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メディシン −命の叫びの代弁をする2人の作曲家−  作者: 浅野翔太(小説家&アイドル)
S1第一章 「メディシンの音楽と2人の音楽って?」
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S1第一章 3話 「明日、人生が変わるかも」

純貴「俺らの曲が、色んな人に知ってほしいな」

俺は、無意識のうちにそう呟いていた。


巧「それじゃあ、やってみる?」

その言葉を聞いて、頭が真っ白になった。


だって、一緒にやりたい事をやりたい人から言われたからだ。



純貴「…なにを?」


巧「2人で作った音楽を知ってもらうこと?」


純貴「な、なんで疑問形?」


巧「だって、わからないし…」


純貴「こっちも、わかんないよ!」


巧「それに、ジュンの独り言を真に受けるのもどうかなって」


純貴「僕、喋ってました!?」


巧「うん、結構はっきり聴こえるぐらい」


純貴「えっ!うっそ!」

そして、少し間をおいて話した



純貴「2人で音楽やるの…冗談?」


巧「冗談のほうが良かった?」

相手は本気のようだった



純貴「でも、仮に活動したとしても、ファンの人と事務所にバレるんじゃ…」


巧「仮想世界で活動すれば良いんだよ」

「もう事務所に所属している人でも、所属出来る事務所もあるし」

「でも、最初は個人で運営しなきゃいけないけどね」


前からこの人は、突拍子もない事を思いつく事が何度もあったが、まさかここまでだとは思わなかった。



純貴「でも色んな事考えないといけないし、コンセプトとか」


巧「うーん」

考えて、結構唸った後


巧「家に帰った後に考えて、明日話すから待ってて」



明日までにまとまるのか?普通はもっとかかるんじゃ…

そもそも、考えていないのに「やってみる?」って言ったのか…



前からこの人は、突拍子もない事を思いつく事が何度もあったが(以下略)。


多分、気持ちが表情に出ないようにしながら言った。

純貴「わかりました!明日までにまとまらなくても、いつでも待ってます!」




レッスンから帰宅して自室に籠もり、ジュンの独り言を思い出す。


「俺らの曲が、色んな人に知ってほしいな」


無意識に独り言を言ったということは、本人からの心からの願いなのだろう


あの子の願い叶えたい

自分には出来ることが少ないけど



コンコンコン

ドアをノック音が聞こえたからドアを開ける。


煌(妹)「たっちゃんっ」


声の主は、(こう) 今年高校生になったばかりの俺の妹だ。

普段からミスや忘れ物が多い俺とは違って、とてもしっかりしている。

(たくみ)だから「たっちゃん」と呼ばれている。



煌(妹)「お母さんがご飯できたから呼んできてって言われた」


巧「ありがとう 今行くよ」

「今日、お兄ちゃんいる?」


煌(妹)「今日は、友達も飲みに行ってそのまま泊まるらしいよ。」


巧「そうなんだ」



俺には、大学生2年の兄がいる。

俺とは違って、とても厳しい性格だ。

大学生になってからは、友達や彼女の家に泊まる事が多くなり、家にいない時間がのほうが長い。



巧「…わかった。行こう」


煌「うん」



俺は、今日の「ソレ」はなんだろなと、ドキドキしながら一階のダイニングに向かった。




おいしかったな…


晩ご飯を食べた後、また自室に籠もって構想を練る。



…俺らが作っている曲は、「命」に関係する事が多いな

俺らは2人だから対比で「生と死」かな


このコンビは、そのコンセプトが良いな!

「命」と「生と死」は、色んな経験をすれば見方が広がるし、ジュンの表現の幅も広がって、色んなジュンの表現や歌詞も見れる!



あっ!「表現者」を入れて「生と死の表現者」って良いじゃない!

キャッチコピーになっちゃったけど(笑)



それで、ユニット名はどうしよう

2人のユニットだし、2人で決めたいな


ネットで調べて、良いと思ったものをいくつか引き出し、その中から話し合って2人で決める事にした。

勿論、単語の意味も含めて考えるつもりだ。



えっと…、曲を聴いた人に「暖かさ」に包まれてほしい。

「生きろ」って励まされる人もいるし、「絶望」っていう二文字で心が落ち着く人もいるし。


総じて言えるのは、「誰かの“生きる”のを助ける曲」を作りたい

名前も、それに関連したものにする。


スマホを持って、頭の中で思いついた言葉の候補の英語を調べて、スマホでメモする。



【候補】

メディシン

意味:薬 内服薬 医薬品 まじない 魔法


リリーフ

意味:(ストレスや痛みからの解放という意味での)癒し


Lean on me(リーン オン ミー)

