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6.啖呵を切らせていただきます

であえー!であえー!文章がばらばらだぞー

神はベルナールを抱きしめていた腕をゆっくりとほどくと、その場にいる者たちへ宣言した。


「新たなる精霊王を決める。選ぶのは真なる精霊花だ」


「神よ!それはどういうことだ」


精霊王は激怒した。


「先ほども言った。世界の危機に真なる精霊花は必要だと。そのため、お主をこの国の精霊王から外す。新たな精霊王を据える。これはすでに決めたことだ」


精霊王がなおも言いつのろうとしたとき、宰相が神に奏上した。


「偉大なる神よ、発言をお許しください。我らもまた、ベルナール殿下を王と認めるわけにはまいりません。殿下には王としての器がございません」


その場にいる精霊王、宰相はベルナールを選ばないことを口々に宣言した。


「人よ、そして精霊王よ、お前たちはすでに選ぶことはできない。選ぶ権利を持たないのだ」


「偉大なる神よ、国を治めるものに王たる器がなければ国が滅びます。私たちは殿下を王とは認めません。たとえ王となったとしても我らは従いません。」


「我は、この国すべての精霊をすべるもの、そしてこの力は他の精霊に変えられるものではない。世界の危機は我ほどの力がなければ乗り越えられぬはず。精霊花は結局、我を選ばねばならない」


その場にいる者たちも口々に不満を口にする。まさに民意を得た発言、神をも恐れぬ熱意で彼らは声を発する。

神がまた説き伏せようとしたとき、



「俺はあんたを選ばない」


紫苑の瞳がその場にいる者たちを射すくめる。


そして、正面から否定された者も。


「どうして、受け入れられると思うんだ。拒否されないと、憎まれていないと。あんた達にそれだけの価値があるとでも?」

神殿がシンと静まり返る。ベルナールの腕にある大輪の紫苑の花が強い輝きを放っていた。神がベルナールを抱きしめたとき、精霊花の印がある部分の布を取り去っていたようだ。

ベルナールは神殿内の人間を見まわし、最後に精霊王をみた。


「この神は、優しく言ってるけど、要するにこの国が滅びようとも世界が守られればそれでいいって言ってるんだ。

精霊王も、国一つの力を誇示する程度なら選ぶかどうか問題じゃないってことだ。

そして、どうして、俺が王になったらあんた達を重視すると?

国のためなら俺を切り捨てる国を、俺がなんとも思ってないと?

もしあんたたちの言葉どうりに考えるなら、神が選択した世界のためなら人間が滅びてもいいってのにも賛成するんだよな。」


神殿内の誰も答えない。


ベルナールは神に振り返って問う。


「で、俺が精霊王を選んでいいんだよな。でも俺は精霊がそもそも見えない。」


「心配ない。闇の精霊達、お前たちははずれ精霊と呼んでいる者たちがお前の精霊眼を災厄から隠すために封印しているんだ。おまえが精霊花となったとき自然と解ける」


「精霊眼…闇の精霊か、そいつらは今ここに呼べるか?」


「ここにいる」


ぞっとするような声が背後から聞こえた。姿は見えないが何か巨大な存在が近くにいる。


「お前は一人か?」


「私は複数であり、一人である。この世界に存在する闇の精霊はすべて私だ」


「あんたは俺を認めてくれるか?」


「もちろん。そなたが精霊花でなくとも。そなたはずっと、見えない私たちに語り掛けていた。見えるものですら無視する私たちに。そなたが望むならいくらでも私は力になろう」


ゆっくりと精霊の姿が現れる。真直ぐな銀髪に紫苑の瞳が優しくこちらを見ている。黒の着物に銀の帯を締めた美しい精霊だった。


「さて神よ、私はベルナールを精霊花と認めたぞ。だが、ここにいる人の愚かさは神の威光を翳らせるものらしい。新任の精霊花に餞別でもたむけるのがこの事態を招いた神の役目ではないか?」


神は闇の精霊をしばらく見つめ、軽く息を吐くと全ての人へ宣言した。


「この世界はまもなく災厄によって危機を迎える。これに対処するため精霊王をいただく国の後継は真なる精霊花のみ認めるものとする。はじめに闇の精霊王、精霊花ベルナールを認める。これ以降の精霊王、精霊花は神の威光を持ち、この者たちを害した場合、いかなる理由でも神罰をくだす。」


それだけ宣言し、神はベルナールをひと撫ですると水鏡へと消えていった。



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