衝撃の陸自課
全体的に茶番です。
「う……うそ……」
「い……幾つなんですか……?」
「ん、詳しくは言わないけどこの間高校卒業したばっかり」
「oh……」
衝撃の陸自課室内で、幾つかの言葉が交わされる。
「な、何で黙ってたんですか⁉︎私達が信用出来ませんか⁉︎」
山岡3曹が中井に詰め寄る、が、中井は頬杖をついて応える。
「いやいや、黙って無いし、信用してるし……最初に配布された俺の資料読んでみ」
全員が一斉に中井の資料を漁る。
「ほ、ホントだ……」
年齢を確認、しっかり正確な年齢が記載されている。
「じ、【プライバシー保護の観点から中井に削除されました】歳……」
「でも何で【プライバシー保護の観点から中井に削除されました】歳で陸上幕僚長になれたんでしょうか?」
1番最初にまともに復活したのはエイミー曹長、次いで山岡3曹である。
「そうですよ!何でですか⁉︎普通ならまだ高等工科学校でしょ⁉︎」
高等工科学校は自衛官を目指す若者が集まる高校だ。
ここを受験すると、中学を卒業後に入学、自衛官になる為に若者が学んでいく。
「あぁ、"小説家になろう"でライトミリタリー同盟を見つけてな、月夜野海幕長に声を掛けたんだ。入りたいってな。そしたら月夜野海幕長と蒼井空幕長、島村統幕長が話し合って、入れてくれた」
「な、なるほど……」
「そんな事があったんですね……」
「そうそう、納得した?」
「「Yes sir!」」
「あ、なら飲み会は無しですね?課長お酒飲めませんし」
「いや、参加したいよ⁉︎コーラだけだけど」
取り敢えず、全員が落ち着きを取り戻し……?
「鳴海1曹⁉︎大丈夫か⁉︎」
「鳴海1曹ぉーー⁉︎」
鳴海1曹は未だ帰って来ず、真っ白に燃え尽きて魂が抜かれていたのだった。
「Medic!」
鳴海1曹が復活したのは、それから20分程が経過してからである。
============================
「はーーーー……」
「鳴海1曹、大丈夫ですか?」
「サクラ、Are you OK?」
「う、うん。大丈夫」
「それにしても【プライバシー保護の観点から中井に削除されました】歳かぁ……ナカイ課長が可愛く見えて来ました」
海自課に持っていく資料を整理していたユニスが微笑みながら言う。
「マジでやめてくれ、この歳になって可愛いとか無いから」
若干引きつつ応える中井。
その時プルルルル……と机の上の固定電話が鳴った。
「はいもしもしこちらライトミリタリー同盟広報部陸自課です。あ、海幕長、ユニス少尉と山岡3曹がお世話になりました。ケーキまでご馳走になったそうで、ありがとうございます。……はい、はい今仕上がりました、はい。……あ、本当ですか?わかりました。では明日、山岡3曹と一緒に……はい、いつでも遊びに来て下さい、お菓子用意して待ってますから、はい失礼します」
電話が終わり、中井は受話器を置く。
「Admiralツキヨノからですか?」
「うん、ヘリの資料明日でいいってさ。という事で明日山岡3曹と一緒に持って行って?」
「はい!」
「了解!」
「今の電話のやりとり見てると、本当に【プライバシー保護の観点から中井に削除されました】歳に見えないですね……」
ユニスと山岡3曹が返事をすると、復活した鳴海1曹が話しかけてきた。
「目上の人には礼儀正しくしないと、下にもだけどね」
中井はそう返した。
「ほんじゃ、今日の仕事が終わったら飲みに行きましょ。俺は飲めないけど」
「ナカイ課長に飲ませてみますか?」
「マジでやめろ、冗談でも」
「はーい」
エイミーが中井をからかい、中井が真面目に止めに入る。
仕事後に楽しみが出来た為か、皆の手が動き出す。
今日も陸自課は平和です。
※この小説はフィクションです。