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鍬と魔法のスペースオペラ  作者: 岡本 章
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鍬と魔法のスペースオペラ 第11章 その1

   第十一章 継承


   1・非公式緊急軍事法廷


「学長でもいいや。ちょっと、いや、大いに胡散臭いけれど」


 師の脈絡なき独白にちょっと、いや、大いに傷つけられた思いで、私――宇大学長こと、ヤング・アゼルバート・スタンフォードは苦言を申し立てたが、師は2、3秒ほど反応に遅れた。


「え……あ、ああ、ここは[レパルス]か……良かった。戻ってきたんだ……」


 師のただならぬ様子に反応したのは、私だけではない。


「サー、何があったのです?」

「全艦、第一級警戒態勢!総員戦闘配置につけ!」

「索敵を厳にしましたが、敵影らしきものは発見できず!」

「『ミカン』の使用を許可する。何としても探し出せェ!」


 にわかに騒がしくなったブリッジだが、情報士官のカーロス・ベルが席を立ち、師に歩み寄ると、腰を落として視線を彼に合わせた。


「サー。戻ってこられた、という事は、今までどちらへ?」


 どちらも何も、師はずっとこのブリッジにいた訳だが。


「えーっと、よく僕にも分からないんだけど、どうやら『銀河樹』に招待されたみたい。

 体感で6時間ほどあっちの世界に行ってた――ああ、パーソナルモニターには記録が残ってないかぁ」


 師はご自分のパーソナルモニターを操作した後、残念そうに呟いた。

 カーロス・ベルの目が細まる。


「つまり、サーは『銀河樹』とやらに拉致監禁された訳ですね?そして6時間後に解放された、と。そう解釈して、宜しいですね?」

「うーん、言い方はアレだけれど、だいたいそんな感じかな?」

「ただちにメディカルセンターに行かれる事を進言します」

「うん。そうさせてもらおうかな?さすがにちょっと疲れたよ」


 師は疲れた笑みを浮かべると、そのままブリッジを後にする。


 カーロス・ベルはちらりと艦長を見た後、自分のパーソナルモニターを操作する。


「情報士官ベルよりドクターボーンズ」

『――こちらボーンズ。どうした?』

「サーがそちらに向かった。特1級メディカルチェックを頼む」

『珍しいな。何かあったのか?』

「あったから言っている。何しろ、サーがお疲れになっている」

『!分かった。準備する。メディカルセンターより以上』


 カーロス・ベルは引き続きパーソナルモニターを操作。別の人間を呼び出す。


「ケイハチ師匠は今いいか?」

『――はいはいベルの旦那、ケイハチでげす。何かあったんでげすか?』

「よく聞いて欲しい。サーが拉致され、ノータイムで帰還された。何があったのか、サーから直接聞き取って欲しい。今サーはメディカルセンターに向かわれた」

『承知ノ助でげす。どこの野郎か知らねぇが、サーを拉致るたぁ、いい度胸でげすな』

「……まったくだ」

『委細、このケイハチにお任せあれ。敵の正体、五月のお天道様みてぇに、はっきりさせてやるでげすよ』

「……よろしく頼む。ベルより以上」


 ケイハチ・サンリュウテイ名誉中佐。

 [レパルス]の主任カウンセラーだ。黒目黒髪で、やや浅黒い肌の、貧相な40男で、いつもへらへら笑っているが、男女問わず人の心にすっと入る技量はさすがにプロである。

 なにしろ、この艦に来てから間もない私ですら、彼の事を知っているくらい、他人との距離を詰めるのが上手い。

 なんでも前職は『タイコモチ』なる伝統芸能の継承者だったらしく、我が師が他領で接待された際、その場でスカウトしたそうな。乗員から『師匠』と呼ばれるのは、その名残らしい。

 ちなみに彼は正確には軍人ではなく軍属であり、いわゆる専門職にあたる。ゆえに階級には『名誉』が付く事になる。階級が妙に高いが、それは医者やカウンセラーは上級士官にも命令するケースがあるからだ。

