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-5-「実験してみないことには。」

知太

「お兄ちゃん、今晩はカレーだよー。」



知太が晩飯を携えて俺の聖域に入ってきた。



さて。実験だ。


色々ちょっかいかけてみて、その中で使い方を学ぶのだ。


ガキの、特に幼いガキの育て方の基本だ。遊びの中で学ぶって言うだろ?


ちなみに俺、中高理科の教員免許持ってんのよね。



欄人

「お疲れ。カレーなだけに、乙カレーってな。」



知太

「へ?聞こえなかったかも、もう一回言って?」



知太の常套手段だ。ボケを聞き直すなボケ。


俺はカレー皿を浮かし、テーブルの上に置く。それと並行して、知太の足首を浮かせて逆さ吊りにしてやった。



知太

「わーーーーっ!?」



欄人

「こういうこと。分かる?」



知太

「こ、こんなことに使っていいと思ってんの!?ナイフちらつかせて脅すのと変わんないよこんなのー!!!」



欄人

「俺そういうの大好き。卑怯で容赦ないのが信条だ。」



知太

「そ、そうねぇ!お兄ちゃんの引きこもり方ってちょっと異常だもんねぇ!」



そうね。そんぐらいじゃないとヒキコなんてやってらんねーだろ、ガハハ。



欄人

「さーて、どう料理してやろうかな。


どれがいい?一枚引いてみ。」



知太

「な、なにこのカード。引きたくないんだけど。」



欄人

「引かないの?


あっそう。長生きしてほしかったんだがね。」



知太

「お巡りさーん!!!この人悪い人ー!!!」



欄人

「あーマズい、だんだん身体が捻れていく。」



知太

「イダダダダ!わかったよ引くよバカ!


ったく、豚に真珠、猫に小判、欄人に超能力!」



俺はコイツのこういうとこは素直にすげぇと思う。お前、下手すりゃボコボコにされる状況でよくそれ言えたな。


知太は目をつぶって一枚引いて……うっすらと目を開けた。



知太

「う……う?


『素』。」



欄人

「あーそれね。


はい、じゃあここにペンがある。このペンは勝手にお前の心と連動してメモをする超能力を仕掛けた。ということで、俺の質問にしょおーじきに答えてもらうわ。」



知太

「ぎょわぁーーーー!!!


お、お、お兄ちゃん!思春期の男の子の心読むってもう、犯罪でしょ犯罪!!!」



欄人

「立証できない犯罪するのも大好き。」



知太

「もともと人じゃあないね、お兄ちゃん!!!」



いや、こんなもんだろ。人間なんて。


上手く隠して生きてるだけだ。心が純白なヤツなんてこの世に存在するわけがねぇーのよ。


じゃあ、証明してみせよう。こんなチビ助もまた心の穢れた獣であるということをなぁ!



欄人

「はいかいいえで答えろ。質問1、自分は恨みを買うタイプだと思う。」



知太

「い、いるわけないでしょ。みんな僕には優しいよ!」



欄人

「はん。紙にはなんて書かれただろうな?


『みんな僕のこと心配してくれるよ、お兄ちゃんの世話係かわいそうって』。おめーーーー言っていいことと悪いことがあんだろぉーーーーが!!!」



知太

「言ってないよぉーーーー!!!」



欄人

「質問2。殺したいほど憎いヤツがいる。」



知太

「いないっ!自信ある!」



欄人

「『クラスの蓮太くん。お兄ちゃんのことバカにする』。おう、殺してこい!」



知太

「なに言ってんの……!」



欄人

「質問3。好きなヤツがいる。」



知太

「え……ま、まぁ?」



欄人

「『お兄ちゃん以外ない』。うわ、おめーのセンスどうかしてるよ。」



知太

「ひ、人のセンスに文句言わないでよ!し、仕方ないでしょ、仕方ない……。」



欄人

「なにが?


ここからオープンクエスチョン。質問4。最近やった悪行は?」



知太

「え……と、特に思いつかないけどなぁ。」



欄人

「なになに?『学校のタブレットPCで変なサイト開いちゃったけど、履歴から全部バレちゃって怒られるのかな、怖い』と。


あのさ、エロサイトに興味持つのは分かるが、わざわざ学校の使うってなに?」



知太

「違ぁう!!!そんなのじゃない!!!


ふつーに調べ物!」



紙にも同じことが書かれていて、知太のむっつりスケベ疑惑は解消……。


はーん。んなわけねぇ。よし、シメにコイツのむっつりを暴いてやるぜ。



欄人

「履歴なんざ消せばバレねぇよ。警察相手じゃねぇんだから。


よし、質問5。自分は性欲旺盛である。」



知太

「んにゃわけ!!!」



欄人

「『ちょっと興味ある』ってよ。あー素直。」



知太

「ちっが……こんなっ……嘘だもっ……!!!」



欄人

「最終質問。性的に興奮するヤツがいる?」



知太

「い……な……。」



欄人

「ふーん。嘘ついても紙見れば分かるんだよ。


どれどれ?」



その時。


知太は大きく暴れ、超能力を振り解いた。俺の超能力も未熟だな、まだガキが振り解ける程度か。


紙をひったくりビリビリに破いた。ぜぇはぁと息を切らせて、俺のことを精一杯睨みつけていた。



知太

「最悪っ……最悪!


僕っ、お兄ちゃんとは違ってピュアだもんね!変態!汚物!淫乱!」



欄人

「はいどうも。カレーうまいよ。」



そういうリアクションするって時点で下心はあるってわけだ。なんて浅ましいガキだ。


ま、俺がコイツくらいの時はスケベ極めてた気がするが。なんにでも興奮する時分だった。


ということで実験終了。

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