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Aldebaran・Daughter  作者: 上の森シハ
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【番外編2】証明

※まったり、ほのぼのした話です。

※文章ざっくり。



 晴れた日の朝、ミヤは順調にお腹が大きく膨らんできたエリカのもとを訪れ、贈り物を渡した。貝殻と薄水色にきらきら輝く石で作ったペンダントだ。


「わ。可愛い」


 エリカは早速首に提げると満面の笑みを浮かべ、乾いた洗濯物を籠に入れて屋内へ戻ってきた夫に声をかける。


「見て、オリキス」


「似合ってるよ。ーーミヤ殿、有難うございます。何か記念日でもあるのですか?」


「バーカーウェンでは、宝である子どもが無事に母親の所へ来るよう願いを込めて、身内が御守りを作る風習があるの。流れ着いた綺麗な石は、母なる海からの贈り物と言われてて、……。

 あら、まさか初耳?」


 ミヤがにやにや笑って茶化すと、場の空気が、一瞬で凍り付いた。二人はバーカーウェンで再会したとき、あいだに挟まれることになるエリカを思って和解を選んだが、過去について開き直り、繕う必要が無くなったミヤは強い。義理の母親か姉のような位置を利用してオリキスを揶揄うようになった。互いに危害を加える気はないにしても、軽い殺意を覚える。


 ミヤが帰ったあと、朗らかな笑みを浮かべてソファに座っているエリカの顔を、オリキスは不満げな目で見た。


「なぜ言わなかった?」


「私が喜ぶこと、普段から沢山してくれてるのに、そんな贅沢。作ってくれなくても気にしないよ?」


「僕は君の家族だろう?」


 微かに苛立った声ではっきり言われたエリカは、破顔した。

 妻の可愛い反応に、オリキスの不満は木っ端微塵に砕かれそうになる。


「笑って誤魔化しても駄目だ」


「家族。言葉がね、嬉しいの」


 そう返されると益々弱い。

 オリキスは籠をテーブル上に置いて彼女の隣りに座り、温もりを確認するように手を繋ぐ。


「エリカは子どもが生まれたら、どんな家庭にしたい?」


「特にないよ。オリキスは?」


「君が中心に居る、笑ってる家庭がいいな。優しい家庭にしたい」


 エリカは、オリキスの肩に寄りかかる。


「私が笑っていられるのは、オリキスが幸せを与えてくれるからだよ」




*.




 三日後。


「ミヤさん、見て」


 栄養価の高い果物を持ってきてくれた彼女に、エリカは腕に嵌めたブレスレットを見せる。


(勝った)


 細工にも拘ったオリキスは、勝ち誇った気分で笑みを浮かべる。

 ミヤは「エリカちゃん、良かったわね」と言いながら、対抗心の強いオリキスの仕返しに、笑いを堪えるのに必死だった。



END

【補足】ミヤはアーディンと和解し、正式に夫婦になって、仲良くバーカーウェンで暮らしてます。

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