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メディシン −命の叫びの代弁をする2人の作曲家−  作者: 浅野翔太(小説家&アイドル)
S1第一章 「メディシンの音楽と2人の音楽って?」
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S1第一章 7話 「そして、また振り出しへ 巧視点」

ジュンを見送った後、隣の部屋に行き、しばらく窓の景色を座って見ていた


2日前に見た夜景と全く変わらない

仮想世界に「夜」という概念はないけど、現実世界から見る夜景に似ている


車とスクーターのライトと、建物の明かりで造り出される絶景


「旅立ち」という言葉の解釈が真逆になって、そのまま「明日、学校でしょ。今日は早く帰って、明日の夜にまた話し合おう。」って言って帰してしまった  


なんで解釈が別れた時にその場で、「Fluidの解釈も良いね」って言えなかったの?


相手がしっかり意見を言っているのに、なんで自分の意見をハッキリ言わなかったの?



また同じことを繰り返してしまった

しかも大事な後輩で



俺は、作業場に戻った

あの景色をずっと見ていたら、色々考えてしまって何もできなくなるから



ずっとここにいるけど、今はどれぐらい時間が経っているだろう

作業場に付いている時計を見た

時刻は23時になろうとしていた

ここに着いたのは20時をちょっと過ぎた時だ


ここに3時間もいるんだ…

そろそろ帰ろっかな

俺も早いし、レッスンあるし

でも帰る前に、途中だったAメロを完成させたいな

明日話し合いの後に調整がスムーズになるように




そうして俺は作業した

そしてAメロを完成させた


よしっ出来た!

調整で少し時間かかったけど帰れるぞ!


俺は現実世界に帰るためにスマホのアプリを切ろうとした

だけど、その過程のホーム画面で衝撃の事実を知る


03:44


えっ


スルーしそうになったが、何度も見た

もしかして、作業画面の見過ぎで勘違いが起きているかもしれない

でも何度見ても3時44分だ


あっ、今45分になった


またやってしまった

昔から好きなものをする時に集中すると、数時間は当たり前に過ぎる

今日は良い方だ



Fluidとメディシンを結成する前、音楽を作っていた時、その時はレッスンが休みで、家で13時ぐらいから作業していて、気がついたら夕飯の時間の19時になっていた

妹の(ひかり)に肩を叩かれなければ、俺の分のご飯が捨てられ、コンビニから夕飯を買わなきゃいけないところだった


でも、明日は9時の電車に乗って、10時のレッスンに参加しなければならない

早く帰って寝よう…


そして急いで現実世界に帰り、寝る準備をしてベットに入った

翌日、遅刻せずに余裕を持ってレッスンに参加出来た




レッスンの休憩中


今日もダメだな

練習して前より上手くなったかもしれないけど、やっぱり周りのレベルに追いつけない


今日はジュンは学校があるからレッスンに来ない


なんか複雑だ

顔を合わせても、なんて話しかけたら良いのか分からないけど、会わなくてもモヤモヤが頭を支配する


レッスン中に踊っている時に、俺がメディシンのコンセプトと自分の解釈を押し付けていたんだと、ふと頭に思い浮かんだ

それからその考えが、頭にこびりついている


メディシンのコンセプトを考える時に「暗い曲で救われる人もいるし、明るい曲で救われる人」がいるって分かって、コンセプトにその意味を込めたのに、向こうの明るい方向性の解釈を否定してしまった


