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Aldebaran・Daughter  作者: 上の森シハ
Chapter.xx 奸計貴族の国ロアナ【後半】
115/144

托葉が落ちる頃に(1)

※台詞やや多めです。

※戦闘が終わったあとの続き。




 サマラフたちは屠殺場のミミズアバトタール・ロンブリスを倒し、アルデバランの娘との戦いも終えて現実に戻ってきた。

 エリカが眠りから目を覚ましていないのは変わらずだが、顔を見ると血色は良く、穏やかな顔付きに変わっている。

 少年は彼女に近付いて首裏を確認。紋は綺麗に消えていた。脈拍や体温も正常に戻っている。


「うん。無事、助かったようだね」


 その言葉を聴いて安心する一同。エンは無言で呪文(ワーミー)を解いた。



 サマラフは少年に向かって、感謝と敬いを込めた一礼をする。


「ナナチ殿、助かりました」


「え?」カニヴは目を見開けた。

 少年は愛想に欠けた、ツンとした態度を変えることなく、ネクタイを整える。


「ぼくが助けたなんて、言いふらさないでくれよ」


「え?」カニヴはセティナの顔を見、気付いてなかったのは自分だけだったとわかる。

 サマラフは、医務室の外へ出ようとノブを掴むナナチに訊ねた。


「この子について、詳しく訊かないのですか?」


「興味なし。面倒臭いの嫌いなんだよ」


 深入りすれば、望んでいなかった悪いことが周りで起き始めるのは目に見えてる。


「副作用は心配ないと思うけど、目が覚めたときに診察はさせて貰う。近くの宿屋に泊まるから、何か異変があった場合は至急連絡してくれ」


「有難うございます」


「ぼくは医者だからね。それと宿代、あんたの名前で請求するよう、店主に頼んでおく。じゃあね」


「道中、お気をつけて」


 ナナチは返事をせずドアを開け、メイベの見送りを受けて屋敷を出た。雨上がりの夜明けに、ほっとした気持ちになる。





「では、私も失礼致します」


「エン、協力してくれて有難う」


「我々は明後日の早朝にロアナを発ちます。また何か手助けが必要なときはお訪ねください。借りは高く付きますけどね」


「もう無いことを願うよ」


 サマラフは微苦笑を浮かべた。

 すると、エンは離れた場所からエリカの顔を一瞥後、


「卿、此方へ」


 玄関口まで彼を連れて行き、二人で話をする。


「サラ様のもとへ帰る前に、一つ情報提供して差し上げます」


「要求は?」


 エンは首を左右に振った。



「手ぶらで来ましたから。これは、私の土産物と思ってください」

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