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鍬と魔法のスペースオペラ  作者: 岡本 章
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鍬と魔法のスペースオペラ 第九章 その12

誤字報告ありがとうございました。早速修正させていただきます。

  12・張り子の艦隊 張り子の惑星


「こうしてはいられぬ」

 ロード・ヘンリーが司令席に座ると、執事頭のローレンスがすっと近づき、巧みな手さばきでロード・ヘンリーに施された特殊メイクを剥がしていく。

 つい先ほどまで老人然としていたロード・ヘンリーだが、みるみる若さを取り戻した。


 単純な老けメイクだが、変装道具自体はサーモスキャンや画像分析をくぐり抜けるタルシュカット情報部の特製で、映像加工で老け顔を演出するより宇大のコンピューターを騙せる可能性が高いとされたのだが、その目論見は当たったようだ。


「もっとも、ウィルにはすぐにバレてしまっただろうがな」

「工期を10ヶ月に設定したのが、ウィリアム様ですからね……それよりマイロード」

「なんだね?」

「ウィリアム坊ちゃんがアクティブ・ステルスを使ったという事は、ウィリアム坊ちゃんは、宇大の助っ人となったのでしょうか?それとも宇大に追われ、アクティブ・ステルスを脱出の囮に使ったのでしょうか?」


 執事頭の質問に、ロード・ヘンリーは顎を指でつまんだ。


「脱出、の線は考えにくいな。いきなり複数出すのも不自然であるし、そもそもウィルはまだ宇大生ですらないのだ」

「さようで」

「ゆえに彼が帰ると言い出したら、宇大には止められない。

 妨害したら、それこそ国際問題だ」

「さようで」

「それにウィルは既に王国の貴族家当主、それも高家である。

 高家は王族と同様の権威を持つ。

 しかも帝国の名誉貴族でもあるのだ。

 そんな彼を宇大は敵には回さぬだろうよ」


 王国にせよ帝国にせよ、宇大に武力で勝つのは難しいだろう。

 もっとも、負けもしないだろうが。

 だが、宇大にとり、王国と帝国を敵に回す事は破滅を意味する。

 寄付金、卒業生の就職先、そして受験生の確保などなど。

  宇大の両国への依存度は存外高いのだ。


「では、ウィリアム坊ちゃんは宇大側に立ったと。

 つまりは、ウィリアム坊ちゃんを敵に回したのは、マイロードの方、という事になりますな」


 ローレンスの一言に、司令センターは一瞬で凍り付いた。

 そして氷が溶けるや、怒濤の混乱の波に呑み込まれる。


「ちょっ」

「うわぁ、やばい、やばすぎますよマイロード!」

「う、狼狽えるな!わわわ我々はさ、サーに鍛えられし精鋭ななのだ!」

「お前が一番狼狽えてるぞ」

「これがバレたら、俺ら、タルシュカットに帰れなくなるぅ」

「大丈夫だ。家に入れて貰えなくなるだけだ。幸い、俺は独り身だ」

「「「それはそれで寂しすぎる!」」」

「みんなぁ、俺の世界にようこそ」

「「「引き込むなぁ!頼むから!」」」

「……実は俺、帰ったらあの娘にプロポーズしようと思ってたんだが……」

「「「やーめーろぉ――」」」

「離せ!もうこんな所にいられるか!俺はタルシュカットに帰るぞ!」

「「「誰かコイツを何とかしてくれぇ」」」


「静まれ」


 ロード・ヘンリーの声は決して大きくはなかったが、司令センターの隅々まで届いたのはさすがである。


「諸君は大事な事を忘れている。

 我々がウィルと公然と戦う方法なら、一つだけあるじゃないか。

 これだったら、普段通りだろう?

