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5.いったな?

いったよ

現精霊花の父王が水鏡の前で宣誓する。


「我、精霊花の役割を終え、次代へ紡ぐ」


水鏡は淡い光を発した。これが神が承認したことを示す合図である。


続いてマリウスと精霊王が水鏡の前で儀式を行う。


「我、精霊花としてマリウスを認める。神に問う、我が選択は世界がためになるか」




その時、雲もないのにいかずちが落ちた。


水鏡は渦を巻きやがて一柱の神が立っていた。


「ならぬ…決して、認められぬ」


「神よ、どういうことだ。我は手順を踏んだ。以前にも同様に王にふさわしくないものを外した。神は生き物に干渉せず。生き物の意思を汲むこと、これは我が権限であるはず。」


精霊王が神に問いかける。しかし、神は精霊王の言葉を一周した。


「なればこそ、精霊王よ、お主に任せられぬ。

 これはこの国のみの継承にあらず、世界の存亡が関わるものなり。この継承は移管を認めぬ。真なる継承者のみにしか、この危機乗り越えられぬ。」


全ての者が口を閉じ、神と精霊王の会話を聞いている。精霊王はイライラとした様子で神に再度問いかけた。


「人は一度落ちたもの、外れたものは受け入れない。我もまた、彼の者を受け入れられぬ。あれは、我が精霊花とは認められぬ」


「…左様か。ならばよい。お主の精霊花はお主が決めよ」


精霊王は鷹揚にうなずいた。


「かの地をすべる精霊よ、ここに顕現せよ」


神は静かに語りかける。精霊は一定の距離を開けて神の周りに集まった。


「神よ、何をする気だ」


神は精霊王の問いには答えず、ゆっくりとベルナールへと向きあう。そして優しく抱きしめた。


「我らが祝福を受けしもの、真なる精霊花よ。すまぬ。ここまで追い詰めたこと。その心の封印は我ら神では解くことかなわぬ。魂のかけらよ我ら神ができるだけの手伝いはしよう。だから精霊花としてこの世界を救ってはもらえぬか。」


無表情のベルナールはかすかに目を細めて神を見た。そして神に問いかける。


「俺達はこの世界が滅びようがどうなろうが構わない。今のベルナールは前回の俺以上に傷つき、この世界に絶望している。神だか世界の危機だかどうでもいい。もし俺が真なる精霊花となったとき、今までの世界とは大きく変わるぞ。特にこの国は滅ぶ可能性が高いが、それでもいいな」


「かまわぬ。世界の危機に比べれば人の国一つ、いくつかの種族が絶えようとかまわぬ。我ら神は生き物の意思を汲むことはできない。まして正義なぞ、時と環境によって変わる秤のごとき定めを我らは持たぬ。世界を維持するのに必要ならば我らは否定せぬ。」


「その言葉を忘れるなよ」


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