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002「雪降ったね寒い」

「死んだって?生きてるじゃねえか旦那」

ここは屋敷内。

エルミアの雇用主である、"ゾディアック・ゾディアス"の邸宅だ。

1万坪を優に超えているこの屋敷は、正直あまり趣味が良いとは言えない。

外観はお化け屋敷みたいな感じだし、内装は豪奢で無駄な飾りつけ、きらびやかな照明等はエルミアからしたら、なんて無駄な…と思う程

ゾディアス氏曰く、{力を持つものは力を顕示しなければならない。それが力を持つものの定めであり使命なのだよ}とよく口癖のように言っていた。

全く意味が解らなかったが、この飾り付けは別に彼の趣味という訳では無いのだろうか。

そしてここはゾディアス氏の寝室である。

100人乗っても大丈夫!とまでは行かないが、そんな感じのベットで彼は目を開けたまま横たわっていた。

「…」

「ん?おーい」

「止めろ…」

「おお。セバスちゃん。どうしたんだよ」

「視て解らぬのなら聴いても解るまい」

この男。

ゾディアス氏の執事である

"セバスティアン・デッドマン"

“ゾディアックの最終防衛ライン(スルト)

“一人戦艦”

“世界一環境に優しい核兵器”

“最凶の後出しジャンケン”

等など様々な異名を持つこの男は2mを超える高身長。

横に置くだけで威圧感バッチリなのである。

『言魂使い《アーティスト》』ではなく、只の一般人。

間違いなく人類最強。

『言魂使い《アーティスト》』と搗ち合ったとしても、即死させなければ彼は確実にこちらを即死させてくる。

彼が動けば屋敷どころか地図を書き換えなくてはならない(比喩。...恐らく)

その為のエルミアである。

金目のものを狙う侵入者、ゾディアス氏を狙う暗殺者、セバスティアンに勝負を挑みに来た物好きを事前に排除するのがエルミアの仕事だ。

"仁王像"それが彼ら二人の通称であった。

「おいおい…息遣いは感じられるぜ?しかし、こりゃ…寝てる訳じゃねえんだろ。」

「身体と魂が乖離してるわね」

床面に木製の片開きドアが出現して少女がぬっと顕れる。

アリスだ。

「また貴様かチビ助。不法侵入だぞ」

「あら?無駄にでか過ぎて気付かなかったわ。電柱さん。あ。このデカブツがここまで繁栄出来たのは誰のお陰かしら?」

「くっ…」

セバスティアンは押し黙る。

確かに、どんな危険なものも、どんな巨大なものも自在に出し入れ出来るアリスの『ドアー』が無ければここまでの名家にはならなかった。

{優秀な運び屋?いるいる!高飛車で守銭奴だけどすげー奴が知り合いにッ!}

エルミアの紹介だ。

長い付き合いなのでアリスは断る理由が無く、お金も貰えると言うのなら引き受ける他無かった。

セバスティアンはでか過ぎる恩がある為、気に食わないが、この高飛車に強く言えないところがある。

「まぁまぁ…今喧嘩してる場合じゃねえだろ?で、アリス…剥離してるってのはどういう事だ?それにお前死んだって俺に伝えたじゃねえか」

仲裁はエルミアの役目。

二人をよく知っているので気持ちが良くわかるし、傍から見るとただの子供の喧嘩だ。

それに放っておくと自分が巻き込まれかねないからである(物理)

「比喩よ。こうなれば死んだも同然。身体に外傷が無い…見たところ毒の類でもない。それに生きているけど、生気の全く感じられないこの状況は『言魂アート』によるもので間違いないわね。以前見たことがあるの。この状況」

