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親子迷路 (風が強い日)  作者: 山口 浄
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CRY FOR THE MOON

二人の気持ちは重く、会う度にため息が。

三ヶ月程過ぎて、「二人で親との縁を切って、二人でやって行こうか?」と語り合った。

しかし現実には、入院中の父親を持つ彼女。義理に縛られた私。

そして彼女の父は、病身をおして結婚の話を進めようとしているのが痛いほど分かる。

そして私が強引にでも勝手に思いを通して、全ての縁を切り思いのままに走りたい。しかし私の中で燻る不条理な不文律が厳然と存在していて大きな石の蓋になっているのも間違えない事実。


そして私の父親の言わんとしている事も十分理解出来る。

再度私は父親と話合ったが、話は堂々巡り。


暫く経った休日前の夜、彼女が私の家に泊まりに来る日。

先に彼女が来ていた。

晩御飯が用意されていて、風呂上がりにビールを飲みながら食事。

食事を終えて二人で飲み続けていると、「結婚するのん止めよか?お父さん見てたら可哀想になるねん」

「俺も薄々それは感じてたよ。これ以上は、な。」とだけ答えた。

心の中は荒れ狂う海のようだったが、きっと彼女もそうなんだろう。と思い、「じゃあ今夜が最後やね。至らなくて悪かった。落ち着いたらまた笑って会おうな。しかし君の両親には、大喧嘩して別れる事にしたと言った方が良いな。」と言い、泣いて最後の夜を明かした。


けったくそ悪く、一週間程しても私の父親には、その事を伝えてはいなかった。

彼女の父から私に電話があり、「悪いが一度入院先に来てくれないか?」と。

私もこのままではあまりにも不義理だと悩んで居たので、「行かせて頂きます。」と、約束の日時に入院先の病身へ。

「娘から聞いたが、それで良いのかね?何か他に君の口から言い難い何かが有るのでは無いのかね?」と彼女の父。

予想はしていたが、その答えを見出だす事が出来ずに、思わず下を向く私。

「君の立場と気持ちは分かっている積もりだ。

本当の気持ちを言っては貰えまいか?」と言われ、私は下を向いたまま涙を流してしまい、「申し訳ございません。先程説明させて頂いた事と彼女の言った事が全てなのです。」と言った。


それしか私には言えなかった。

本当は、もっと沢山話したいことが有ったんだけど言えなかった。

「何故に言えない?どうして自分を思いを思った通りに言えないのか?何で常に父親や伯母に遠慮して、物事を一歩引いてでしかアクションを起こせないのか?」

自問自答しながら話す自分に情けなく、腹も立つ。


その答えは私が一番良く解っているのだけれども、それが出せない自分。


己が情けなく哀しい思いに包まれる。



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