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親子迷路 (風が強い日)  作者: 山口 浄
12/38

暗礁

やがて彼女を父親に紹介する事となり、 緊張する彼女を伴い私も緊張しながら父親宅に到着。


人から話を聞き出すのが上手い父親。

相手が気付かない間に様々な事を、楽しい話を交えながら聞き出す。

結局三時間程、食事をしながら話をして父親宅を辞した。

二人共疲労困憊に。


翌日の仕事終了後に呼ばれていたので、私独りで父親宅に。

「ええのんと違うか?進めたら良いと思う。ただ、結婚式は質素に。」と私に伝える父親。

その翌日彼女と会い、昨夜の話をする。

「質素にって、どんな感じをおっしゃっているんやろ?」と彼女が言う。

両家共、親類は少ない。

特に私の身内では、父親家族だけだ。他の親戚は伯母を含め絶対に来ないはず。

これだけは自信がある。

伯母とはいがみ合い、少ない他の親類とも絶縁状態。

不動産管理会社社長と言っても、資産面ではともかく、あくまでも個人経営。

かたや彼女宅は確かに親類は少ないが、オーナーでは無いとはいえ関西大手の会社社長。


大学卒業迄、そのような環境からは無縁の生活を送って来た私には、その辺りの判断が今一つと言うより全く判断が付かない。

自らのその辺りが、我ながら実に歯痒く情けない。

そして小さな頃からの、父親と伯母の双方に挟まれて、何やら常に遠慮をする癖が抜けない私。


彼女は彼女で、自らの両親と結婚式や披露宴の話をしていた。

やはり、会社社長としての対面や付き合いも有るので、質素とはいえ相応の事を考えているようだ。

私の父親は両家家族だけの式を考えて、その使わなかった費用を、これからの私達の性格等の為に取って置く。と言う考え。

そして、双方の親が会うことになった。


大阪市内のレストランで初顔合わせ。

儀礼的な挨拶から話が始まり仕事の話が弾み和やかな雰囲気で進んで居るなと考えていたが、式と披露宴の話になり少し話が食い違う。

話すにつれ、時間と共に糸が縺れる様に話が絡まる。

下を向く彼女に、話に介入するタイミングを計る私。

だが、なかなか話に介入する糸口が見出だせない。

二時間程して、後日またお会いしましょうと席を立つ両家。

彼女は両親と帰宅し、私も父親宅へ。

全く納得と妥協をしてはいない父親。

「それならば私と彼女の二人の貯金で、友人だけを呼ぶ形の式にしたいが。」と話すと、「何を勘違い晒しとる‼」と一蹴。

私も少し頭に来て、「二人でよう考えますわ!」と父親宅を辞した。

この後話はどんどん深まって行く。

そして、このタイミングで彼女の父が入院。

この事は少し前から彼女より聞かされて居たが、改めて「事」を急いで居たのかなと思う。

病名は、私の叔父と同じ「胃癌」

以前から分かっていた事であるので、大きな混乱はなかったのだが少しの間、空白時間が出来る。

暫くして、お見舞い名目で彼女の父の入院する病院へ私と父親が向かった。

私の父親は勿論、式の内容の話を。

やはり変わらず話しは平行線。

彼女から聞かされてもいたが、やはり末娘の結婚式を、自らの身体が自由なうちに見届けたいとの事。

私もそれは重々承知していたので、私なりに父親と話をするが、一切聞き入れない父親。


時間が経つに連れて、二人から結婚についての事を笑顔で話す事が次第に減って来た。







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