 もっともそれはそうした伝統がタルシュカット領軍にあるというだけの話で、ケイハチ個人が階級を元に偉ぶる事はない。

 いやむしろ階級に似合わずへりくだる傾向にあった。


 それにしても、カーロス・ベルの危機対応能力には感心させられる。


「情報士官ですから」


 表情から私の思いを読んだのだろう。彼はニッと笑ってみせた。目は全く笑ってなどいなかったが。


 それにしても、艦の全員が我が師の言う事を、まったく疑う事なくそのまま信じているというのも、考えてみれば凄い話だ。

 何しろ私達の感覚的にも、艦のあらゆるセンサーにおいても、師が[レパルス]を離れていた事は確認できていない。

 つまり我が師が拉致されたという事実は、何ら客観性を持たないのだ。

 にも関わらず、師の自己申告をそのまま受け入れている。

 つまり、師が白と言えば、例え黒でも白になる事を意味している。


 かつてウガリティアの地においても、師のカリスマは高かったが、立場が異なるとはいえ、今の師のそれは異常としか思えないくらい高過ぎるのだろうが、それにしてもここの連中は師に対し、少々盲信が過ぎるように思える。


 いくら人間族は魔族にくらべ、集団に対する従属意識が強いとはいえ、これではまるで全盛期の時の全体主義国家のようではないか。


 ……いや、それは考えすぎというものか。師は独裁者どころか、むしろ人の話をよく聞く方だし、『サー被害者の会』のような、師に対してかなり言いたい放題の組織も機能している。

 今は非常時ゆえに皆の気が立っているのだろう。そう思う事にしよう。その方が精神衛生上良い気がする。


 上級魔族にだって、安息は必要なのだ。ちょっとした行き違いでも殲滅対象とされかねない、『勇者』相手とあっては特に。

 

 もちろん私は我が師を敬愛している。

 だが、それと同じくらい、師及びその取り巻きには最大限気を配っているつもりだ。


 それが上級魔族にとって、長生きの秘訣だと分かっているからだ。


   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇


 それから3時間後。私達はブリーフィングルームに集まっていた。

 艦の指揮をナンバーワン――副官待遇のメイン戦術コンピューター――に任せた艦長を初め、主任パイロットであるプーニィなどのブリッジ勤務士官達も交代要員に任務を任せてきている。

 随伴艦の駆逐艦艦長達もシャトルで訪れていた。

 

 他には工房長や艦載機隊隊長、そしてリル奥様やディアナ奥様――今はアルスティナ王女殿下といったか――の姿も見える。


 そして正面卓前には、艦医ボーンズとケイハチの二人。


 要するに、師以外の艦隊最重要メンバーがほぼ揃っているわけだ。

 

 ほぼ、というのは、最近我が師の秘書的な立場になり、リル奥様に代わって科学士官の任務をこなしているマイ副教とメイ副教の二人がいない事、そして本来部外者たる私が呼び出されているから。

 それにしても、マイ副教とメイ副教がいないという点が、どうにも引っかかる。

 私以外の宇大所属であり、端から見れば私の絶対的な味方に映るに違いない。


 だって私、学長だし。


 もっとも、二人の忠誠心は我が師一人に極振りしているから、私に味方するかどうかは、我が師の気持ち1つだろうな。


 と私が妙に警戒しているのには、ちゃんとした理由がある。


 私は正面卓の目の前。最前列中央に座らされ、他のメンバーは私を囲むように席を配置しているのだ。

 これじゃあ、まるで被告席みたいじゃないか。

 おまけに周囲の目が妙に冷たい。


 うん。まるで、じゃないなコレは。


 恐らく、今の状況――師がここにいない――の責が、私にあると彼らは言いたいのだろう。私が銀河樹の欠片を見せなかったら、こうはなっていなかった、と。


 とんだ言いがかりもあったものだが、タルシュカットの者は、師が関わると理屈が通じなくなる事は、既に証明済みなのだから、極めてタチが悪い。


 極めて遺憾な事態だが、ここで彼らに逆らったら、下手しないでもそれは師との敵対を意味する。それは何としても避けねばならない事を、私はウガリティアで学んでいる。


 我が師は仲間思いなのだ。そしてこれも極めて遺憾ながら、自分の前世を認めていない我が師にとって、私はまだ外様の半部外者に過ぎないと思われる。

 

