執事「くそったれな勇者ですね。脳天カチ割ってやりましょうか?」
魔王の弱いステータスを見た後、私はまた、ロルを召喚し、ディエンル様の屋敷に戻った。さてさて、そろそろ寝るか。執事は朝早く起きなければならないからな。早めに寝とかないと。じゃあ、魔導ランプも消してっと寝よう。
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「うーん。いい朝だ」
早起きはいいものだな。気持ちいい。さてさて、顔を洗って身支度を整えて仕事をしなければならないな。私は身支度を整えて、紅茶を貰いに厨房へ向かう。毎朝、ディエンル様は紅茶をお飲みになる。その給仕は執事長たる私の仕事だ。
「ジャック。ディエンル様の紅茶を貰いに来た」
「ああ、ヴェーダか。ディエンル様の紅茶だな?それなら今日はニルギリだ」
「ニルギリか。まあ、無難だな」
「フレッシュでスッキリとした味わいだからな、無難にこれが一番だ」
ジャックは料理長だ。俺と同じ世界から此方へ来ている。トッププレイヤーでVRMMOのサーバーは一緒だったので結構パーティを組んだこともある。ちなみに二つ名は≪血塗れ料理長≫。大きい肉切り包丁を振り回し、白い料理服を血だらけにしながら狩りまくったらついた二つ名らしい。
「じゃあ、ディエンル様にお渡ししてくる」
私は厨房を出てディエンル様の寝室へ向かう。そろそろメイド長のファムさんが起こしているだろうからちょうどいい時間帯だな。よし、着いた。いつも通りノックして声をかける。
「ヴェーダです。ディエンル様の紅茶をお持ちしました」
「ああ、ご苦労様。入ってくれ」
ディエンル様の部屋に入り、ディエンル様にニルギリを渡す。
「ふむ・・・・・・。これはニルギリかな?」
「そうですね、ニルギリです」
「やっぱりそうか。流石ジャックだ。私の飲みたい物をちゃんと準備している。まあ、そんなことは置いといて今日の予定をファムとヴェーダに言わねばならないな。今日は最悪なことに勇者が我が娘を向かいに来る日だ。ヴェーダは勇者の接待、ファムは勇者の泊まる場所の準備を頼む。あんなのでも一応世界を救う勇者らしいから表向きはにこやかにな」
「「はっ」」
ふむ・・・・。くそったれ色ボケ勇者が今日来るのか・・・・最悪だな。よりによって私が接待役とは。ファムさんめ。逃げやがったな。まあ、仕方ない。ディエンル様の命令だからおとなしく従おう。
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「ようこそいらっしゃいました、勇者様方。私は執事長のヴェーダと言います。ご案内をさせていただきます」
「執事長?こういう時はフツーメイド長が案内するもんだろ」
「すみません。メイド長は別の仕事を行っていまして」
「ちっ。それなら仕方がねぇか。おい、エリーの所に案内しろ」
「いや、歓待の食事会をしようと思ってるのですが・・・」
「食事会?そんな物はどうでもいい。エリーの所に行かせろ」
「はい、わかりました」
何故私がくそったれ色ボケ勇者に頭を下げなきゃいけないのだ。しかもディエンル様の用意した食事会がどうでもいいなどどほざき、我がお嬢様の部屋に向おうとする。一瞬殺しそうになった。細胞の一つ一つを消しとばしたいけど我慢我慢。仕方ないからお嬢様の部屋の天井にでも潜んで勇者が何かしそうになったらスキル【威圧】で気絶させるのでいいか。ディエンル様にはスキル【念話】で連絡しておく。
スキル【念話】Level ー
相手に連絡を取ることができる。
VRMMO時代はフレンドコールがあったからこのスキルは使わなかったがこの世界に来た後何故かフレンドコールが使用不能になったため使用している。
[我が主。我が主]
[んん?その声は・・・・。ヴェーダかな?どうしたんだい?勇者が何かやらかしたのかな?]
[はい。あのくそったれ色ボケ勇者が食事会を拒否し、お嬢様の部屋に案内しろとほざきやがっております]
[ヴェーダ口調が乱れてるよ。確かにイライラするのはわかるけど落ち着いて落ち着いて]
むぅ。ディエンル様にみっともない所をお見せしてしまった。落ち着こう、取り敢えず。
[ああ、すみません。落ち着きました。それで勇者がお嬢様に何かしようとしたら気絶させようと思ってますが宜しいですか?]
[ああ、構わないよ。本当は気絶じゃなくて消しとばしたいけどそこはまあ、我慢するしかないな。では、頼んだよ]
[はっ]
念話をしていたらいつの間にかお嬢様の部屋についていた。本当は案内したくはなかったが仕方ない。
「ここになります」
「ここか。エリーの部屋は。お前は下がっていいぞ。ていうか邪魔だ。俺がエリーと愛を育むののな。ほらほら、とっとと消えろ」
こいつ・・・・・・脳天カチ割ってやろうか