表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法書を作る人  作者: いくさや
ねこねこねこ
201/238

だんすたいむ

以前、活動報告に書いたSSです。

既読の方はすいません。

 タッタッと小走りしてストップ。

 軽く握った小さな手。

 両手を揃えて胸の前。

 クンッと手首を曲げて片足を後ろに上げる。


「にゃあ」


 すると、後ろから小さな影が追い付いて、同じポージング。


「にゃ」


 さらに、一番小さな影がやってきて、同じポージング。


「なー」


 ちょっと首をかしげると、勝手にしっぽまで曲がってしまう辺りに血のつながりを感じさせる。

 一列に整列したところで静止。

 三人おそろいのポーズを取ると、誰かが手拍子を始める。


「にゃあ」「にゃ」「なー」


 手拍子に合わせて、三人も手をひとつ叩くごとに、綺麗に合わせて動き始めた。


 後ろに上げていた足を一歩前に出す。

 反対の足が今度は持ち上がる。

 手の角度に上下がつけられて。

 顔は反対側に傾けられて。

 ついでにしっぽもふりふりと揺れる。


 手拍子に促されるように三人は進みだす。

 基本は動作の繰り返し。

 手足の上下を入れ替えながら。

 ちょっとずつ前に。

 そして、三歩ほど進んだところでジャンプ。


「にゃあ」「にゃ」「なー」


 着地を決めると再び行進再開。

 

 段々、慣れてきたと思われたところで、手拍子のリズムが少し早くなる。

 飛びきりの運動センスで三人はアップテンポについて行く。

 けど、慣れるたびにリズムは加速して、どんどん、どんどん行進も早くなっていく。

 それでもちゃんと三人とも動きが乱れないのは素晴らしい。


 三人もノリノリだ。

 ピンと立ち上がった猫耳がハイテンションを表している。


 と、そんな気持ちを見透かしたように手拍子がリズムを変える。

 いきなりスローテンポに急変したのだ。

 突然の変化に三人目がついて行けなかった。


 コロンと前に転がってしまう。

 当然、前にいる二人目にぶつかってしまうけど、体が柔らかいのか激突の様子はなく、二人して絡まるように転がり始める。

 で、先頭まで巻き込んで、三人でコロンコロンと部屋中を転がり始めた。

 どうも楽しくなってきたらしい。


「はいはい。遊ぶのはそれぐらいにしような」


 手拍子をしていた青年が一番下と、二番目の子をひょいひょいと持ち上げる。

 一人だけ残された上の子はぷくっと頬を膨らませると、青年の背後に回り込んだ。

 そのまま身軽に背中を駆け上って、肩車の姿勢までひとっ走り。


「お父さん、どう? うまい? じょうず?」

「三人ともじょうずになったね。後はちょっと遅いのも練習すればばっちりだよ」

「じょうず! じょうず!」

「なーなーなー!」


 ほめられて上機嫌な娘たち。

 ぴょんぴょんと飛び降りると、一番最初のポーズに戻る。

 キラキラした目でお父さんを見つめるその意図は、早く手拍子してのおねだりだ。

 お父さんは娘たちの愛らしい姿に、ダンスの成功を確信した。




 数日後、ひ孫の三姉妹による創作ダンスを誕生日に披露してもらった誰かが、興奮のあまり倒れてしまったりするのはまた別のお話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