推しタオル一閃!
ギュルルルルブオーン!
マイの愛車。
月産スカイポイントGT-Lがタイヤを鳴らしながらコーナーを切る。
──あと一つ曲がれば、ラジオ局だ。
「うああ。いるねいるね!」
「ですね」
ラジオ局の1階エントランスにうようよいるゾンビたち。
視線を上の階へやる。
まばらに照明が点灯している窓が見える。
おそらくあそこだ。
ラジオ局のこちら側は、高層階から順々に隣接するビルが低く接していて、段々畑のように公園へと繋がっている。
「ヒロシくん」
「だね」
――推しのためなら、タオルも武器にする。
正面玄関にヨコづけすると、アタシは運転席からリュックを背負って首には
レナさんの推しマフラータオルかけて車からおりて、後ろ手で扉をバタンとしめて走る。
ヒロシくんは、すばやく運転席に移り、アタシの愛車──月産スカイポイントGT-Lを走らせた。
アタシは首にかけた推しのマフラータオルを、あの「燃えよドラゴン」のブルース・リー先生ばりに両手で構える。
そして──ヌンチャクのように振り回しながらゾンビの頭をなぎ払っていく!
床に落ちていた、誰かスタッフのカードキーを素早く拾い上げると──
非常階段から上の階をめざして駆け上がる。
ON AIR のランプが灯るその部屋に──推しがいた!
アタシはブースのガラスを叩いた。
ゾンビたちを薙ぎ払いアタシはセキュリティーカードをカードリーダーにかざしてラジオ放送ブースに入り扉を閉める。
ところが、
首からセキュリティカードをぶら下げたゾンビたちが扉に群がり、
偶然カードリーダーに触れて扉が開き、ゾンビたちも放送ブースの部屋に入ってきた。
ドカーン!
地下から、凄まじい爆発音とともに激しい振動が突き上げてきた。
ガラスの破片が落下していく。
天井や壁の瓦礫の下敷きになっているゾンビたち。
アタシと推しは床に突っ伏していた。
窓ガラスが割れている。
割る手間が省けた!
「アタシは……! ラジオネーム『これねチョココロネ』です!」
叫ぶ声が、割れたガラスの外へと突き抜け、夜の街へと響いた。
「ああ。ええ…」
推しのラジオパーソナリティー。レナさんはあっけにとられていた。