 彼らと私のどちらを我が師が優先するかは、火を見るより明らかだ。


「それでは始めますか」


 進行役は情報士官カーロス・ベルが行うらしい。先程頼もしかった彼が、今は恐ろしくて仕方がない。


「その前に、ウィリアム様は、ウィリアム様はどういう状態なのですか?面会謝絶とは穏やかではありませんね」


 ディアナ奥様もといアルスティナ王女殿下、そう私を睨まないで欲しい。

 今はマナが薄くてほとんど魔法が使えないが、貴女の恐ろしさの本質は魔法などではないのだから。


「サーはメディカルセンターでお休みになっておられます。相変わらず治療の類は薬学的、ナノテクノロジー的にも一切受け付けませんが、肉体的には何の問題もありません。

 精神的な疲労回復と、体内時間のズレを睡眠で補正中です。

 いわゆる、時差ボケ、という奴ですな。

 面会謝絶は、サーの安眠を守る為に過ぎません

 明日にはまた元気なお姿が見られると思われます」


 艦医ボーンズが簡単に説明し、正面卓から右の壁際の席につく。彼はただその説明のために正面卓前にいたのだろう。


 まぁ、タルシュカットの人間にとっては、我が師の安寧こそ最優先事項なのだから、もっとも重要な情報ではある。

 効果は抜群で、ほぅ、とあちこちで息が漏れる音がした。


 相変わらず、私への視線は絶対零度のままではあるが。


「艦医様。ありがとうございます。ちょっとほっとしましたわ」


 王女殿下がカーテシーで謝意を表明し、他のメンバーも軽く頭を下げ、艦医もまた一礼で返した。


「では続けます。ケイハチ師匠」


 カーロス・ベルの呼び声に、「へい」と短く答えたケイハチは、四角いクッションを床に置くと、その上にちょこんと座り、深くお辞儀をする。


「ご指名にあずかりました、ケイハチでげす。まずはこちらの映像をご覧下さいませでげす」


 センスと呼ばれる小さな扇を閉じたまま振ると、正面に巨大なモニターが浮かび、映像が映し出された。


 どこかの惑星上か。変わった形の木々――街路樹――と、剥き出しの土の道。

 そしてそこをトボトボと歩く師の姿。


「この映像は、サーの証言から作りやした……いやぁ、【黄金の記憶領域】とは、これまた凄みのスキルでげすなぁ。拙の根掘り葉掘りにも、まったく記憶がぶれやしねぇ。

 サーの多才さは知ってるつもりでげすが、これにゃあ、拙も驚かされやした」

「ケイハチ師匠。サーの偉大な才能はここの誰もが承知だ。さっさと進めろ」


 誰かのツッコミに、こりゃしまったと小さく呟き、閉じたセンスでペシッと額を叩くケイハチ。

 おどけた仕草だが、いかにも堂に入っている。プロの所作だ。


「サーは[レパルス]のブリッジから、突然この星に飛ばされた、と認識なされたようでげす。きっかけは深い霧。周囲が真っ白になりやして、次の瞬間にはここへ、ッてな具合でげして……その霧の正体は、まだ分かっておりやせん。

