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母危機一髪を編集

まったく、あの人もマナツも……謝ればいいのに。頑固なんだから。

そう思いながら、私はキッチンでおにぎりを握った。娘の夜食にと、少しでも力になれればと。


「マナツ、台所におにぎりあるからね。勉強、リラックスしてね。じゃあ、お母さん寝るね」

「うん、ありがと」


今夜も暑い。

雨戸の閉まった窓を開け、網戸にすると、ようやく夜風が流れ込んできた。

ほっとする。


さてと。ラジオのタイマーもセットして寝ることにしましょう。

寝床に横になり、ラジオのタイマーをセットする。

リビングに響くのは懐かしい音楽。


あの子も好きな懐かしい曲だわ♪

「ラジオネーム“お受験娘の父”さんから!」

あら、今のって、リョウくんの名前読まれなかったかしら? 娘へって……。


あの人ったら、直接マナツに伝えればいいのに。まったく。ふふっ……


私はそのまま寝落ちしてしまった。



ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。


玄関のチャイムが鳴る音で目を覚ます。寝ぼけながら玄関へ向かう。


「はーい、どなたですか?こんな 夜遅くに……」


「これってラジオドラマじゃないってことだよね!お母さん! 出ないで! 靴もってこっち来て!!」


2階からマナツの声が響いた瞬間——

玄関のカギを開けてしまっていたた。

玄関の扉のチェーンがかかっていてよかった。


扉の向こうにいたのは……人間とは思えない、“何か”だった。

赤く濁った目。腐ったような皮膚。よだれのような液体が口元から滴り落ちている。

言葉では表せない不気味さと、本能的な恐怖に、背筋が凍った。

目の前にいたのは、人間とは思えない“何か”だった。


2階から、ラジオの声が届いてくる。

「……危険ですので、外へ出ないでください。繰り返します……」


チェーンが、ギシリ、ときしんだ。

私は玄関から一歩、後ずさった。


娘の声が再び、階段の上から響く。

「お母さん! 早く! 靴もって、上に来て!!」

私はようやくその場を離れ、娘に手を引かれ階段を駆け上がった。


——こんな夜に、ゾンビだなんて。

でも、これは夢じゃない。


ラジオと、チャイムと、あの“モノ”が証明している。


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