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第5話:来栖川 織夜

少し不快になるところがあるかもしれないです。ご注意ください。


来栖川 織夜(くるすがわ おりや)


身長178センチほどで、吸いこまれるような黒い瞳に鮮やかな漆黒の髪。顔は整っている....とは言えるが、せいぜい中の上、見るものによっては上の下 (一部の人達にとっては最上) といわれる容姿をした彼は生まれた世界の中では異形だった。


最初の異変に気づいたのは、織夜が当時5歳の頃....


織夜が紙を使って物を作ったりと遊んでいる時に、紙でうっかり指を薄っすらと切ってしまった。

切った後、織夜は痛がり、それを聞きつけた両親がすぐに駆けつけ、痛がっている箇所を見たのだが、一切傷は残っておらず、両親は首を傾げるのみだった。


それから、幾たびかそんなことがあった。


両親はそんなことがあるたびに駆けつけたのだが、織夜の勘違いか何かだろうと思い、お金があまり無かったのもあってか、病院には通うことは無かった。


そんなことがあるだけで、織夜の家族は貧乏ながらも比較的平和な日々を過ごしていたのだ。


だがそれも、織夜が14歳の時に終わりを告げる。


家族3人で買い物に出かけた時に、運悪く無差別な通り魔に襲われたのだ。

織夜は襲われる直前にそれに気づき、鉈を振りかぶり母親を殺そうとした斬撃を自らの腕で受けようとした。

通り魔は、おかしな薬でもやっていたのだろう....斬撃には通常の男の力では考えられないほどの力がはらんでいた。

それを受けた肘から先は切り取られ、織夜にかつてないほどの尋常では無い激痛が走った。

のたうちまわり泣き叫びたかったが、両親を助けようという想いが、痛みに対して歯をきつく食いしばり耐えさせ、男をとにかくぶっ倒すという意思を強くさせた。


その時の織夜にあるのは男を止めようとする思い....織夜は、ありったけの力を振り絞り男に体当たりし押し倒して、男の顔面を 両手(・・) で殴り続けた・・・何度も何度も鉈で切られながらもただ無我夢中で殴り続けた。

この時、自らの腕が生えたことなど織夜の意識にはなんの影響も及ぼさなかった。


・・・


男は死んだ。

織夜にはいつ殺したのかわからない....

罪悪感は無く、ただ両親を守ることが出来たという達成感とも言えぬ暖かい気持ちで満たされていた。


だが、織夜が両親の方を振り返ると、そこには自らの子を見る目をした者はいなかった。

居るのはただこちらの方を化物を見るような目で見てくる2人の男女だけだった。


織夜は最初、わけが分からなかったが、襲ってきた男を自分が殺してしまったからだろうかと思い、両手を前に出して正当防衛だったと主張しようとした。


けれど....その行動により、気持ちの少し落ち着いた織夜は自らに起こった異常に戸惑い困惑せざるを得なかった。


『 腕が生えている 』


切られた腕は道に転がり、切られた箇所からは、先ほど切られたことがまるで嘘であったかの様にしっかりと腕が生えていた。


まったくもって理解できない状態....織夜の頭は混乱し、納得のいく結論を導くことが出来なかった。


そうして、突如身体に現れる多大な疲労....

身体の酷使と精神に負荷がかかったことによるものだろうか....織夜はがくりと膝をつき、両親の恐怖に染められた表情に涙を流しながら、ぶつりと意識を手放したのだ。


・・・


意識を取り戻すと真っ白な天井。

周りを見渡そうとしても、再生した腕をあげようとしても、身動きをとることが出来ない。

口は塞がれ、言葉を発することすらも出来ない。

織夜は動けずただその場に横たわっていることしか出来なかった....


幾らかの時間が経った頃だろうか....この部屋に現れた防護服を着た複数を者たち。


その者たちは織夜の状態には一切見向きもせず、無言で手術室のような場所に連れていき、無言でなんらかの準備をする。


そうして、その準備が整い終わった後.....

ー織夜だけの地獄が始まった。



目をくり抜かれ、耳を削ぎ落とされ、爪を剥ぎ取られ、指を切り落とされ、手首を斬り落とされ、腕を輪切りにされ、足を喰らわれ、酸に沈め溶かされ、首を締められ絞殺され、腱を切られ、心臓を取りだされ、顎を砕き取られ、水に沈められ、骨を砕かれ、毒を入れられ、ナイフで刺殺され、舌を切り取られ、炎で灼かれ、車に轢殺され、電撃で焼かれ、銃弾で蜂の巣にされ、真空で呼吸できなくされ、液体窒素で凍らされ、毒ガス室に放り込まれ、油圧機に圧殺され、etc......


毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日来る日も来る日も来る日も来る日もこの世にある限りのありとあらゆる"死"を経験した・・・

幾ら涙を流し、許しを乞おうとも、止まることはなかった....


織夜は死ねない....死んでは生き返り、死んでは生き返りの生と死の輪廻。


あまりの死の回数ゆえに、神経は麻痺し、もはや悲鳴をあげることすらなかった。



けれど、それでもなお、織夜の精神は死んでいなかった。


・・・殺してやる....殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺シテやる殺シテやる殺シテやる殺シテヤル殺シテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシスコロシコロシスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス....


織夜にあったのはただ純粋なる憎悪と殺意。

全ての者を殺さんとする強大なる意思。

その思いのみが織夜の存在そのものとなったのだった。

両親すら例外ではない.....金で織夜を国に売ったのだ。


だが、憎悪は他者に対してだけではなかった。

無力な自分....抗うことの出来ない脆弱な自分に対しての憎悪もあった。


ゆえに織夜は心の底から力を渇望した....

全てを破壊し、理不尽な事に縛られることの無い圧倒的な力を!!



そして織夜は・・・



読んで頂きありがとうございます。



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