最終話 合流、そして夜明け
【リョウヘイのトラックの目の前】
「驚いたな……」
「ええ……」
「……」
ぬいぐるみを抱えたまま、互いに抱き合っていたゾンビのハナとタクミ。
リョウヘイがハナに納豆を食べさせ、さらにハナから生えた茸を口にすると——
ハナの体が淡く光り、リョウヘイたちの目の前で、
ハナがゆっくりと人間の姿に戻っていった。
タクミも無事だ。
トラックの荷台から出てきたサヤとミクたちは、
目を丸くしてその光景を見つめていた。
【ラジオ中継車の外】
レナからは、即レスが返ってきた。
報道部のヤマザキ、ミキサーのエリカ、放送作家のルミ、
そしてディレクターのノリ。
ラジオ中継車から外に出た四人の目の前に、
スポーツカーの後部座席から出てくるレナの姿があった。
「レナさん!」
「無事でよかった!」
「レナさーん!」
「わーん、わーん!」
「みんなも! よかった! あの二人に助けてもらったの」
マイとヒロシくんは、少し照れくさそうに会釈した。
「ちょっと……あれ……」
アタシは龍のトラックを指さした。
停車したデコトラから降りてきた男が、
ぬいぐるみを抱えて抱き合うゾンビに納豆を食べさせているのが見えた。
「あれって……」
「本当だったんだ」
「ですね」
「……」
「よし、中継車からラジオ再開だ!」
「はい!」
【とある製薬会社の研究所・主任たちの会見】
「……納豆に含まれる○○という成分が、…促し、ゾンビから生える茸は…抑止する作用を持ち、
元の人間の姿に戻すことが可能であることも——明らかになりました……」
とある製薬会社の主任研究員たちによる緊急会見の映像が、
テレビからも、インターネットからも、
そして、ラジオからも。
世界中に流れていた。
世界に、長くまぶされていた粉が、
一気に視界から払われたようだった。
ゾンビ化した人々は、死界の霧の中から、
次々と人間の姿へと戻っていく。
朝の陽ざしが、まぶしく世界を照らした。
――ラジオからも、声が戻ってくる。
誰かの笑い声。
誰かの「おはよう」。
「まい。こないだのプリン。お父さんごめんな」
「もういいよ。おこってないよ」
「ふふふ。プリン買ってきましょうね」
「ねえ。知ってた?レナさんとヤマザキさん。姉妹なんですって」
「ほんとに~?」
それは、たしかに、生きている音だった。
~おしまい~
それは、たしかに、生きている音だった。
~おしまい~




