、いつもこんな風に仕事してるの?」
「まぁその時の気分とか依頼内容にも寄るが、だいたいこんな感じかな」
長い階段を下りている最中、ようやく顔の火照りが収まったクロアは質問をする。それにアシリギは顔を階段の下に向けたまま答えた。
「依頼途中で別のことに関心が行っちゃうって駄目じゃない?」
「いやいや、芸術師としてそこは必要なことなんだよ。未知なるものを描くことでスキルアップに繋がるし、冒険者ギルドの方にも今回の魔物の情報を渡せる。良い事尽くめだろ?」
「うわ、意外とちゃっかりしてるんだね。アシリギって」
ニヤリと笑みを浮かべながら手で円を描くアシリギに対して、クロアは引き攣った笑みを浮かべる。
仕方がないことなのかも知れないが、魔族のクロアからしたらついがめついと思ってしまったのだ。
「一匹狼の芸術師だと稼ぐのに苦労するのさ」
「ふーん……大変なんだね。人族の芸術家って」
「芸術師をトレジャーハンターと勘違いしてる輩が居るくらいだからな」
人族と魔族の芸術文化の差を改めて思い知り、クロアは悲しそうにため息を吐く。するとアシリギもそれに釣られ、クロアに負けないくらい大きなため息を吐いた。
そんな話をしながら二人は階段を下り続け、やがて平原の所まで辿り着く。するとそこでアシリギ達は思わぬ人物と遭遇した。
「ん……あ! 君達は!」
「げっ」
その人物を見るなりアシリギは分かり易いくらい嫌な顔をし、クロアも慌ててフードを深く被り直し、アシリギの後ろに隠れる。そんな二人の前には、細かい金色の装飾が施された白いコートを纏い、茶髪の爽やかな笑顔が似合う青年が立っていた。
「ゴーレムの時に邪魔して来た男と変なチビ! 何で君達がここに!?」
それはアシリギの大嫌いな勇者であった。
後ろには彼のパーティと思わしき戦士達が控えている。この前の騎士達とは違うメンバーのようだ。
「よりによって何でお前とまた会うかな……」
アシリギは大きくため息を吐き、チラリと横を見る。まずはこの平原に不自然に設置されている螺旋階段をどうにかしなくては。




