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後編



約束通り翌日にリカードがやって来て改めて求婚してくれた。

婚約…というよりも結婚の話は驚くほどのスピードで進んだ。途中から絶対大丈夫と思ったリカードは王太子経由で国王に特別結婚許可証なるものを貰い、公爵夫人は絶対にこの子をお嫁さんにという思いからある程度の準備を進めていたらしい。一応、私は…


「花嫁修行などは…」


と、それとなく聞いてみたが


「そんなもの結婚してからで十分よ!!」


と、返されてしまった。ちなみに公爵様は好きになさいとどっしり構えている風を装って仲間に入れてもらえなくてちょっぴり寂しそうだった。



そして私たちの結婚式があの日からたったの3ヶ月という異例の速さで行われた。

この3ヶ月、嫌がらせの手紙やら何やらがお届けされることもあったがうっかり公爵夫人に見つかったところ、ある日を境にほとんどなくなった。公爵家って怖いと思った瞬間だった。


リカードはこの結婚を機に正式に爵位を継ぐことになった。もちろん、公爵夫妻がサポートをしてくれるが数年したら別邸でのんびり暮らしたいそうだ。


「とても綺麗だ!誰にも見せなくない!!」


今までがなんだったのかというほどのリカードの溺愛ぶりに周りが引き気味なのは言うまでもない。唯一、お義母さまだけは息子を煽りまくっている。


何はともあれ大した障害もなく晴れて私達は今日結婚式を挙げる。期間がたったの3ヶ月だったとは思えないほどの豪華な挙式である。さらに驚くことに国王夫妻ならびに王太子まで揃って出席していただいているという恐ろしさである。


おかげで緊張のあまりいつもの鉄面皮で背筋を伸ばしクールに決めてしまった。のだが、


「そんな君も大好きだよ」


などとのたまいながら軽く頬にキスをされればあっという間に真っ赤に恥じらう表情に変わってしまう。


「…私も大好きです」


まだ、ボソボソとしか言えないが最近は頑張って言葉にするように頑張ってみてはいる。だけれどもそんなボソボソでもリカードは満足なご様子。


「愛してる」


と言いながら抱きしめてくれる。それを「あぁ、これが幸せか」なんて思ってしまっている私もいる。


そんな幸せを噛み締めながらバージンロードを歩いてゆく。


一体いつからだったか分かりはしないが確実に絆されて好きになって…今日、めでたく夫婦になった。多分、今この瞬間は私は世界一の幸せ者なのではないかと本気で思えた。




***



世間に驚きを与えた結婚式から幾年かたち、私達夫婦の間には5人もの子宝に恵まれていた。

いまだに社交界きってのおしどり夫婦として何故かご婦人方からアドバイスを求めらている。


最近は末娘が


「大きくなったらお父様みたいな人と結婚する」


なんて言うものだから家族総出で本気で止めている。とくにリカード本人が。そんな光景がおかしくてつい笑ってしまう。


そんな昔とは変わった事と昔から変わらない事も。


「愛してるよ」


「私も愛してるわ」


夫からの変わらない愛情。私のはっきり伝えられるようになった愛情。きっとこの先も変わる事と変わらないことがあるのだろう。


それでもこの先もその時々で


「あぁ、幸せだな」


と思うのだと私は思う。





fin.

ここまでお読みいただきありがとうございました!!

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