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003「今月中に引っ越しなんですよ…」

「エルミアッ!お人形を拵えたの。どう?可愛いでしょう!!」

「ああ…」


「エルミア何で泣いているの?大丈夫、ケセラセラ。なんとかなるわ」

「ああ…ああ…」




「戻ってくれ戻ってくれ戻ってくれ戻ってくれ!!!!」




「死んだ人間が生き返る術なんて無いのよ。」

「ああ…そうだよな…」



     ◆


「あら?どうしたの。間抜けな顔が更に間抜けになってるわよ」

「あ、ああ…ちょっとな…」

「…そう」

「どうやって入るのだ?まさか正面から啖呵切って入る訳にも行くまいし。ちびっ子の『ドアー』を使ったとしても、あの人数だ。あっという間に信徒に取り囲まれる。」

「電柱さんが正面から正拳突きでもすればあの大聖堂もろとも地図から消えるでしょ」

「やれぬ訳ではない」

「出来れば平和的に解決してぇんだけど…」

現在。上空200m。

空に鉄扉が出現して、そこから外界を見下ろす3人組が居た。

エルミア、アリス、セバスティアンのとんでもトリオだ。

何を見ているかと言えば、"天生教"の大聖堂。

神に祈りを捧げれば必ず、ご先祖様は蘇る。とかなんとか謳い文句にしている宗教団体だ。

裏では人身売買しているとかなんとか、悪い噂が絶えない。

敷地面積はゾディアス氏の邸宅の倍近く。

もはや一国と言ってもいい。信者も億を超えるのではないかと言われている。

信者の入れ替わりが早く、裏では何かの実験をやってるとか、人身売買しているのではないかと噂されている。

「教祖の"ゾロアース・スターライン"は不思議な力で死者を信徒の前で実際に蘇らせるんだそうだ。『言魂使い《アーティスト》』で間違いないであろうな」

ポイント制とかで100ポイント貯まれば、御先祖だろうと、父母だろうと、恋人だろうと、子供だろうと死んだものを生き返らせてくれるらしい。

実際に目の前でと言うより、全信者の前でパフォーマンスの様に蘇生の儀式を行うのだ。

とんだ見世物である。

願いを叶えた者は、消えるらしい。

名目上、生き返った人と仲良く田舎で慎ましく暮らしているのだ。とかなんとか。

理由はどうあれ、やはりきな臭い話だ。

「死人は蘇らねぇ…それが人間の、生物のルールだ」

「…そうね。どんなカラクリがあるか解らないけれども。ソイツが犯人ね。で?どうするの。平和的に解決するなんて難易度高そうだけれど」

「信徒に成りすまして、教祖様に近づく。ok?」

「お、おーけー…ってなにそのお約束の方法!?そう簡単に近付ける訳ないし、近付いてどうしようって言うの!」

「なんとかなるって」

「な、なんとかって…まぁいいわ…貴方がなんとかしなさいな(貴方がその顔でその声でその台詞を言うと本当になんとかなりそうな気がするわ)」

「セバスちゃんは顔が割れてる可能性あるよな。」

「そうだな。」

「てかセバスちゃん。旦那の側に居たんだろ?何やってんだよ」

「本当に…これは私の失態だ…本来ならば切腹する所だが、それも旦那様が元に戻るのならば、それに全力を尽くそうと誓ったのだ!」

セバスティアンは涙を流しながら拳をギュッと握り締める。

すごい顔をしている。

「(うわぁ)」

アリスと言えば、全力で引いている。

「…お前から一本取るなんてとんでもねえな。どんな化物だったんだよ」

「いや。何も視えなんだ。」

「は?」

「五感全てが突如失われた。視えぬ、聴こえぬ、臭わぬ、全身の触覚は効かぬし、味…は戦闘中は関係ないので解らぬが。兎にも角にも、突如全てが暗雲に包まれたのだ」

「闇雲でもお前が暴れるだけで倒せるだろ」

「旦那様を巻き込んだらどうするのだ!?それこそ切腹ものだ!」