意味:私を頼って



自分の語彙力が無さすぎて、思いついた言葉が3つだけをネットの翻訳にかけた。

最近のネットはスゴイ



でも、コンセプトが固まった。

あとはジュンに伝えて、ユニット名を決めて、「ある条件」と一緒にジュンに伝えるだけだ。



よし、寝よう

ベッドに横になり、電気を消す


目を閉じこう考える



明日、自分の人生が変わるかもしれない、と




翌日 事務所·カフェテリア レッスン終了後


4人用のテーブルに2人並んで座る

テーブルに、カフェテリアの自動販売機で、巧が奢った飲み物が2つある



巧「コンセプトまとめて来たよ」

「名前は一緒に決めたくて、候補3つだけだけと持ってきたよ」


純貴「えっ、昨日の夜だけで決めたんですか!?」


巧「うん、元々俺らが作ってた曲の傾向からコンセプトと名前の候補を決めたんだ」

「ゼロから考えたわけじゃないよ」


純貴「それでもスゴイですよ!」

「それで、曲の傾向って?」



巧「俺らが作る曲は“命”に関係するってなって」

「2人でやるんだから、“生と死”で対比にするの良いなって思って」

「“生と死の表現者”っていうコンセプトっていうか、キャッチコピーが出来たんだ」

「誰かの“生きる”のを助ける曲を作りたくて」



「名前を、それにちなんで候補を3つ挙げたんだけど…」

「2人でやるんだし、2人で決めたいなって、今に至る」



純貴「本当に、昨日の夜だけで決めたんですね…」

純貴はまさか、本当に昨日の夜のうちに固めると思っていなかった。


コンセプトとかは普通、一瞬で完璧に完成するものではない。

パッとアイディアが浮かんだとしても、それを肉付けするのには、本当に時間がかかる。

巧は、前からそれが出来ていた。


「いつでも待っている」という言葉をかけたのだが、純貴の心配は巧にとって不要だったのだろう。



純貴「それで名前の候補って?」

それを聞き、巧はスマホのアプリにメモしてた候補を見せた。


巧「思いついた言葉を調べて英訳したんだけど、語彙力が無くて、3つしか思いつかなかった…」


純貴「いやいや!」

「一通り見たけど、ちゃんとコンセプトに沿ったネーミングでいいと思いますよ!」


巧「ありがとう」

「それで、どれが良いと思った?」


純貴「俺は一番最初の…」



「“メディシン”が良いと思います。」

「僕らが作る曲を“薬”として皆に届けるって、想像できました!」


巧「うん、これにしよう!」

「ジュンが全部言ってくれた!」


純貴「ありがとうございます…」

純貴は照れながら言った


今日、2人のユニット名が「メディシン」に決まった。



巧「やらなきゃいけないことは、まだまだ山積みだけど…」

「とりあえず、一通り決まったね」


純貴「やらなきゃいけないことって?」


巧「仮想世界に行って活動拠点のアパートに行こう。今後はそこでメディシンの曲を作ろうと思う」

「あと、初投稿する曲を作らないと」


純貴「昨日の今日で、アパートを決めたんですか!?」


巧「うん、そこを2人で見に行きたいな」



巧「それと、1つ条件をつけたいんだ」

昨日事務所から帰り道で、コンセプトを考える前から決めてたことだ。

これは、メディシンの為に必要なことだと思う。

そして純貴の為にも


巧が口を開いた

それを見て純貴は、「どんな条件でも巧さんと活動する為なら受け入れる」と覚悟を決めた。



巧「1年活動して、お互い今後も活動したいか言おう」

「どっちが辞めたいって言ったなら辞めるし、両方やりたいってなったなら、そのまま活動しよう」

「もちろん、1年経ってなくても、辞めたいって思ったら言おう」



純貴「はい!やりましょう!」


純貴は想定外で、しかも巧の優しさがつまった条件に、「YES」と即答した。

その答えの速さに、巧は珍しくビックリした表情をした。



純貴「ハハハ(笑)そんなにビックリしなくても良いじゃないですか(笑)」


巧「だって、光の速さで答えてたじゃん」


純貴「だって本当に、巧さんとやるんだなって思ったら嬉しくて!」

「それに、1年の中で“なんか思ったのと違うな”とか“辛くなったな”って悩みが出たら、すぐに言えるのが良いなって思って」


巧「ありがとう…、本当にありがとう…」


純貴「こちらこそ、いつもありがとうございます」



巧は、良い後輩兼相方に恵まれたと心の底から思った。

だから、メディシンを絶対成功させると、一層覚悟が決まった



巧「それと、さっき言い忘れてたけど、アパートの内見が今日の21時に予約したから…」


「21時に仮想世界のペンギンのオブジェの前で待ち合わせね」

純貴「わかりました!」



純貴「に゙じゅぅ゙…に゙じ!?」

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