表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1roomKitchen  作者: 猫缶
1/2

4年に一度がやってきた!

「もうできるからねぇ…」


「…あっうん」


いつもの会話がキッチンから部屋に届く。

何気ない日常。この生活が続いてもう半年になる。

半年前はこの1Kのキッチンで『彼女』が料理を作るなんて思いもしなかった。


半年前のバイトの休憩中。


「合コンするんだけど人数が足りなくてさぁ」

いっこ上でバイトの先輩コータローさんに言われた。

「人数合わないと冷めるじゃん」

「えっまぁ」

俺の反応が悪かったのか先輩は返事をする間もなく。

「なっ!この間楽しいお店連れてってあげたじゃん」

たしかにお店は連れて行ってもらったが特に断る理由も予定もないが暇な奴だと思われたくなくて一応日時を確認した。

「その日バイトがぁ あっでも夕方までなのでその後ならぁ」

「知ってるよ、だから声かけたんだし」

「じゃ頼むね」と休憩を終えて部屋を出ていった。


4年ぶりの『合コン』古井 太郎(25)は世間で言うところの『童貞』だった。高校も男子校だったし、スポーツや勉強に打ち込むタイプでもないし家に帰りゲームばかりしていた高校生活を送っていたので、だが女子に興味がなかったわけではない、ただ出会いがなかっただけと自分では思っている。

卒業して特にやりたい事もなかったので東京の大学なら大人になれるんじゃないかとどこでもいいって感じで上京し。ありきたりなサークルに入ったが高校3年間で培ったスキルは無いに等しいので飲み会や合コンに積極的に参加したが一線を越えられず、モンモンとした気持ちの中知識だけは増えていった。

だが世間はそんなに甘くはなかった大人になれぬまま大学生活も卒業。4年とゆう社会からの執行猶予も終了。やりたい事はなかったがやりたい目的をはたさなければいつまでたっても男子から男性に成長できないと卒業した後も東京でチャンスを待つ事に。東京に残るには親を説得する理由が必要だったのでやり残した事がある、後悔をしたくないとよくわからん理由で親を説得した。とりあえず家から徒歩15分ぐらいのコンビニでバイトをしていた。


4年ぶりのチャンス!少しニヤつきながらレジに戻った。

合コン→二次会→終電がなくなる→お泊まり

そんな妄想をしながらレジに立っていると

「あのぉ熱くないんですか」と女性の声で我にかえる。

「んっ?」

「熱っ!」

妄想の最中おでんを温めるケースを思いっきり掴んでいた。

すぐに掴んでいた手を離したがクッキリとおでんケースの後が。

「冷やした方がいいですよ」

「ですよね」

恥ずかしい気持ちより痛みが先に水道に一直線。冷やしながら恥ずかしさがこみ上げてきた。おでんケースの水ぶくれが出来た。振り返るとそこに女性の姿はなくコータローさんがいた。

「大丈夫かぁ」

「ええまぁ」

「はいこれっ」

絆創膏を手渡された。

「ありがとうございます」

「俺じゃねぇよ」

「えっ?」

「さっきのお客さんがおまえにって」

「合コンの事ばっかり考えてぼっーとすんなよぉ」

「ち違いますよぉ」

まさにその通りであった。


「お疲れ様したぁ」

家に帰る足取りも軽かった、合コンもそうだが左手には見知らぬ女性からの優しさもあったから。痛いけど。














評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