 問題は――」

「宇大が空気を読めるか、ですな?」

「いや」

 

 ローレンスの念押しをロード・ヘンリーはあっさりと否定し、不敵な笑みを浮かべる。


「宇大防衛隊など問題ではない。この[ニューブリテン]はウィルの設計だぞ?宇大を滅ぼそうというのなら話は別だが……」

「では何が問題なので?」


「ウィルだよ。何で[レパルス]のアクティブ・ステルスなど展開させた?しかも最低3隻。本物が隠れているとすれば、4隻の偽物だ。

 標的を分散させるにしては、稚拙過ぎる」


 アクティブ・ステルスの性能は、タルシュカット領軍でも把握している。

 言ってしまえば一分の一の模型であり、高級なデコイだ。

 中身はほぼ空で、[レパルス]モドキの場合は、コルベット級のメインジェネレーターだけが、装備らしい装備だ。

 推進方法はウィル式推進のみで、ディフレクター・シールドはあるが、武装もない。

 

「ウィリアム坊ちゃんが例によって魔改造して、武装を施し、戦力化した可能性はございませんか?」

 

 ウィリアムの改造好きを知らないタルシュカット人はいない。

 本来軍属ですらない執事頭ですら知っている。

 そもそもアクティブ・ステルスを開発したのもウィリアム当人なのだ。更なる改造を施しても不思議ではなかった。

 だが、サー・ヘンリーはウィリアムによるアクティブ・ステルスの武装化はないと踏んでいた。

 

「それでは非効率的だろう。それならば既存の戦艦を改装した方が早い」

「さようで」


 サー・ヘンリーは司令席に深く座り直す。


「どうせすぐにどれが本物か分かる。

 それより我々は、当面守りに徹する。

 HDジェネレーターの調子をよく見ておくように」


「「「イエス・マイロード!」」」


   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇


 僕らの艦隊は、[レパルス]を先頭に、かつ肉眼で視認できる距離でアクティブ・ステルス達を随伴させ、駆逐艦3隻はフォーフィンガーで定位置に付けた形で航行している。

 やがて宇大4が見えてきた。さらに前方には無数の光。

 宇大防衛隊の守護艦隊だ。

 宇大4の前に陣取り、[ニューブリテン]から宇大4を守りつつ、半包囲している。

 一見、強気の陣形だ。

 でも実際は、宇大4が惑星ならではの超兵器を[ニューブリテン]に対し使う気がない事を露骨にアピールしているんだね。


 ここまでくれば、肉眼でも一応[ニューブリテン]を視認する事はできるだろう。

 少なくとも、ソル1とソル2の光は分かりそうだ。

 メインモニターには、拡大処理した姿が映し出されているけれど。


「シャドシリーズが展開されてないね。やはり父様は宇大を攻め滅ぼす気なんかないんだ」

「あの、シャドシリーズとは何でしょう?

 それと、タルシュカット伯は、最初から我々を滅ぼすとは仰っておりませんが」

 

 マイモンさんが頬を若干引きつらせて訊いてきた。


「シャドシリーズはいわゆる戦闘衛星ですよ。攻撃型、宙域防衛型など色々展開する予定です。特化型が多いですが、最大規模にして汎用型と呼べるシャド1は、直径500kmで、丁度ソル1の半分の大きさですね」


 マイモンさんが今にも白目を剥きそうだ。

 まぁ、宇大の最大コロニーが、僕らが試験を受けた第78校舎コロニーの直径100kmだから、その5倍の大きさなわけで、無理もないかも。


「ひょっとしたら、まだ出来てないのかも」

「30年も準備なさったのですし、それが最大の攻撃力を持つというなら、未完成という事はないでしょう」


 マイモンさんがあっさりと僕の説を否定してしまった。

 まったく、30年なんて父様のジョークだって散々言っているのに、その辺りは信じてくれないんだよね。

 僕が立てた作戦だって、それしかないという消極的な理由で採用されただけだ。

 それじゃ勝てないとしつこいから、他の作戦でいくなら一切協力しないと言ったら、あっさり折れた。わはは。


 ま、そっちは半ばどうでもいい。

 僕の関心事は、就航したての[ニューブリテン]そのものだ。


「半ばどうでもいいって事はないんじゃないですか?」


 あ、マイモンさんが切れかかってる。うん、また僕の悪い癖が出たか。

 それはそれとして。


「う……もう、いいです」

 

 光学スキャンを初め、各種センサーの動きは一切妨害されていない。

 まぁ、[レパルス]は味方だからね。

 それに僕が新型艦のチェックをしないわけがないのは、父様を初め、タルシュカットの誰もが知っている事だ。

 

