さようならのよる
さようならのよる/
ゆめのようにふるい
いつまでもあたらしいままの
こんやのきずあと
やさしいねいろにないている
たくさんのおもいをとじこめて
もうすぐこのよるのふたがとじる
ふたのうらがわに
ぎんのもじでちいさく
「さようなら」とかいてある
このくろいはこはもうひらかない
さようなら よあけのくうきに
さようなら ゆうやけのひこうきぐもに
さようなら いえなかったひみつに
さようなら かなわなかったことに
さようなら たいせつなおもかげのひとに
さようなら あたたかなひのべに
さようなら よなかをつきさすいたみに
さようなら みあげるだけのまんげつに
さようなら みつからないてぶくろのみぎてに
さようなら どうしようもないことに
さようなら かくしもっていたくやしさに
さようなら おとうさんおかあさんに
さようなら ぼうやそしてあなたに
さようなら おまえに
さようなら おとうとにいもうとに
さようなら にいちゃんに
さようなら おねえちゃんに
さようなら だれかのさみしさに
さようなら わたしのかなしみに
さようなら どこかのこどものさむいよるに
さようなら だれかのちちのかえれないあさに
さようなら あのひもまっていたひるに
さようなら さようなら
さようなら さようなら
さようなら さようなら
さようなら さようなら
さようなら さようなら
さようなら さようならのよるにふってきたさようならに