 で、サーはぶっとんだパーソナルモニターを再起動してから、この惑星の冒険と洒落込んだ具合でげす。

 まぁ、その肝心のパーソナルモニターのデータは残念ながら、未だに回収できておりやせんし、そもそもサーの身体がこの惑星に実際に飛ばされたのかも分かっておりやせん。

 ちなみに、サーのパーソナルモニターは、現在技術部にて検証中でげす」

「ああ。工房の総力をあげて分析中だ。量子コンピューター3基も振り当てさせてもらっている。索敵班にはスマンが、事情が事情だ。察してくれ」


 ヨシミツ・フジワラ工房長が頭を下げると、カーロス・ベルも一礼で返す。


「当然ですが、サーが最優先ですからね。それに相手が魔法だとさすがの『ミカン』も守備範囲外でしょうから、構いません」

「『ミカン』の改良は検討中。でも魔力を感知するには、もっとマナが必要」


 カーロス・ベルに続いて、リル奥様が発言する。


「という事は、魔力感知に目処が立ったという理解で宜しいのですか?」

「マナがもっと必要だと分かっただけ。今のままだと、最低限の魔法を発動させるだけでもやっとの状態。オフセットゲートの分を回せればマシだろうけれど、そうなるとウィルが始業式までに帰れなくなるから、その案は却下せざるを得ない」

「リルの言う通りですわ。ウィリアム様が宇大生となられる瞬間を、是非とも記録しなければなりません。結婚式場の控え室で流す映像に必要になるのは必定ですから」

「それ以前に、ウィルの晴れ姿をタルシュカット全土にリアルタイム放映する。この任務は最重要。失敗したりしたら、下手したら反乱が起こる」

「王室にもお願いしますわ。お父様が楽しみにしていらっしゃいますから」

「心得た」


 奥様二人が、私の闇空間にある銀河樹のマナ配分を勝手に決めているが、まぁ、あのお二人に私如きが意見できる筈もないから、致し方ないところだ。

 確かにマナの大半はゲートに消費されており、その分を他に回しすぎたら、ゲートの維持はできない。

 例の地味な魔法実験ですら、かなりぎりぎりだった。

 そしてオフセットゲートの特性上、こちらからは開くことはできないし、ゲート施設もマナの供給が絶えたら再起動は不可能だから、一時的にマナを拝借、という訳にはいかない。

 つまり、一度ゲートが消滅してしまったら、[レパルス]は自力で帰還を試みるしかなくなる。

 ここから宇大星系までは1400光年。

 HDジェネレーターを3基搭載し、我が師が魔改装した[レパルス]でも数ヶ月はかかるだろう。随伴の駆逐艦達ではもっとかかる計算だ。


 それはそれとして、始業式に間に合わなくなるのが一番大変なのは、学長であるこの私の筈なのに、その点には誰も一切触れてくれないのが寂しい。

 ええ、ええ。どうせ我が師のに比べたら、私如きの都合など、どうでも宜しいですよね、はいはい、分かっていますとも。


「となると、我々の選択肢は限られてきますね。此度のイレギュラーは我々の想定を越えています。ひとまず帰還する事も考えた方が宜しいかと。

 なにしろ、サーの安全は何より優先すべき事ですから」

「ホープ艦長。それは正論ではありますが、この場に皆で集まったのはそのイレギュラーを精査することでは?

 第一、帰還するかどうかの判断をするのは、我々ではなく、サーであるべきでしょう」

「正論に正論で返すな特務中尉……いや、『被害者の会名誉会長』」

「ふふ、失礼しました」


 艦長と主任パイロットが和やかな口調で言い合い、勝手に収束した。

 うん。良いチームだ。

 そのどちらもが私に冷たい視線を送っている事を無視すれば。

 

「話がまとまったところで、先に進めさせて頂きやす。といっても、サーはこの後、5時間ばかしひたすら歩かされるんでさ。まったく、10歳児とは思えねぇタフさでげす」


 ここでケイハチはセンスで床をパンパンと叩く。


「ここでサーをひたすら愛でるっつーのもオツでげすが、この後の『お楽しみ』もありやすんで、ちぃっとばかしスキップしやす。

 さぁてお立ち会い。ここからサーの平和的無双タイムが始まるんでげす」


 平和的無双タイムとはこれ如何に、と思ったものだが、確かに平和的ではあった。

 我が師は水属性魔法、もとい勇者スキルを使って、周囲に水を撒き、ついには雨を降らせるに至った。

 つい先日スキル化に成功したばかりだというのに、もう十全に使いこなしているのはさすがは我が師である。ウガリティアの頃より習熟速度が速いように思える。

 効果は抜群で、大地は潤いを取り戻し、木々の根は躍動した……って、躍動しすぎ?