 えーっと。


 重力子配分は安定している。

 でないと、[ニューブリテン]は最悪崩壊してしまう。

 惑星の形を維持するだけでも、相当出力を食っている筈だ。

 でも、直径500kmや1000km程度ならともかく、あんな直径8000kmクラスの人工物を安定させるには、重力子による力技しかないというのが、今の僕らの科学技術力の限界だろう。


「直径500kmから1000kmならともかくって……」

 

 ディフレクター・シールドの出力は30%ほどか。まぁ、戦艦や駆逐艦に積まれていた時より大型化している分、分母が大きくなっているから、実際には出力は大幅アップしている。

 だいたい基幹センターのHDジェネレーター一基で、王国の機動要塞一つを賄えるくらいの出力だから、惑星規模兵器の類でも突破は難しいだろう。

 それが200層。

 発生させるジェネレーターが違うから、シールド周波数は層毎に違う。

 チカラによるごり押しが不可能なら、次はシールド周波数を合わせる事で中和を図るのが次善策だけど、200層を分析、突破するのはミカンクラスのセンサー――旗艦級量子コンピューター3基による分析――をもってしても困難だ。


 ディフレクター・シールドはソル1の軌道、つまり[ニューブリテン]から20万kmから、シャド1の軌道予定である10万kmの間の10万km弱の幅で球状に展開している。

 戦闘時にはエリアを拡大してソル1も守れる、筈だ。

 

 そこからも今、[ニューブリテン]は戦闘態勢を取っていないのが分かる。

 もっともソル1自身も、自前のディフレクター・シールドを100層展開しているから、宇大の人達には分からんのです。


『サー?あのようにHDジェネレーターを有効活用しているなら、別に俺の研究なんざ要らないんじゃないですかね?』


 [レパルス]のブリーフィングルームにいるヒルター助教から質問が来た。


「いえいえ。ただディフレクター・シールド分の重力子を得るだけなら、別にHDジェネレーターでなくても良い訳でして。

 僕が目指しているのは、もっと画期的な事です。

 というわけで、安心して協力してください」

『……なんだか分からんけど、そうワクワクさせないでくれ。ただでさえ、ここからの眺めは刺激が強すぎるんだ。ブリーフィングルームより以上』


 他にも質問してくる人は大勢いるが、正直切りが無いので後回しにしてもらった。

 もうすぐ現地に到着するし、彼らも質問どころじゃなくなるだろう。

 それはそうと、今、ブリーフィングルームにいるのはヒルターさんだけじゃない。

 102号教室組の仲間達はもちろん、工学部学部長のフーシェさん、理学部学部長のロマーノさん、人文学部長のホワイトさんをはじめ、そうそうたるメンバーが集っている。

 

 なんと現状報告の大義名分でゲートから戻ってきていたゴドフリートさんまで、当たり前のような顔をしてその中にいた。

 というか、そんなに早くゲートから来られたのか。

 僕の時はあれだけ時間がかかったのに。


 まぁ、それはいいか。大人の世界には色々あるみたいだし。

 まさか僕に長々講義させるためだけに、わざと遅らせたわけじゃないだろうし、僕は僕で叙爵とかあったから問題なかったということで。


 それでね。

 実は状況はゲートを越えた時よりも遙かに厳しくて、廊下や格納庫だけじゃなく、機関室、クルーの個室、ブリッジ、そして魔女の引きこもり部屋こと中央ラボ以外は人、人、人だ。

 人で埋まっている。

 定員若干オーバーのブリーフィングルームが、むしろ快適なくらいだ。


 というのも、どこで嗅ぎつけたのか……いや、宇大4からほど近い宙域に、惑星型の超巨大航宙艦なんかが現れたら、そりゃ騒ぎにもなるか。

 報道管制が敷かれているからか、ニュースにはまだ出てないけど、研究者なら独自の観測機器くらいは持っている筈だからね。


 てなわけで、彼らは宇宙港付近に集結し、僕が起きた事を知るや、みんなして押しかけてきたんだ。


 まぁ、それには僕にも責任の一端はあるかな?

