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0.・・・

今日だけ2話投稿します。短いので。

 突然周囲で上がった悲鳴とそこから連鎖する喚声の数々に驚いて、アタシは慌てて周りを見回した。


 東京は山手線沿線の繁華街とオフィス街が接したあたりで、職場に向かって急ぎ足をしていたところだった。

 この忙しい時期に、忙しいせいなのだろうが、起床から激しい偏頭痛に襲われて家を出られず、午前半休はもらったものの仕事は待ってくれないので、落ち着いた隙をついての出勤中。

 運動音痴に加えてデスクワークの運動不足でついでに肥満気味という三拍子揃ったアタシの身体は、いつもより早足で歩いていたおかげで大分息切れしている。40歳間近(アラフォー)という年齢のせいもあるか。

 そんな状態なので、状況把握に時間がかかったわけだ。


 前方にいる人たちが、こちらを向いている人は立ち止まってパニックしていて、つられて向こうに向かっていた人たちも振り返っているので、そこでアタシもその悲鳴の原因がアタシの背後にあることを理解した。

 ので、振り返ったのだけれど。


「邪魔だ、ババァ! どけっ!!」


 ドンっと。

 力いっぱい背中を押されて振り返りきることも叶わずに車道に押し出され、すっ転んだ。

 ヒールで踏ん張れという方が無茶だよねぇ。


 背中が熱くて痛くて起き上がれないまま。それでも、手と膝をついたそこが車道なのは分かっていて。


 さらに追い打ちするように、音量の上がった悲鳴とたくさんの足音と。


 鳴り響くクラクションと、

 大型トラックを思わせる大きな排気音と、

 タイヤの悲鳴。


 あー。これは助からないなぁ。


 今際の際に、アタシの脳内に出た結論は、諦念だった。


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