 そこからは劇的な展開となった。

 宇宙を模した疑似空間や、惑星の状況。資源採掘者(あえて不法伐採とは言わない。惑星の所有者と見做されているかもしれないからだ。銀河樹自身が認めているかはともかくとして)の傍若無人な振る舞い。

 そして、惑星規模を越える自爆連鎖。


 銀河樹のものと思われる声も聞いた。

 どうやら師は銀河樹に認められたようだ。

 何かを託されるらしい。

 まぁ、この流れから考えれば、銀河樹の苗か種といったところであろう。

 農家スキルを持つ師にうってつけの贈り物といえよう。


 だが魔法スキルを持たぬ師は困惑してしまう。

 魔法スキルを持つリル奥様か王女殿下、もしくは私が相応しいと、そこまで師が考えた時、師は[レパルス]に戻された。


 私を胡散臭いと口ずさんだのは、この時だ。


 映像が停止し、大型モニターが消えた。


「以上が、サーの記憶に基づいた再現映像になりやす。こまけぇ心理分析のフィルターは無しで、再現度のみにこだわりやした。

 それでは丁度時間となりやしたでげす。皆様、御視聴ありがとうごぜぇやした」


 ケイハチは深々と一礼し、クッションを片手に壁際の席に戻る。


「ケイハチ師匠、ありがとうございました。それでは陪審員の皆様。判決は如何に?」


 情報士官の問いに、周囲の席に座る人々はまったく逡巡しなかった。

 

「有罪」

「ギルティ」

「ギルティですわ」

「陪審全員一致で、有罪、と」


 ……え。

 ちょっと待たれよ。

 今の映像で、どこに私を糾弾する要素があると?


 そりゃあ、私が事実上の言い出しっぺですよ?

 我が師に魔法の存在を教え、マナの元を示唆した。


 でも、逆に言えば、それしかしていない。


 そもそも、アレが銀河樹の欠片だという事すら、私達宇大は分析できなかったし、何処の星系から来たのか、何時できたのかも分からなかったのだ。


 全て、我が師の【解析】の結果ではないか。


 だが、我が師に責任を転嫁するのは、弟子のやる事ではない。

 私を吊したければ、そうすれば良い。


 だが、これだけは言わせてもらおう。


「待って欲しい。これではかのシェイクスピアの劇のように『弁護士不在』ではないか」


 反論も許さず、初めから有罪が確定しているような物言い。

 これが文明人のやる事か?


 私は両手を左右に広げ、腰を捻って周囲を見渡す。


 陪審員達は、目を点にし、人によっては口を半開きにして固まっている。

 自分達がどれだけ暴言を吐いていたのか、思い知ったのだろうか。


 と思ったら、違っていた。


「……何を言っている?弁護士ならいる」

「元魔王軍四天王筆頭にして現魔王、そして宇大学長。弁護するのは貴方」

「魔法のエキスパートで、立場的に中立になり得るのは、学長センセしかいませんからな」

「魔女や王女殿下は却下。弁護士が検察官になるのがオチ」

「まぁ、学長センセも、前世じゃサーの側近だったんしょ?だから中立やるのは業腹かもだけど、ここは現世の付き合いの深さで妥協してくれませんかねぇ」


 ……ええっと。


「あの、すみません。で、誰が有罪なのですか?」


 思わず、素で尋ねてしまったら、みんなため息をついた。

 え?

 艦長がやれやれ、と首を振る。


「銀河樹に決まってるでしょ」

「は?」

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