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Aldebaran・Daughter  作者: 上の森シハ
Chapter.03 イ国【南部】
67/142

13:和解?(2)


(オリキスさんが求めているのは、アルデバランの娘として役に立つこと。それが嫌なわけじゃない。嫌なわけでは……)


 エリカは良い意味で心に引っかかりを感じ、サマラフへの見方を、ほんの少し和らげる気になった。




 しかし、野宿した次の日、事件が起こる。

 あと半日歩けば忍ノノビ族の里に到着する予定が、最寄りの村に入る手前でエリカが高熱を出した。

 サマラフは遠方の町へ行こうと出発しかけていた医者に出会い、診察を頼み、急いで宿屋へ来て貰うことに。

 幸いにも病気ではなく、「不慣れな場所に出てきて溜まった疲労が、熱に変わったのでしょう」と言われた。

 薬を処方して貰ったが……。



「うぅ、やだ……。まずくても、別のが、よかった……」


 ベッドで仰向けになってるエリカは半べそをかく。

 医者に渡された物は坐薬。子ども時代に注入されて気持ち悪い思いをしたのが最後と思っていたのに。

 しかも、最近知り合ったばかりで悪印象を占めてるこの男に後ろの穴を見られ、差し込まれるなど悪夢だ。


 未だに体型と言動でエリカを子どもと思い込んでるサマラフは(思春期だもんな)とバツが悪そうにし、小瓶から坐薬を一個出してエリカに渡したが、

 熱くなってる指で溶けて、無駄になってしまった。


 残り一個。医者は村を出て行って居ない。



「エリカ。俺は君に、女の魅力を感じていない。だから、気にするな」


「!」


 男の何気ない言葉が、女心に痛恨のダメージを与えた。

 エリカは完全に意気消沈で、気持ちは瀕死状態。






 投薬後、羞恥心と自分の情けなさからベッドの上で背筋を丸めてぐすぐす泣くエリカの後ろ姿にサマラフは頭を痛め、本当に二人三脚でやっていけるのかやや心配になった。せめてもう一人誰か居ればいいのに。憂鬱な気分だ。





 翌朝、エリカの熱は下がった。無事動けるようになり、再び目的地に向かって歩けるくらい元気になったが、昨日の一件が引っかかって気分は沈んでいる。


(オリキスさんの慰め言葉を信じなくて正解だった。バーカーウェンで異性に好かれても本土では大したことないのはわかってたけど、面と向かって言われるとキツいものがある)


 良く言えば、サマラフは正直だ。お世辞を言って機嫌を取ろうという真似をしない。

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