第3話:生と死
少し不快に思われる所があると思いますが、ご容赦ください。
自分も書いててイラつきました....(え?
静まり返った空気の中で、部屋に入ってきた先ほどまで声を荒げていた男が引き連れてきた内の1人が声をあげた。
「お前、馬鹿か?」
どうやら正常な判断が出来ないらしい。
声をあげた男は、尻餅をついたままこちらを見ている少女を横目にこちらの方をニヤニヤした顔で言葉を発する。
「この人数相手に「死ぬだけだ」なんて言うのは馬鹿だけでちゅよ~ヒハハハハハッ!!なんなら俺が相手をし「パンッ!!」」
突如なんの兆候もなく破裂する男の頭。
頭の無くなったモノは頸部から赤い液体を撒き散らしながら、後ろにドサリと倒れる。
織夜はそれをちらりと見て、あ~周りが汚れるから胴体くり抜けばよかったな....でも顔を見たくなかったし....とぶつぶつ呟きながら、静まり返った空気に気づき、顔を青ざめて黙り込んでいる彼女に返答を促した。
「で?どうする?」
ついさっきあったことなど、もはや頭の片隅にすら無いかのような態度。
何が起こったのか理解できないまま、ここでようやく、この男の異常さに気づく男たち。
男達は皆即座になんの命令もなく、織夜に対する、自身が使うものの中で最強の魔法攻撃を行った。
それほど、男たちはこの不気味な男に恐怖していたのだろう....
焼き尽くさんとする獄炎。引き裂こうと荒れ狂う風刃。飲み込み押し潰すべくせまる爆流。
全てが織夜1人に向かって放たれる暴威の具現。
それが織夜に着弾した時、皆が放った魔法による砂煙で視界が遮られる中、誰がが勝利を確信したのか、「やった....やったぞ!!」と自らの声で確かめるように叫び声をあげる。
それは伝染していき、瞬時に広まり終わると皆であれを滅ぼせたことを喜びあう。
だが....皆が喜びあっている声を聞きながらも、少女の気持ちは一向に晴れなかった・・・
あれからなにも変わっていない....一切なにも変わっていないのだッ・・・!!
こちらを舐め回すようなものではなく、ただただ見ているだけのもの。
それは、少女が彼の前に姿を現した時から彼から感じているもの....
彼はまだ生きている!!
そう確信した時、やかましいお祭り騒ぎの中でさえも少女だけには、あの言葉がしっかりと聞こえた。
『で?どうする?』
織夜にとって、先ほどの攻撃と思われるものなど、一切なんの意味をなさない。
織夜は最初から勝負などしてすらいないのだ。
ただ立ったまま、ずっと少女に向かって視線を送り返答を促しているだけ・・・
「あ...あ....あっ.....」
恐怖しながらあまりにも遅い事実を少女は悟る。
こんなものに敵うわけがない・・・
敵対することすらおこがましいと思えるほどの絶対的存在感。
今すぐにこの場から逃げ出してしまいたい。過去に戻り今後一切、召喚術を行わないとして悔い改めたい。
身体をあまりの絶望に震わせながら、1つの思いがそれを拒ませる。
姉は今もこの国を護っている...父親が残したこの国を周囲の反発を物ともせず受け継いだのだ。
ならば私はどうしたらいいのか....!
この国は今現在、他国に領土拡大のための侵略をされ、もう滅びるのも時間の問題だ....。
それならば、たとえ今ここで死ぬとしても同じこと・・・
そうして、とある無謀とも言える考えが少女の頭に浮かぶ。
ならば、賭けてみよう....!
私の命を差し出し、姉が護ろうとしているこの国を私も助けて見せる!
少女は己の全てを賭け、揺るぎない決意を胸に、彼がいる方に向かって全てを言った。
「お願いしますッ!!この国をっ....この国を助けてください!! なんでも!なんでもします!私はどうなっても構いません・・・ッ!!...どうか....どうか、この国に未来を...この国に....いえ、私に力をかしてくださいッ!」
這い蹲り、彼にそう言って力を請う。
そこに意地や誇りなど無い。あってはいけない。
あちらは圧倒的強者であり、自らはもはや敗者なのだ。
それに...彼は私だけに対して問いかけていた。
これは自惚れなんかではない・・・彼は最初からずっと私に答えを促していたのだ。
そして今、答えを返した。
ここが生と死の別れ道....あとは待つだけだ・・・
場は静まり返っていた。
一部の男達は、少女の行動が一体何を表しているのかを理解し、“あれ”がいた方向へと絶望しきった顔を向ける....
彼女の突然の行動に困惑し、何が起こっているのかわかっていない男達は下種な下心をもちながら這い蹲っている少女を立たせようとする。
無視をし続けていると、身体を弄ろうとしてくる男達....。
少女にはこんな矮小な奴らに構っている暇などないのだ。
次第に少女の下半身に下ろされようとする男達の手....。
抵抗はできない。彼からの答えを聞くまでは頭を垂れるしかない。
這い蹲りながら、唇をぎゅっと噛み締め、返答があるまでこれから行われるであろう屈辱に耐えようとする。
だが、刹那そこに少女が待ち望んだ、圧倒的強者の声が静かに響いた。
『・・・いいだろう....君に力をかそう』
そうして、少女は生への道を行くことを許され、少女の周りにいた矮小な男達はこの世から消えた....。
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