執事「フリードリヒ伯爵領領都到着ですかね?」
召喚獣達に仮装する腕輪を着けて馬に偽装させた後、私達はクソったれ勇者を抜かないように頑張りながらフリードリヒ伯爵領領都に向かった。クソったれ勇者はフリードリヒ伯爵領領都に向かわないようだが私達はこの姿での冒険者登録をする必要があるからな。ちなみに偽名は私がピウス、ジャックがネルウァ、ランドルフがマルクスになった。ローマ帝国の五賢帝の内のアントニヌス=ピウスとネルウァ、マルクス=アウレリウス=アントニヌスが元だな。偽名をローマ帝国の五賢帝にしたのは決して偽名が思いつかなかったわけでは無い。決して。
「おい、ピウス。領都に到着したが冒険者ギルドは何処にあるのか分かっているのか?」
「ああ。前に何回か来たことがあるから分かっているぞ。この街の冒険者ギルドの位置は」
「そうか。なら安心だ」
領都の中に四つある門の一つから入りそのまままっすぐ進む。すると大きな建物が二つある。その内の片方がフリードリヒ伯爵領領都支部冒険者ギルドなのだ。
ちなみにもう片方はフリードリヒ伯爵領領主の館だ。フリードリヒ伯爵領領主、コンスタン・フォン・フリードリヒ伯爵はディエンル様の治める領土の隣に領土を持っているため交渉などで私も何回かあったことがあるが領都の冒険者ギルドギルドマスターと親友らしい。それで冒険者ギルドの建物が古くなった時に領主の館の庭の一部に新しい冒険者ギルドを建ててあげたらしい。その為この街には冒険者ギルドと領主の館が並ぶというかなり珍しい光景ができたとか。
まあ、かなり珍しい光景というよりフリードリヒ伯爵領でしか見たことが無い。まあ、そんなことは私達には関係が全く無いからどうでも良いか。
冒険者ギルドが見えてきたのでとっとと入ることにしよう。私達は冒険者ギルドに入り直ぐに受付を目指す。冒険者ギルドにはアホな荒くれ者も多いので弱そうな新人は絡まれやすいのだ。雑魚どもに絡まれても面倒くさいだけなのでとっとと登録してとっとと出るに限る。まあ、絡まれても吹っ飛ばすだけだが。もちろん忠告はするがね。あくまで忠告だけしかしないがね。忠告だけじゃなくていちいち会話していたりすると余計にアホな荒くれ者がつけあがってもっと絡んでくるだけなので面倒なのだ。だから吹っ飛ばすのが一番楽だ。
「冒険者ギルドフリードリヒ伯爵領領都支部へようこそ!冒険者の方ですか?それともご依頼をされに来た方ですか?もしくは新人登録の方ですか?」
毎度毎度思うんだが何故冒険者ギルドの受付は女性だけなんだろうか。非常に疑問だな。
「新人登録だね。三人お願いできるかね?」
「はい。新人登録ですね。では、この用紙に名前、性別、年齢、主に使う道具や武具を書いてください。可能であればレベル、出身地なども」
私達はエルフの受付嬢の言葉に従い登録用紙に必須の部分だけ書いて受付嬢に渡す。
「はい、必須の所が全部書いたようですね。冒険者のランクは上からA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、Lとなります。マルクスさん達のランクはは最下級のランクであるLとなります」
「わかった。少し聞きたいんだがね。知人に聞いたことなんだがね・・・冒険者ギルド登録証は作るのに時間がかかるんだったはずだね?」
「はい。そうなりますね。明日の昼頃受け取りに来てもらおうと思っていたのですがそれが何か?」
「そうだね、申し訳ないがね、ならば説明はその受け取りに来る明日の昼頃にしてくれないかね。少々今日は忙しいのでね」
「はい、構いませんよ。では明日の昼頃また来てください」
私達は受付嬢の言葉を聞き終わった後直ぐに冒険者ギルドを出た。ちょうど今の時間帯は冒険者がいっぱい居たのであまり長居するとアホな荒くれ者に絡まれるという面倒な展開になる可能性があったからランドルフのおかげで直ぐに脱出できて良かった。明日の昼頃なら冒険者も討伐依頼を受けて街の外に行ったりして少ないだろうからな。