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-4-「無用の長物すぎる。」

超能力。スーパーナチュラル・アビリティ。パラノーマル・アクティビティ。


古くからあらゆる伝承に残るその存在。物体を浮遊させたり、自然発火させたり、テレパシーを使えたり、そりゃあ様々だ。


表舞台にも、超能力っぽいものが原因の事件や事故はちらほら見かけてきたはずだ。ファティマの預言とか、サンジェルマン伯爵とか、オーパーツの数々とか。


いやぁ、だからって超能力があるって話にはならんだろ?



でもさ。仮に、仮にもしも……本当に超能力ってもんがあるんなら。



欄人

「俺、世界はわりとシンプルにできてんのかもしれねぇって思えたわ。」



オカルトは、科学が見せた幻なんかじゃねぇ。


オカルトはオカルトが原因なんだ。なんてスッキリする結論だよ。



入院から2日後。俺は人ならざる回復力で退院を遂げた。


家に帰って色々試してみたわ。ネットで調べてよ、超能力ったってどんなのがあんのか並べてみて、それらをやってみたわけ。


いや、全部できるんだわ。火もつけられた、電気も発生できた、念動力も使えたし、テレポートもできたぜ。


さらにはこんなことも。



欄人

「次にお前は、『お兄ちゃんの身の丈に合わない力だよ』と言う。」



知太

「お兄ちゃんの身の丈に……ハッ。


こ、心まで読むの!?やめてよっ、変態!」



欄人

「いやー、なんでもできるじゃあねーの。」



知太

「お兄ちゃん……。


い、いい?超能力なんか身につけたらね、秘密結社がかぎつけてきて、お兄ちゃんをどうにかしようって襲ってくるんだからね!現代超能力モノの作品ってだいたいそういうオチでしょ!」



欄人

「あー。SP◯CサーガもD◯Bもモ◯サイコも秘密結社絡んでたなそういや。」



でもまぁ、そういうもんなんだろうな。


秘密結社とやらの意図はよくわからんが、いろんなパターンあると思うんだわ。で、そのどれもが『超能力を必要としている』んだと思う。


例えば、世界転覆を目指す秘密結社があったとする。そんな組織が欲しがるのは、『誰も対策のできない兵器』に他ならない。科学に基づく兵器では科学に基づく対策がなされてしまうから、科学に基づかない……非科学的な兵器が必要になる。代表的なのがまさに超能力だ。


例えば、宗教的な秘密結社があったとする。宗教組織が求めるのはひとえに『崇める神』。ダーティーな話を絡めれば、『実利のある神』だ。すなわち、実物がいて、目の前で人知を超えたご利益を与えてくれるような存在は誰もが信じたくなるし、お布施を引き出しやすいってわけだ。それは例えば超能力者なんだ。


てな感じに。



知太

「だからお兄ちゃんっ。お兄ちゃんが超能力持ったって話は僕とお兄ちゃんだけの秘密だからね!


僕はお兄ちゃん守るために絶対に秘密にするよ。だからね、お兄ちゃんも超能力持って大変なことがあったら僕だけに相談するんだよ、いいね?」



欄人

「へーへー。わーってるよ。


人様に見せてどうこうするつもりもない。俺は変わらずにこの部屋を動かんだろう。」



知太

「いや、外には出てほしいんだけど……。」



超能力がなんだ。俺に備わってどうすんだ。


使い道なんざまともなのねぇーぞ。ゴミを触らずにまとめるとか、知太にテレパシーで小間使いさせるとかしか思いつかん。



便利っちゃ便利なんだろうが、まぁなくても構わないよな。超能力。


あー、俺って超能力欲しいとか言ってた割に、手に入れたらなんに使うとかまったく考えてなかったわ。



欄人

「なぁ、知太。超能力ってどう使えばいいと思う?」



知太は俺の部屋の掃除をしながら、うーんと唸った。



知太

「善いことに……かな?」



欄人

「誰にとって?」



知太

「社会にとって……。」



欄人

「あ、じゃあ俺に死ねと。」



知太

「あー卑屈!


例えばさー、それこそ病院の患者さん治すとか!」



欄人

「だからそれじゃあ医者が食いっぱぐれるだけだし、超能力隠せって言ったのお前だろが。」



知太

「む、むう。すぐ思いつかないよそんなの!


さぁ、元気になったなら外に出よ!晩ごはんの買い物、付き合ってよ!」



欄人

「えー。やだ。」



知太

「超能力持ってもお兄ちゃんはお兄ちゃんか……。


さもなくばこのフィギュアの首を折る。」



欄人

「折ってみろ。折る前に超能力でその指を折れるんだぜ。」



知太

「ギギギ、超能力なんて無い方がいい……!


ぷん!もういい!いってきます!」



知太は旅立った。


……ふむ。だが、せっかくの超能力だもんな。面白いことに使いたいと願うのが人間ってもんだ。



よし。手始めに知太を手厚く歓迎してやろうかね。ガハハ。

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