プロローグ
初投稿です。よろしくお願いします。
*念のためR指定と残酷描写ありにしています。
――とくん、とくん、とくん
あれ、ここ何処だろう……うつらうつらとした意識が浮上した。
水の中にいるように音が、遠い? というか自分のともう一つ心音が響いてる?
んー、心地いいな……と思いながらうっすらと目を開いてみた。
映ったものは、赤い世界。
っ!? えっ、は? 何これ、怖っ!! と焦っていると脳内に声が響いた。
『やっと起きたか。寝過ぎじゃないかのぅ?』
誰!? 知らない声がする。少ししわがれた、それでいて威厳のある声。
『他の者はすでに終わった。後はお主だけじゃ。お主、死んだ事を覚えとるか?』
その言葉に私の思考は一瞬フリーズした。
はぁぁぁあああ!? え、私死んだの? いつ、なんで、どうして!?
全然思い出せないんですけど!?
『ふむ、全く覚えてなさそうじゃ。人選間違えたかのぅ。まぁよいか、一人ぐらいハズレでも』
あれ なんかすごく失礼なこと言われてない?
『お主は儂に選ばれ、転生することになったのじゃ。今は母の胎内じゃの。それで、オプションとして随獣を選ばせてやろうと思っての』
えぇぇぇ、全然話が見えない。しかも、ハズレってなにさ。いきなりディスられてるんですけど。
死んだ、そっか死んだのか私……。 ショックだ まだ二十九歳なのに。
転生って最近小説で人気のやつ? 本当にあるんだ。よく読んでたけど、まさか自分の身に起こるなんて……。
感傷に浸りたくなったが、声の主がいつまで待ってくれるか分らない。取り敢えず、もらえる物は貰っとこう。
ずいじゅうって、瑞獣のことかな? それなら もふもふできて脚が速いのがいいな。あと乗れたりしたら最高かな! 例えば白虎とか!
それより、言語理解系チートはデフォルトだよね!? そこ大事なんだけど!
『むむむむむ!? うーむ。白虎は無理じゃの。言語能力ぅ? そんなもの無いんじゃが。だがまぁ、あれならそこも何とかなる、か? 他の者の要望も聞いてしまった後だしのぅ。仕方ない、その希望叶えてやろう』
んんん?私以外にも転生した人がいるってこと? 同じタイミングで死んだとか?
てかなんのための転生なんだろう? ミッションがあったりするのかな?
『では期待しとらんが、まぁ活躍して欲しい』
考え事をしているうちに、また失礼な言葉を残し声は途絶え、私の意識も沈んでいった。