光り輝く転校生
新作です!
息抜き程度に書くので、更新頻度は遅いです!一週間か二週間に一度だと思って下さい!
「みなさん初めまして!転校生の天城琴葉です!よろしくお願いします!」
夏休みが終わった、9月の初め。
まだ暑さも冷めやらぬ頃に始まる新学期に不機嫌だったクラスの雰囲気は一瞬で霧散し、代わりに浮ついた空気が教室を支配した。
「かっ、可愛い……!!」
「か、彼氏居ますかーー!!?」
「その髪の毛地毛なんですかー!?」
「どうやったらそんなお肌がすべすべに!!」
「友達になって下さい!!!」
男女問わず、クラスメイトは教壇に立つ美少女を質問責めにした。
美しい水色の髪を持つ彼女は、次々と襲い掛かる質問に困惑気味の表情をしていた。
俺はそれをチラリと一瞥した後、机から英単語帳を取り出し、それを見詰める。
イレギュラーが起きようとも、俺のやる事は変わらない。勉学に努めるだけだ。
「おーい、お前ら!転校生に浮つくのは分かるが、一回静まれ!天城が引いてるし、いい加減にしないと隣から苦情が来るぞー!」
「「「「「はーい!」」」」」
騒がしくなったクラスメイト達は、担任教師である山中武史の一声で一気に静まる。
すぐに静かになったのは彼の人徳もあるだろうが、何より隣のクラスの担任があまり好かれていない教師、というのもあるだろう。
まあ、そんな事はどうでもいいのだが……。
山中先生は一度教室を見渡す――一瞬目が合った気がしたが、気のせいだろうか?
しかし、それが気のせいでは無い事は、すぐに分かった。
「それじゃあ、一先ず天城は山瀬の隣に座ってくれー」
「う゛っ……」
俺は自分の名前が呼ばれた事で、反射的に呻いた。
俺の席は窓際一番後ろで、隣に机が無い事からクラスメイトからは「お一人様席」などと揶揄されていた。
実際勉強に集中出来る環境で俺は嬉しかったのに、まさか一番騒動の種になりそうな奴が隣に来るとは……。
山中先生は素早く机椅子を俺の隣に運んでくると、教壇に戻る前に短く耳打ちした。
「何か困ってる事があれば、手伝ってやれよ」
「……へーい」
一応返事はしたが、恐らくそんな事は無いだろう。
彼女程の容姿を持ち合わせていれば、髪を伸ばしっぱなしで制服も若干汚れている、こんな根暗な山瀬学には話し掛けないだろう。
俺は自嘲気味に苦笑すると、再び英単語帳に目を落とす。
直後、運ばれてきたばかりの席に、天城が座る。
「これからよろしくね。名前を訊いてもいいかな?」
教壇で連絡事項を伝え始める山中先生をものともせず、親し気にそう問い掛けてくる。
無視する訳にもいかず、俺はクラスメイトの視線を肌で感じながら、質問に答えた。
「山瀬学。よろしく」
「山瀬くんかぁ~、勉強好きなの?私が話してた時も、それ開いてたよね?」
うっ。
案外しっかり周りを見ていたのか。
悪印象だっただろうか?
しかし、こちらにも事情がある。
それに、もう既にクラスでは浮き気味なので、今更誰かに嫌われようと、別にどうという事も無い。
俺は正直に答える事にした。
「ああ、開いていたぞ。勉強は学生の本分だからな」
「真面目なんだね~」
「そうか?普通だと思うぞ」
俺がそう答えた直後、丁度山中先生の話が終わり、号令が掛かる。
英単語帳を閉じた俺は、立ち上がって礼をし、再び座ろうとして――それを中断し、廊下へと向かった。
何故か?
隣の転校生の席に、沢山のクラスメイトが押し寄せていたからだ。
まあ、今日一日が過ぎれば比較的静穏な日常が戻って来るだろう。
そう思った俺は、静かな空間へと退避する為、近場のトイレを目指して歩いた。
今回はプロローグ的なので短めですが、次回からはもう少し長めになります!