 102号教室組のみんなに、僕は拠点ができたら招待する約束をしていた。

 だから[ニューブリテン]の出現を確認したんで、連絡を取ったら、みんな二つ返事ですぐに来てくれた。

 それを見ていた教授達が、私も儂も僕もといった感じだったわけ。


 さすがに[レパルス]の収容人数を大きく上回っちゃったんで、乗り切れない人達は[アガレス]を初めとした駆逐艦3隻に分乗、事実上占拠されちゃった。

 機動重巡航艦とは違い、空間に余裕がない駆逐艦達はかなり無理している。

 例えばアクティブ・ステルスを降ろして、格納スペースを与圧するとか。

 降ろした駆逐艦タイプアクティブ・ステルスは、今回の作戦では使用しないので、駆逐艦に乗ってた海兵隊が警備する中、宇宙港に置いてきた。

 仮にもタルシュカットの軍事機密だから仕方ない。というか、海兵隊の待機室も人で一杯になっちゃったんで、結果オーライだ。

 というわけで、現在駆逐艦には海兵隊が最小限度しか乗っていないという始末だ。

 艦内のトラブルが怖いけれど、教授達は大人だから、なんとかなるだろう。


 そんな混乱があったせいで、出航時間が遅くなってしまった。

 防衛隊の人達は避難させたかったらしいけど、知識欲、名誉欲の塊のセンセ達には通用しなかったらしい。

 既に宇大でも有名人になってしまった僕が開発した惑星をいち早く見たい。

 でも宇大所属の艦艇には[ニューブリテン]への接近許可は下りなかった。

 だったらタルシュカットの艦なら行けるだろうと、僕らに白羽の矢が立ったわけ。


 僕の講義を受け、知り合いになった工学部、理学部の教授連に加え、試験で知古になった人文のホワイトさん。まぁ、その辺りならまだ分かる。

 でも、話を聞くと、どうやら政経とか商学とかの先生達まで勝手に乗り込んできているんだってさ。今は知り合いでなくても、新学期が始まるとそうじゃなくなるんだから、気にするな、との事。

 

 えーっと。

 

 まぁ、初物に目がない、というのは分からなくもないけどね。


 でもさ。みんな、遠慮しなさすぎじゃない?

 欲望に忠実というか、なんというか。


 先生に愚痴ったら、類友とか、お前が言うな大会とか揶揄われてしまった。

 うーん。解せぬ。その言葉を先生にはそのまま返したい。


 とにかくそんな訳で、今[レパルス]と駆逐艦隊はとてもじゃないが、戦闘できる状況じゃない。各種戦闘指揮所まで無関係の人達で溢れているんだから。

 まぁ、別に戦闘する訳じゃないから、別に気にする必要はないけどね。


 そうこうしているうちに、[ニューブリテン]の姿が肉眼でもよく見える距離になった。


「[ニューブリテン]まで、あと50万km。間もなくディフレクター・シールド外縁に接触します」

「伯爵に通信しますか?」

 プーニィ達の報告に、僕は頭を振った。

「それじゃあ宇大の為にならないから。

 当初の作戦通り、[レパルス]のディフレクター・シールドでアクティブ・ステルスと駆逐艦隊を包み込んで」

「……宇大の為にならないって……」

「イエッ・サー。駆逐艦隊の陣形を密集陣形αに変更伝達――同調。本艦隊は全隻[レパルス]のシールド圏内に収まっております」

 

 マイモンさんの呟きをプーニィはガン無視だ。

 夜食を提供した割には塩対応だな。

 

 それはそうと、別の船をこちらのディフレクター・シールドで包む方法は簡単だ。

 あちらのディフレクター・シールドをこちらと同調させるだけでいい。

 シールド周波数さえ知って入れば、誰だってできる。


 だから[ニューブリテン]に無断侵入したければ、200層のディフレクター・シールドの全てに同調できるよう、突破する度にシールド周波数を調整すればいい。


「あの、それは量子コンピューター3基あっても不可能だと、先ほど」

「それはシールド周波数を知らない前提です。シールドに接触した瞬間にセンサーで探知して周波数を合わせる前に、普通に弾かれます」


 簡単に周波数を同調されてしまったら、シールドの役目を果たせない。

 

「するとこの艦は領軍艦隊のシールド周波数を、全部インプット済みなのですか?

