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しじんたちのわかれ
隠れてしまった月に捧ぐ。
同じ言葉を話しても
唇のまま届かない
新しさとは名ばかりの
あなたらしさの物語
彷徨うままの夜の音
彼方のある日を思い出す
窓の外から沁みてくる
哀しみ沈み降る文字の
雨ばかり降り目に沁みて
ぬぐう間もなく溢れ出す
別れとはなぜこんなにも
突然であり速すぎて
惑う間もなく振り向かぬ
待つしかないと言う詩人
甘い終わりの昼の午後
遠く果てなく聞こえ来る
風に鳴るのは鐘の音か
連れ行かれるは幼子か
後は追えぬと泣く母の
追わぬ後悔追うは罪