【番外編11】ラブコメ的な話・シュノーブ篇
【設定】
・時間軸:クリストュルとエリカが再会して、ひと月も経っていない。(サマラフの記憶を失ってる頃の話)
・軽めの下ネタ入りです。
某日、昼すぎ。
宰相のギルネアは、国王専用の執務室を訪れていた。
「エリカ殿の旅装束は如何なさいますか?
光輝陰隠と巫女特有の無属性だけは対応できませんが、ほかの一般的な属性であればダメージを半減させたり無効化することはできます。状態異常の無効化に特化させる場合は、クリストュル様もご存じの通り防御力が落ちてしまいますので、あまりおすすめできませんな」
「……」
「もしも、より優れた新たな物を生み出したいとお望みであらば、要する時間は数日程度では済まないでしょう。製作した物を身に付けれたとしても、装備品との相性や重さに制限をかけてしまうこともございます。それらの配慮含め、材料の確保、製作費、人件費諸々を計算しなければなりませんので、意見がありましたらお早めにご提案ください」
秘境に棲んでいる魔物の部位、エルフの血、採取が極めて難しい場所に生えてる植物など、稀少価値の高い物を複数使うとなれば、シュノーブ国内だけですべて入手するのは不可能。仮に揃えたところでレシピを知る者自体とても稀有な存在だったりするため、ギルネアとしては、無理難題を押し付けられるのは避けたい。
「……」
クリストュルは机上に左肘を着け、左手の上に顎を乗せた。仮面を被ってるため、思慮深い表情をしてそうに見える。
「ギルネア。旅をする上で一番大事なことが抜け落ちている」
「と、言いますと?」
「本人が気に入る見た目かどうか、傍から見ておかしくないか否かだ」
一瞬、王に何を言われたか自分の耳を疑ったギルネアは目を丸くさせ、次いで、正常に戻ろうとする。
「失礼ですが、エリカ殿はお召し物を気になさる方でいらっしゃいますか?」
エリカがこの城に現れたときに着ていた服は、冒険を楽しむための物ではなかった。まったくの無頓着というわけではなさそうだが、シュノーブに滞在し始めてから服装に関する苦情は一切聴こえて来ない。何処かで文句を言っていた話も人伝から聴いたことも無く。王の着せ替え人形にされてる事実だけは判明している。
執務室の出入り口付近に立って二人の話を聴いてるエンは、クリストュルに向かって、何をお考えになっているのだ?と疑い込めた視線を送るギルネアの渋そうな表情を見ながら思った。
(薄々気付く頃だろう)
王の一方的な片想いであるのだと。
クリストュルは左手を顎から離し、話題とは無関係の資料を捲りながら淡々と言う。
「防御力の大事さは理解できる。飼ってる側の私としては、我々の願いを叶えて貰うために戦闘時には怪我をさせるのだから、それくらいの自由なり待遇を与えてやってもいいだろうと思っただけだ」
「左様ですか」
「ほかに、私が出せる意見があるとすれば……。本人が血みどろになったときを考慮して、血を洗い流しやすい素材にしたほうがいいな」
(ぅ)。ギルネアは顔を顰めた。
(またそうやって、エリカ様への憐れみを持たそうとさせる)と、エンは脳内でツッコむ。
「了解しました。では、ティック殿とルディフワール殿を交えて案を幾つか用意させます。エリカ殿にも見ていただいて……、」
「彼女よりも先に私が見る。秘密裏に進めてくれ」
「はっ。了解しました」
「それと、スカートは動きにくいだろう。露出が多いのは品が無いから却下だ」
(ギルネア殿、お可哀想に)
主君と二人きりになったエンは机に近付き、先ほどの意見を否定する。
「スカートの丈を短めにして短いズボンを履かせれば、肝心の部分は見えないでしょう」
クリストュルは資料を捲るのをやめて、筆を手に取る。
「君も理解が浅いな。例え隠せたとしても、組み合わせていいのは膝上までを覆うタイツだ」
(あれか?)
エンはオーバーニーを想像した。※ 特徴は、太腿を隠すところまで行かない長さ。
「少しだけ見える肌に、男の視線は持って行かれてしまうだろう」
「自身のご趣味を、仕事中に力説し始めないでください」
「いまは休憩中だ」
(あなたの都合で決めてるだけでしょう)
「赤色や紫色は可愛いらしさを主張させ、薄い色だと肌の色を強調させる。難しいな」
「本人に決めさせるんじゃなかったんですか」
後日、バルーガの元恋人ヒムから個人的な案を見せられたエリカがその場で赤面したという話は、クリストュルの耳に入ったとか、入っていないとか。
end




