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2016/04/25 第二十回 こんな夢をみた 小説作法

こんな夢をみた


 教室に着いた私は自分の席に座る。

 そこで、教科書どころか鞄自体を忘れてきている事に気がついた。

 机の中には前日に忘れていったノートとシャーペンがワンセットあるだけである。

 とりあえずは隣の席の小川さんに教科書を見せてもらう事になった。


 「今日は以外と授業が長いのやねん」


 小川さんは時間割を見ながらそう言う。

 ちなみに次の授業は国語である。

 授業では小説を書く事になった。

 小川さんが頭を悩ませながらボソリと言う。


 「開始早々に冒頭で53人がいきなり死ぬ事になる話……」


 「物騒だねぇ。死ぬというのは肉体的に?それとも精神的な意味?肉体的ならば、いっそのこと53万人がいきなり死んだところから始まる方がインパクトがありそうじゃないだろうか?」


 私がそう言うと小川さんが首を振り、解っていないなという顔をして言った。

 「現実味がありませんがな。主人公も死んじゃうの?走馬燈なの?53にんくらいがちょうど良いわよ」


 「何で死ぬの?」


 「う〜ん……主人公の心の中から死んでしまうと言うのはどうでっしゃろ?居なくなるのと同意義。居なかった事になる。忘れられる存在」


 「主人公が関わった人と、主人公が縁を切るとか、逃亡するとか、姿を隠すとか言う事なのかな?」


 「それじゃぁ、こんなのはどうやろ。主人公は女結婚詐欺師。53人の男達を騙してお金を取り、いいだけ稼いだから普通の暮らしに戻ろうと考えて結婚詐欺から足を洗う事を決めるのやねん」


 「そもそもなんで詐欺師を止めようと思うのかな?」


 「そんなの恋に決まっているやん。偽物の愛に生きていた女が本物の愛を見つけるんやな」


 「それでその愛は成就するわけ?」


 「するわけないやろ?したらドラマが産まれへん。当然のようにバッドエンドやで」


 「騙した男に殺されるとか?」


 「ちゃうちゃう。そもそもその女詐欺師は見た目があんまり良く無いねん。酷いレベルじゃないけれど、普通よかちょっと下なのな」


 「それで良く結婚詐欺師なんて出来たよね」


 「そりゃあ、相手もそのレベルであって、まさか女結婚詐欺師の容姿のレベルで結婚詐欺師なんてすると思っていないし、相手は高望みした訳でもなく、妥協の産物として詐欺師と結婚しようと思っていたわけだから自分が騙されているなんて思わないやん?女詐欺師はそこをよく解っていてつけ込んだんやな。相手はあんなのに騙されたという事をプライドが赦さないから、警察沙汰にしないので犯行を重ねられたというわけやで」


 「それでラストはどうなるの?」


 「元女結婚詐欺師が好きになった相手がゲイだったとか、面食いだったとかで元女結婚詐欺師の恋は成就しないんやで」


私は言う

 

 「それ、誰が得する小説なの?」

 

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