 宇大防衛艦隊では、シールド周波数は艦の最高機密として、艦隊本部でもデータベース化はしておりませんが。

 それに、そもそもシールド周波数は変更できますから、データベース化したところで対応は困難かと」

「もちろん、うちでも同じです。シールド周波数と変更可能幅を知っているのは、自艦一隻分なら艦長と機関長。全艦分把握しているのは僕くらいなものです」


 散々弄り倒してきたからね。

 それに今回の作戦に参加した艦艇の映像は、ゴドフリートさんが提供してくれたから、艦名は分かっている。

 充分行ける行ける。

 

「……複雑なシールド周波数と、変更幅を全部覚えている?

 それも、領軍の艦隊全部?

 ……どういう記憶力なの?」


 なにやらマイモンさんが呟いているが、気にしない。

 というか、こっちはすぐにでもそれどころじゃなくなるから。


 パーソナルモニターを操作し、シールド変調モードを呼び出す。

 仮想キーボードが現れ、両手を乗せる。

 そのままメインモニターを凝視する。

 さぁ、これからは【解析】さん達のお仕事です!


「シールド第一波、来ます!」


 【解析】で確認するのは、パラメーターの最初の数桁。

 全部の桁を確認する時間はない。

 そして【黄金の記憶領域】でどの艦のHDジェネレーターか思い出す。

 そのジェネレーターの癖から変調したシールド周波数を【超理解】で計算し、正しい値を導く。

 後は直接キーボードに叩き込むだけだ。

 

 [レパルス]の三基のHDジェネレーターとメインジェネレーターを使って、シールド周波数を自由に操作できるよう、魔改造しているからできる芸当だ。

 こんな真似は、領軍総旗艦たる[ロンディニウム]でもできない。

 もっとも対応できるのはタルシュカットの艦だけだけど。さすがに弄った事もない艦のシールド周波数を瞬時に【解析】するなんてできない。


 最初は、ブレイブ級戦艦[バウンティ]Aか。周波数変調はごく僅か、と。

 いきなり戦艦のディフレクター・シールド。それもかなり癖のある[バウンティ]と来たか。変調の振れ幅は小さいけど、変数が独特なんだよね。

 大改造と、ソル2からの潤沢なエネルギー供給のおかげで、超出力に生まれ変わった[バウンティ]Aだけど、癖は変わらないな。


 同調。問題なく通過する。


「続けて第二波!」


 今度はアレキサンダー級駆逐艦の[アレックス]Bか。戦艦と違って、シールド出力はやや弱い。まぁ、プラント化させているから、気になる差ではないけれど。

 このジェネレーターはひたすら素直。アレキサンダー級そのものに共通しているけれど、中でも特に[アレックス]はAもBも優等生だったな。

 周波数変調はやや大きめ。素直なジェネレーターだけに、弄りようによっては曲者に化ける。

 もっとも、僕の前ではよく懐く子犬のようなものだ……生き物飼った事ないけれど。


 やはり問題なく通過する。


「第三波!」


 次もアレキサンダー級……[アイーシャ]B?いや、[アルドレッド]Aだ。

 頭の数桁が変わらないんだよコイツら。

 危うく引っかかるところだったよ。

 今となっては、同じ艦の一部に生まれ変わった訳だけど。

 周波数変調はなし。問題もなし。


 通過成功。


[第四波!」


 えーっと、次は――


 てな感じで、200層全部通過するのにかかった時間は数分。

 いやぁ、面白かったし、妙に懐かしかった。

 散々弄り倒してきた子達に再会した、そんな気がした。

 

 ブリッジのみんなも、特に興奮した様子はない。

 まぁ、領軍の艦のシールドに同調させる事自体は、訓練でやっていたから、別にどうという事はないんだろう。

 ただ200回連続だった、というだけだ。

 別に珍しい事でもないでしょ?


 ゲストのマイモンさんは呆然としているけど、気にしない。


「ディフレクター・シールド圏突破。間もなく大気圏に突入します」


 さぁ、いよいよ父様に会える!


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