その護る対象の旦那がやられてるんじゃ世話ないぜ…とエルミアは思案する。

「他のメイドは?」

「彼女等もオレと同じな様だ。姿を見た者は居ない。」

「マジか…」

ゾディアス氏邸宅のメイド達は普通の乙女ではない。

何人かは『言魂使い《アーティスト》』も居るし、セバスティアンが化物過ぎて霞んで居るだけで、相当な手練も居る。

一種の武装集団。

しかも美しいことこの上ない

{私を狙うは人だ。人は華を摘む事に一瞬躊躇う。つまりはそう言うことだ…}

エルミアが何でこの屋敷にはセバスティアン意外女ばかりなのかと一度ゾディアス氏に尋ねた事があったが…こんな返答が帰ってきた…どう言うこと。

まぁ兎に角、彼に喧嘩をふっかけると言うことは戦争するという事と同義なのだ。

「(五感が完全に消えた?となると厄介な相手だな)」

視えない敵に攻撃を与えるのは至難だし、耳が完全に聴こえない場合、喋ることもまともに出来ないだろう。

平和的解決である説得が出来そうにない。

「どうしたものであろうか…」

「アリス。ちょっと」

「な、なによ…え?はい。包帯。お金は後でちゃんと払っておきなさい?え!?なんでそんな事しなくちゃいけないのよ!?」

「いいから。なんとかなるって!」

「…わかったわよ」

壊錠至難の鉄扉(スチール・ドアー)


      ◆


「とっとと!?へぶっ!?」

エルミアは盛大に段差に躓く。

その原因は右目から右耳を全て覆う包帯だ。

傍から見れば大火傷したと思われるだろう。

右の五感のうち二つが封じられた状態での平衡感覚は極端に落ちる。

何でもない段差に躓いたのも仕方の無い事だ。

「ほら…言わんこっちゃない…。さ、さぁ手を」

「え?なに?聴こえない」

「手を貸してあげるって言うのよ!この私が!!」

「お、おう…悪い…て、ぎゃあああああ」

「ふなッ!?」

手を差し出したアリスもろとも再び倒れる。

やはり身長差、体重差、力の差等が関与して、起き上がることが出来なかったのだ。

二人共有り得ない体制をしている。

「にゃああ!離しなさいよぉおおお!?」

「え!?なに!?ちょ、暴れんなって!!」

「貴様らは何をやっとるか…」

セバスティアンはいとも容易く、右手にエルミア、左手にアリスと…首根っこを掴むような形で持ち上げる。

まるで子猫状態だ。

「お、さんきゅーセバスちゃん」

「にゃああああああ」

アリスの様子が明らかにおかしい。

魚をカラスに奪われた猫のように暴れているのだ。

「落ちつけい」

二人を放り投げる。

セバスティアンは女子供、老若だろうと容赦はない。

「なんで俺まで…」

「.......わ、わたくしは何を」



      ◆





「矢張り。遣って来ましたわ」

「件の者等か…」

「『言魂使い《アーティスト》』の魂は濃厚…常人の何十倍の密度も御座います。故に、貴方様の計画も前倒しと成るでしょう…其れに…」

「其れに、とは」

「"エルミア・ナイトウォーカー"彼は嘗て、人類の敵と謳われた存在。“無血性ブラッドレスサガ”の始祖で有り元祖なので御座います。」

「彼の"強欲"で在るか…嘸濃密な魂を以て要る事だろう。持て成しは怠れまい…」

「御意に」

どうもほるまりんです


やっと3話目です。文字数大したことないですが、掛け合い考えるのに幾日か費やしました。


最後の怪しげな二人の会話なんて100文字行ってないけど1日かかりました


引っ越し準備や資金調達の為ゴミの様に働いてるのでペースダウンですがこつこつ書いてるので忘れないでね。


酷評、感想待ってます!


お腹痛い

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