本当に俺はプロデュサーとして、1人の人間としてどうなんだ


相手の意見を、「コンセプトに合わない」「俺の解釈と違う」って却下して

真っ直ぐに意見を俺に言っていたのに、「明日は早いから帰ろう」って言って切り上げて

帰り際に「ごめんなさい」と言わせてしまった


あの子はまだ高校1年生の16歳

俺がしっかりしなきゃいけないのに、最初の楽曲制作で全否定してしまった


今すぐ謝りたい けど相手がいない

今日は学校に行っててレッスンが休みだから


でも今日の夜、俺が話し合おうって言ったんだ

そこでちゃんと謝ろう

そして言おう、自分の意見とFluidの解釈がスゴく良いこと


それに、作業場の隣の部屋から見える景色を一緒にみたいな

ジュンは写真では見たことあるけど、2人とも生では多分見てないと思うし


きっと、大きな目をいっぱい大きくして景色を吸い込むように見るんだろうな、「うわぁ~」って言いながら

想像するだけで可愛い


そうやって考えると、心が少し安定してきた



講師「練習再開します。準備してください。」


少しお腹が痛いけど大丈夫

そしてレッスンを再開するまで、いつもの定位置である後ろへと歩き出した




レッスンが終わってから、直帰して自室に帰った

スマホの通知を見ると、練習生担当のマネージャーから一通のメッセージが届いていた


もしかして仕事かな…と通知からメッセージアプリに飛ぶ


巧「“2週間後、第2会議室に集まるように”」

「“ただし、決して口外しないこと”」


…もしかしてリストラ?

とうとうこの時が来てしまったか…



俺は無名で実力がない練習生だ


前に事務所制作の舞台で主役をやった事はあるが、練習生だけが出演していた舞台で、ファン界隈では「舞台の名前」は浸透しているが、「出演者の名前」までは覚えている人は少ない


練習生のファン界隈でも、名前を覚えているファンは少ない、その中で推している人はどれぐらいいるだろう


舞台を観て俺を推し始めたはいいものの、それ以降の大きな供給がないため、担降りをした人の方が圧倒的に多いだろう


たまに仕事を貰えてバックダンサーをしてても、端の方か後列の方だから見つけられないと思う

そもそも、ライブの前に運営のSNSから「バックダンサーに出る練習生の一覧」で名前が出ないレベルの無名だ

だから、リストラの対象なったとしてもおかしくない


もしそうだったら、俺の夢である「グループを組んでデビュー」が出来なくなる

ジュンの側で、ジュンの夢が叶う過程を見守ることも出来なくなっちゃうんだ…



いやいや!まだリストラって決まった訳じゃないし!

もしかして、大きな仕事が決まったのかもしれないし!

【口外禁止】って書いてあったんだもん!


でも、今から大きな仕事が決まるもんなのかな…



俺はいつの間にか、マネージャーのチャット欄から、ジュンのチャット欄に移動していた


もしかしたら、2週間後に俺は消えるかもしれないから、少しでもあの子と関わりたい

でも、なんて送ったら良いんだろう


ずっと迷って、下書きを書いては消してを繰り返して、やっと完成して送信したメッセージが


「今日の夜、作業場の隣の部屋の景色見ながら話し合おう」

「ジュンは多分見たことないでしょ」だった


返信来るかな…

あっ来た


「確かに巧さんから送られた写真でしか、あの部屋の景色を見たことがないです」

「だから、一緒に見ましょう」

「そこで昨日の話の続きが出来たら良いと思います」


えっと…早く送らないと!

巧「うん、いっぱい話し合おうね!」


ちょっとカジュアルすぎたかな?

でも相手も、相当緊張している文面だったから、これぐらいが丁度良いのかな


トントントン

煌「たっちゃん!ご飯出来たって!」


妹の煌が、ドア越しにノックをしながら伝えてきた


巧「分かった!今行くよ」

「今日、お兄ちゃんいる?」

煌「今日もいないよ」

「友達と宅飲みに行って、そのまま泊まるんだって」

巧「そうなんだ、早くご飯食べよう」

煌「うん」


そう言って、2人で階段を降りて一階のリビングに行く


食べ終わって自室に戻る時には、仮想世界に行ってFluidと会うだろう

そして、「旅立ち」という言葉の解釈の話し合いをするだろう


Fluidとジュンに見せたかった景色を見ながら

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