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じてんしゃとしょうねん
だれものらない
じてんしゃがひとつ
あめにぬれて
くさにかこまれて
あかくさびていた
よるになっても
あめはやまなかった
ぽつんと
いっぽんのすいぎんとうが
たっていた
じてんしゃは
そのしたでじっと
まっていた
あのひ
みずうみのさんばしの
いちばんさきで
しょうねんはひとり
たっていた
まっていたのではなくて
むかっていた
まだ
だれもみたことのない
みちのさきへ
あかるいあさの
たいようにむかって
はれたそらに
くもがおよぐ
かぜがふいている
ずっとうしろから
ずっとむこうへと
しょうねんは
かおをあげて
ふりむくことをやめた
わすれさられた
じてんしゃは
どうしたのだろう
あのあめのよるのまま
ずっと
まっているのだろうか
すいぎんとうのしたで
いつまでも
まっているのだろうか