「魂ってのはまた胡散臭い話だな。」

「あら?一番胡散臭い存在の貴方がそれを否定するのかしら」

「…」

上目遣い…いや多分身長差が有りすぎて睨んでいるのがそう言う風に見えるだけなのだろう。

それが解っているだけに抵抗出来ない。

エルミアはアリスに勝てない。

食らった『言魂アート』を独自解釈で自分のものにすると言う能力を持っているが、やろうと思えば次元の狭間に飛ばすこともできるアリスの『ドアー』は天敵なのだ。

他の『言魂アート』を使ったとしても勝てる気が全くしない。

それに、喧嘩する気は毛頭ない。

「…まぁいいわ。奪った魂を何に使うか知らないけれども、働きぶちが誰かも解らない奴に減らされるのは癪だもの。私も手伝うわ」

「おおー助か…」

「その口ぶりだと戻るのか!?旦那様は!?チビ助!言え!!」

突如食って掛かる執事に対し、アリスはニヤリと笑った。

この笑いをする時は決まって悪い事を思い付いた時にするものだ。

「撤回しなさい?木偶の坊。いいのかしらその態度。貴方の主を元に戻す方法を知っているのは私だけなのよ」

「ぐぬぬ…」

セバスティアンは漫画の様な、声を上げて悔しがる。

彼の完敗だった

「モウシワケアリマセンアリスサマ。ドウカオユルシヲ」

「あ、壊れた」

「駄目ね。全くもってダメ!心が籠もってないわ。解ったら三編回ってワンと云いなさい!…」

「き、貴様ッ!下手に出てればいい気になりおってーーー」

「ストップストップ!もう良いだろアリス…お前もだセバスティアン!」

エルミアがセバスティアンの事をセバスティアンと呼んだ時は本気で怒っている時だ。

決壊寸前、堪忍袋の緒が切れる手前。

キレたエルミアは手に負えない。

例え、"人類最強"のセバスティアンであっても、"人外四強"の本気には地球が耐えられない。(本人が耐えられないとは言っていない)

アリスも本気でない彼を相手するのならば100戦100勝出来る自信があるが、あの時は止めるのにどっかの星を犠牲にした記憶がある。

今は非常に丸くなったが、その片鱗は残っている。

「わ、分かったって…!済まなかったなアリスよ…」

「私も…やり過ぎたわ。セバスティアン。ごめんなさい」

二人共喧嘩の仲裁に入った先生の顔を見られないように俯いて謝罪している。

別に仲が悪いという訳でもないのだ。

喧嘩するほど仲がいい

「よし!んで?アリス。どうやったら旦那は元に戻るんだ?」

「そうね。奪った相手を殺すか。脅して元に戻させるか…」

「物騒だなおい…他に方法無いのか?」

「あら?どの口がそんな事言うのかしら。 さっきだって暗殺者を…」

「ん?あのガンマンか?殺してねえよ?少なくともここに入ってからは一度も殺生してねえ」

「え!?だって貴方"避けられんよ。確実に死ぬ"とか"アーメン。君に恨みは無いが"とか言ってたじゃない!」

「どっから視てたんだよ!?あれはなんつーかジンクスみたいなもんで相手の口上真似して完膚無きまでにボコボコにしたらもうやって来ねーんじゃないかって言うだけでな」

「けど、アイツ…動かなくなって」

「あれはアイツの『ガン』と『スリープ』の合わせ技だ。『フェイ』でその後どっかに飛ばした。なにムキになってんだ?」

「だってだって…」

アリスは瞳を潤ませる。先程までの威厳(?)は何処に行ってしまったのか。

身長相応の顔で何かを訴えようとしているが、その理由は長年連れ添ったエルミアでさえも解りかねた。

「オレも知らなんだ…意外に器用な事をするのだな。オレには真似できん」

「色々あってな…出来れば殺したくねえ。」

「そうは言っても…連中は恐らく悪党よ。説得に応じるとは…」

「ケセラセラ、何とかなるさ。な?アリス」

エルミアは自然にアリスの頭を撫でた。

それは人間が空気を吸うように、息を吐くように。

兄妹の様に。

「わ、わわわわわえあ私はあの娘じゃないのよ!?気安く触らないで頂戴!!」

「あ、わるい…つい」

アリスはオクターブ上ほど普段の声から上がって上ずっている。

顔も普段の綺麗な白い肌が、茹でた蟹の様に真っ赤になっている。

"傲慢"は見る影もない

エルミアは撫でた手を見つめている。

その顔は陰りの様な愁いのような物が感じられた。

「イチャついてるところ悪いが…犯人の見当はついているのか」

「い、いい、イチャついてなんかないわ?ちょ、ちょっとビックリしただけで」

「悪かったなアリス」

「…気にしないで頂戴…。見当はついてるわ。恐らく"天生教"の連中よ。」

「てんせいきょう?」

「そうよ電柱さん。あいつ等は魂を集めて何かを企んでるって噂がたってるわ」

「…噂か。信憑性ないけど、手がかりはもっとねぇからな。いっちょ乗り込むか」

3人はゾディアス氏を元に戻す為、"天生教"の本拠地に向かうのだった。


どうもほるまりんです。


ケセラセラ書けよ!


私は手塚治虫先生を尊敬していて、先生の手法"スターシステム"をリスペクト。採用しています。


何それって?ggr


同じ人に別な役を演じて貰ってるのです。愛着も湧いてしまってますし、そう簡単に解雇!とか出来ないのです


このブラッドレスサガはケセラセラを元に書いていまして、パラレルワールドだとか過去だとか未来だとか勝手に想像していただけたらと思います


寒い

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