ハッピーワールド
ハッピーワールド
僕以外の人間は変だ。
みんなつらい、とかかなしい、とかすぐに言う。
よく分からない。
この世界に幸せ以外のものなんてないのに。
「ノブ、ご飯出来てるよ」
眩しい朝日と母の声。
ああ、幸せだ。
「この食パン上木の有名なパン屋さんのやつなのよ」
上機嫌な母と小麦とバターの入り交じった柔らかな香り。
ああ、幸せだ。
「おはようノブ、学校行こうぜ」
迎えに来てくれた友達3名。
ああ、幸せだ。
「そこでカズがさぁ」
他愛のない話と飛び交う笑い声。
ああ、幸せだ。
「ノブ、この問題わかるか?」
少しチョークで汚れた手とみんなの密かな感嘆。
ああ、幸せだ。
「ノブ頼んだ!」
決まるハットトリックとトモヤとのハイタッチ。
ああ、幸せだ。
「ノブ今日もすごかったよな」
トモヤもアキもカズもみんな口を揃えて言う。
ああ、幸せだ。
「」
[発見された××は××から2年が経っていると見られています。]
[××××により少年は孤児であった××××君と断定されました。]
[少年は学校でもおとなしく目立たない存在で友人といる様子を見たことがないとの話です。]
ああ、幸せだ。
語るものなき白シの孤独