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Aldebaran・Daughter  作者: 上の森シハ
Chapter.03 イ国【南部】
66/142

12:和解?(1)

※今回も全体ざっくりしてて、後半は台詞が多めです(陳謝)



 サマラフは行き交う観光客たちの邪魔にならないよう、エリカを道端へ招き、装備している武器を見せて貰った。これから戦うことになるであろう爻族や、イ国に出没する魔物に対抗できるか、触って強度を調べる。


「店に寄って、買い替えたほうがいいな」


 防具と衣服は装備したままの状態で居て貰い、前身のみに絞って、目視で確認。サマラフはある点に気付き、怪訝な表情をする。


「妖精語?」


 文字の特徴を見て、何語かわかったが、解読はできない。


「あなたも縫えるの?」


 サマラフは、首を左右に振って否定する。


「こんな高度な技術、俺には無理だ。剣を振って魔法を使うのが関の山さ」


「……。これ、オリキスさんが縫ってくれたの。呪文(ワーミー)なんとかと、魔術(ソーサリー)なんとかを併せてって言ってた。合わせ技?だったかな」


 自分が何を言ってるのかまったくわかっていない彼女の顔を、サマラフは、半ば呆れた目で見つめる。


(オリキス。味方であれば心強いが、現時点では最悪の敵だ)


 防具は様子を見ることにして、バーカーウェンから持参した回復薬の種類も確認させて貰う。二人は足りない分を補充すべく、噴水広場の近くに建っている道具屋を訪ね、ついでに保存食も購入。次は武器屋へ向かう。


「ほお?此奴は珍しい素材だ」


 キララのおかげで店側の買取価格は良く、体に負担をかけにくい重量で一式揃えることができた。

 二人は戦いに差し支えない量の食事を摂り、ヒュースニアの西の門から街道へ出る。


「エリカ。非常事態を除き、アルデバランのチカラを使うのは禁止だ。消耗が激しすぎる。魔法は使えるのか?」


「弱いのと、中級を少し使える。属性付与も」


 エリカは、ふと疑問が浮かぶ。


「アルデバランのチカラと魔法って、使う源は、同じ魔力じゃないの?」


「講釈が嫌なら端折るぞ?」


「サマラフは、勉強するの嫌い?」


 彼は苦笑いを浮かべる。


「一日中ずっと椅子に座って、書物と睨めっこするのは苦手だ。体を動かすほうが好きだよ。君は?」


「興味あることは好き」


「同感だ」


 否応がなしに、ともに旅をする相手の内面を知りたくて、彼女なりに関心を持つ努力をしようとしている。



「アルデバランの娘にも同じ原理が働いているのか、俺にはわからない。

 十二糸は特殊で、世界のチカラ……、糸力(しりょく)を使うとき、魔力は異物に変換されて増幅する。魔力を溜める器も一時的に大きくなるが、強くなったと思い込んで無鉄砲な使い方をすると、消耗が激しくて疲れやすい。

 人間が使っている魔法はただの真似事だから、体への負担が少ないそうだ」


「偽物ってこと?」


「純度が低いって話だろうな。

『世界の法は、土は土から、水は水から。

 人間が使う魔法は、土に砂鉄、水に釘。合成』……」


「ふーん……」



「これは例え話だが、緑色に青色を混ぜたら、別の色に変わるだろ?」


「うん」


「糸力は、青色に書き換える。

 切り替えれば元の緑色に変わるが、糸力を使うと魔力の量は減るから注意だ」


「別々に使えなくて、同じ物になったあと、また分かれるって感じ?」


「そうだ」


「魔力を増幅させる魔法や道具を使えば、糸力に頼らなくても良さそう」


「糸力を使った魔法や技には利点がある。使える能力が増えて、畳みかけたいときに便利なんだ。魔法剣のように詠唱が短く済むのもある」


「それ、いいね」


「……」



 サマラフは顔を前に向けて、冷静な気持ちで望みを話す。



「戦いに慣れるのはいいが、君には人間の女の子として助かってほしいと、俺は思うよ」


「……」



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